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マゼルの勇戦戦争  作者: モルモラ
第三章 魔王軍編
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第五十八話 人々の勇戦戦争

 俺はこれからやることは、ただ一つであった。

 人々をこの異世界から救うことである。

 黒い雲がこの街を覆い、不穏な空気が流れる。


 空からは雨が落ちてゆく。

 俺はずぶ濡れになりながら時空間魔法を使い続けるのだが、魔法書が紙でできているせいかしわくちゃだ。

 正直、もう疲れた。

 魔法を使い続けていると頭が痛い。


 街の人々はこの不穏な空気を読んだのか、さらにパニックになる。

 ブルコビルが落ち着いて誘導するが、それどころではなかった。

 俺の腕に伝っていく雨はとても冷たく感じられた。


「まだ人がこんなにもいるのか……」

 予想以上に人の数が多い。時空間魔法がこれほど長く使えるのも驚きだが、それよりも悪魔暴走デビルドライブの体力が激しいせいか息が乱れる。


「大丈夫ですか? マゼル様」

 疲れた様子の俺を見て、こちらの顔を伺う。

「大丈夫だ。それよりもあとどれぐらい人がいる?」

「ざっと数えてあと二万ぐらいだと……」

 二万……か。

 流石にここにいる人たちの人数はとても多い。

 雨に濡らながらみんな走って穴の中に入っていくのだ。

 もうちょっと、もうちょっと……!こう思いながら痛みを我慢していた。


 悪い天候の中、川は水で溢れていた。

 街の売り物もあちらこちらに散らばっている。

 そこで急に爆発音が聞こえた。

 勇者軍が攻めにきている方向である。

 今頃、ザゼルは必死に勇者軍を食い止めているのだろう。

 その為にも俺は時空間魔法を使い続けなければならない。


 こうして時間が流れ、街の人たちの姿がなくなった。

 その数およそ二万人。

 俺は時空間魔法を穴を閉じた。

「マゼル様お疲れ様でした」

 ブルコビルは俺に一礼して勇者軍が攻めてくる方向に走っていった。

 ザゼルのことが相当気になるのだろう。

 俺とラズラもブルコビルについていくことにした。


 走っていくと一歩一歩ずつが、水の音が響いた。

 まるで水晶のように。

 ただ、走ると目に雨が入る。

 何度も瞬きをしながら、俺は走っていった。


 ブルコビルの後を追っているとそこには大きな白い門が。

 ブルコビルは大きく息を吸い、白い門を押して開ける。


 ここから始まった。勇者軍との戦いが。

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