第七十六話 影の勇戦戦争
ラズラが居なくなったところで俺は勇者軍本部に向かう。
俺は悲しくなってしまった。
ラズラは俺のことを「大好き」と言ってくれたことによって心が苦しかった。
でも、そんなことを言って貰っても、俺はこれから一人で戦うんだ。
誰も傷つかせない為には一人で戦うことが正解だろう。
俺は真っ暗闇の夜道を進む。
木がたくさん茂っていて、視界が悪い。
晩飯を食っていなかったのでそろそろ腹が空いた。
食べておけば良かったと後悔した。
そう思っていると、山道に差し掛かる。
足が重い。戦いすぎたせいだろう。
重い足を手で押さえながらゆっくり歩いていく。
葉っぱは風によって、ゆらゆらと揺れることはなかった。激しく葉っぱが揺れていたのだ。
もちろん靴は泥まみれだ。
雨が激しく降っていたから、土砂崩れが起きていた。
誰もいない道をただ歩くのはつまらなかった。
話し相手がいないことはいつものことだが、なにか心がモヤモヤしていた。
ラズラには申し訳ないが、こうするしかなかった。
誰も苦しまないためにも。
苦しむのは……俺だけでいい。
こう思いながら歩き続けていると、あっという間にもうひとつの山が見えてきた。
俺は山を下ると、そこには草原が広がっていた。
晴れていればこの場所は綺麗だと思うが、あいにく天気が悪かったせいで泥まみれだ。
近くの小屋は土で埋もれていて、木は何本か倒れていた。
「ふっふっふっ!」
だれか小屋のほうから人の声が聞こえた気がするが……。
俺は周囲を警戒して前に進めない。
魔法書を構えていつでも魔法を発動できるようにしておいた。
湿った空気が俺の喉を潤す。
集中して小屋のほうを見ていると、ガタガタと音を立てて扉が開いた。
俺は怖さで足を一歩退けたが、扉から出てきたのは小さな少年のような影だった。
暗すぎて顔が見えなかったが、髪は短いので確かに男だ。
声のトーンも低かった気がする。
俺はその影を追いかけていると俺に気づいたのか、木の陰に隠れた。
俺はその木に向かって人差し指を向ける。
爆炎銃を発動する準備をしたのだが、中々木の陰から出てこない。
やはり俺の存在がバレていたようだった。




