第五話 フランコの勇戦戦争
ウールタウンにて――
「マゼルは大丈夫なんですか?」
「いや、こちらでは呪いを解く技術がないので」
「どうすればいいんだ!」
「ここで安静にしていれば意識は戻るでしょう」
俺は安心した。てっきりマゼルが呪いによって死んでしまうと思い込んでいたようだが、マゼルにかかった呪いは死ぬようなものではなさそうだ。しかし、あの黒いフードの男は誰だ?俺は誰か理解できなかった。
すっかり夜になってしまったな。マゼルは病院に預け、店へ帰ることにした。俺は南の空に赤い飛行機が飛んでいるところを見ながら帰った。マゼルがいない夜で俺は店を閉め、一人で二階に向かう。
今日の夕飯は作る気にはならない。ご飯を炊いておにぎりにして食うか。俺はご飯を炊く間、一階のマゼルの部屋に行き掃除をすることにした。
俺は机を雑巾で拭き、ホウキで床掃除、おまけに机の中も整頓してあげようと思った。すると、とある手紙を見つけたのである。
マゼルさんへ
先日は助けていただきありがとうございました。私は勇者様のところに行かなくてはならなくなりました。これで勇者軍が優勢になるでしょう。本当にありがとうございました。
獄炎武装 マリー・ギャレットより
誰だこいつは!しかも今日は洗濯する服の量が多かった気がする。もしや、このマリーというやつが勇者軍のふりをしてマゼルに呪いをかけたのかと予想した。
よし!マリー・ギャレットを殺してマゼルを助けてやる!
俺は店のアイテムをカバンに出来る限り詰め込んで行き、明日の朝に出発することを決意した。
やっとご飯が炊けたか。熱々のご飯を手で握り、塩をまぶしておにぎりの完成だ。
マリーを殺せばマゼルの呪いを解けることができる。そう思い込みながら眠れない夜が続いたのである。