第六十一話 光り輝く剣を持った男の勇戦戦争
風で俺の髪がなびく中、勇者は俺を睨め付ける。
その光り輝く剣はまるで太陽みたいに明るかった。
まるで違う武器のように。
「よくも……やりやがったな」
俺は右足を一歩退ける。
勇者がとんでもない攻撃をするのはある程度察しがつく。
勇者は一歩ずつ近づいてくる。
俺はそんな勇者に恐怖を覚えた。
勇者は無言で剣を振り向く。
俺は避けるが、勇者の輝く剣で視界がとても悪い。
後ろの女たちの姿が見えないのである。
すると、矢が俺の右肩にぶっ刺さった。
このように一瞬でも隙を作ると俺はどんどん体力が削られるのだ。
しかし、勇者の攻撃が先程よりも早いことにびっくりした。
剣を縦に横に素早く斬りつけていく。
俺はそれを避けようとすると、後ろから槍が俺の背中を刺す。
背中から血が大量に滲み出る。
この隙にもう一発腹に矢が刺さった。
というかラズラとブルコビルは……。
そう思って振り返るとラズラとブルコビルは横たわっていたのだ。
俺が気がつかないうちに先にラズラとブルコビルを仕留めていた。
もう俺だけしかいない。
「しつこい奴だなぁ」
中々倒れない俺に対して馬鹿勇者がそんなこと言ったって不死の力があるのだから死ぬはずがない。
死ぬはずはないっていうのは間違えたか。「死ねない」だよな。
向こうは正直、時空間魔法が地球に送り込む魔法とは知らないだろう。仮にそのことを伝えても嘘だと言い張ってくるだろう。
なら、やはりある程度本気を出さないといけないか……。
ただ、短剣使いは殺したと同然の状態である。もう動けないからだ。
勇者は槍使いの攻撃の後、とっさに短剣使いの女を助けたのだろう。俺は全く見えなかったが。
さてと後は勇者の後ろで何もしていない斧使いなのだが、何をしているのだろうか。
弱っている姿も見せないし、こちらに攻撃を一度もしていない。
さてとこちらも動こうとするか……。
状況を整理すると、目の前には勇者と槍使い。
岩陰には弓使いがいて、その少し後ろに助けられた短剣使い。そして何もしない斧使い。
まずは弓使いを倒したいが、あまり狙いすぎるとさっきみたいに俺に隙が生まれる。
ならば先に勇者と槍使いだ。
「大風剣!」
俺の前にたくさんの剣が現れる。そして勇者に向かって剣が向かっていく。
「大風剣、大風剣!」
俺は何度も大風剣を発動した。
一回では避けられる可能性も高いので、何度も発動することが有効だと思った。
しかし、この後勇者はチートと思われる魔法を発動するのであった……。




