第六話 新たな勇戦戦争
ウールタウン――病院
俺は意識を取り戻したが、心の中にあるモヤモヤしたようなものが消える気がしない。
そういえばフランコさんがいない、いない……!辺りを見渡すが、フランコさんはどこにもいないのだ。もしかして死んだんじゃ……!
俺はフランコさんからいろんなことを学んだ。魔法石の加工、謝ることの大切さ、仕事のやりがい。すべてフランコさんが俺に教えてくれたことだ。それなのに大切な人を失ってしまった。なんでだよ!俺は異世界で初めて大切な人に出会ったんだ!絶対に黒いフードの男を殺してやる!そんな感情を抱きながら病院を後にした。
俺はウールタウンを散策することにした。話によればここに住んでいた王様がウールのカーディガンを気に入ってきていたことからウールタウンと名付けられたそうだ。ウールタウンの建物はどれもカラフルでオシャレな街だが、勇戦戦争が起きてからはホームレスが増えたらしい。中には小学生ぐらいの子たちもいる。これも全部病院の先生に聞いた話だ。
俺は金も持っていないので荒れ果てたウールタウンを去り、フランコさんの店に行くことにした。
フランコさんの店はシャッターが閉まっていて、貼り紙に大きくこう書かれていた。
先日はお客さんを危険なことに巻き込んで申し訳ございませんでした。本日から店はお休みさせていただきます。
店長 フランコ
よかった!フランコさんは生きている。そう思いながら急いで二階に上がっていった。
しかしフランコさんの姿は見えない。するとキッチンの上に手紙が置いてあったのを見つけた。
マゼルへ
俺は先日の黒いフードの男の行方を追っている。そいつを殺してマゼルにかけた呪いを解いてやるからな。一階にある金は働いた分の給料だ。持っていってくれ。
本当にマゼルと一緒に過ごした時間は楽しかったぜ!また今度一緒に飯を食う日を楽しみにしている。
フランコ・セズボンより
俺は涙が出てしまった。俺と一緒に過ごした時間を楽しいと思っていたなんて……!俺もフランコさんと一緒に過ごした時間は楽しかった!ありがとうフランコさん!
一階に降りると三十万円が置かれていた。なんという金額だ。三日しか働いてないのに、一日で十万円もらえるのはおかしい。フランコさんに感謝だ。
俺はリュックサックにマリーさんとフランコさんの手紙、それから青いペンダント、三十万円を入れて準備をした。
ここを出るのは明日でいいか。もうすぐ夜になるし、冷蔵庫に余っている分で飯を作ろう。
俺はキッチンに立ち、一人前のオムライスを作るのであった。
フランコさん、待っていてください!俺も黒いフードの男の行方を追ってみます!
フランコさんはここにはいないが、探せばいつか見つかる……そう思って……。
フランコさんは目の前にいるような気がしたのは俺だけだろうか。そう思いながら外の光を見ていた。