第七十四話 ザゼルとマゼルの勇戦戦争
そうして俺は風呂から出た。
身体を拭いてから、ドライヤーを使って髪を整える。
木製のこげ茶色の椅子に座り、鏡を見ながら髪を整えていると誰かが男湯の入り口から入ってきたのである。
「マゼル、ここに居たか……」
現れたのはザゼルだ。
雨のせいで白い髪の毛はボサボサになっている。
「少し時間あるか?」
ザゼルは青い瞳で俺を見つめた。
「はい……」
ザゼルはゆっくりと俺に近づき、俺の隣に座った。
「すまんな、こんなときに……」
「いえ、大丈夫ですよ」
ザゼルの姿が鏡に映し出される。
「私を助けたのはなぜだ?」
ザゼルはまだそんなことを気にしていた。
「助けたわけではないです、ただ貴方の気持ちが少しながらわかります。
苦しいですよね、この異世界は」
「そうだなぁ、でもこの異世界は救わなければならないんだ」
「それは、なぜですか?」
「私はここから出る方法を模索していた。そんなとき、勇者軍本部にある資料を発見した
そして私は時空間魔法は地球に戻れることを知り、私は時空間魔法を使える者を探していたところ、悪魔暴走の魔法で魔法を知ったのだ。
そうして君を魔王にしたというわけなんだ」
「じゃあ、俺が魔王になったのはたまたま……」
「すまないが、そういうことだな」
「なんで俺が魔王になる理由なんてあったんですか?」
「フランコに協力してもらう為……だ……」
急にザゼルの声が小さくなる。
「そうだったんですね……。でも俺はやっぱり不幸な男です」
「苦しい思いさせてしまってすまない。私ができることはなんでもする。お願いだ、私を許してくれ」
「謝らなくても大丈夫です。しかし、お願いがあります」
「なんだ、言ってくれ」
「俺は多分ここから出られないと思います。なので、みんなをよろしくお願いします」
「なんで、そんなことがわかる? なぜ諦める?」
「俺、気づいてしまったんです。ここで死ぬって」
「私と一緒に帰ろうじゃないか! 地球に」
「すみません、無理です。だから、地球に戻ったらラズラには『ごめんね』って言っておいてもらえませんか?」
「なにを言っているんだ? マゼル!」
「俺はちゃんとみんなを地球に送ります。だから、お願いしますね……」
俺はそう言って服を着て、その場から出ていった




