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マゼルの勇戦戦争  作者: モルモラ
第三章続き
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第八十話 螺旋階段と勇戦戦争

「はぁ……はぁ……」

 俺は、もう息が出来ないくらいに疲れて果てていた。

 コンクリート製の螺旋階段を一歩ずつ踏みしめる。

 なんだか、お尻が痛い。

 走るペースがだんだん落ちている。足が思うように動かない。


 見張り番から逃げないといけないのはわかっているが、もう体力の限界が近づいていた。

 このまま俺が見張り番なんかに捕まってしまったら、振り出しに戻る。

 さっきの檻に即収容だ。

 俺が収容されれば、またラズラたちに迷惑かけることになる。

 ましては、俺を助けるためにラズラたちが死んでしまう可能性も十分あるのだ。


 だから、俺は絶対に捕まるわけにはいかない。

 そう思いながら螺旋階段を一歩、また一歩。駆け上がっていった。

 走っていくうちに、大量の汗が額から下垂れる。

 その汗が目に入って染みた。しかし、そんなこと気にすることさえ出来なかった。


「待て、侵入者め!」

 どんどん見張り番との距離が近くなる。

 俺は疲れながらも全速力で駆け上ったが、もう無理なようだ。

 なぜ、見張り番たちは疲れないのか不思議だった。

 後ろを振り向くと、あと三段ぐらいの距離しかなかった。

「もう、無理だ」


 すると、見張り番の一人が階段を駆け上がっている俺の服を掴んで、螺旋階段から突き落とした。

 俺は転がりながらもなんとか怪我なく勢いで立ち上がることができた。

「さあ、魔王さんよ。もう終わりだ!」

 しかし、俺の周りには数人の見張り番たちが俺を囲む。

 俺は武器を何一つ持っていないので、戦うことは出来ない。


 もう俺は武器をシータに預けてしまったので、逃げ切るしかないのだが、この狭い螺旋階段で逃げ場はない。

 見張り番たちはみんな剣をこちらに構えてきた。


「魔王を殺せ!」

 その合図と共に俺を囲んできた全員が俺を刺してきた。

 俺は逃げずに剣が俺の腹にぶっ刺さった。

 大量の血が腹から吹き出る。

 けれども俺は不死の力で死ぬことはない。

「いまだ!」

 俺は剣を腹を刺したまま腹から一つ剣を抜いて煉瓦の壁の隙間に突き刺した。

 そして俺は腕を思いっきり曲げて見張り番たちの上空を飛んだ。


「よしっ!」

 俺はガッツポーズをしながら再び階段を駆け上がった。

 なんとか見張り番から逃げられたが、まだ追いかけてくる。

 まだ、螺旋階段は続く。どれほどこの建物が高いのかわからないが、相当階段を登ったはずだ。


 すると、俺の前に白い扉が現れた。

「やっと、着いたか……」

 もう階段を登るのは嫌だ。息が整ってないまま、その扉を俺は思いっきり開けるとあの馬鹿勇者の姿があった。

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