第五十三話 会社の勇戦戦争
ザイザンドロールケッキー社――
私は社長室であの人物が来るのを待っていた。
「失礼します」
「入ってこい……」
ノックをしてゆっくりと重い木製のドアを開けた。
「社長、スマートフォンアプリが完成しました!」
「ほほう……」
昨日は新しいスマートフォンアプリが完成する予定だったが、一日遅れているので少しは腹が立ったが完成したと言ってるから許してやるとするか。
「『勇者最強無双』というゲームなのですが、少しこの動画を見てください」
片手のパソコンを開けると、そこには綺麗な世界が広がっていた。前作よりも画質が良くなっていた。
そこには勇者がカッコよく武器を振り回して敵を倒している姿が。
画面には魔法使い、戦士や剣士。私の好みのゲームだった。片手のタッチだけで攻撃や防御、移動やアイテムを使用できる良いゲームだと思った。
「いいじゃないか!」
「そうですか……。しかし、一つ問題がありまして……」
「問題……?」
「テストプレイ中にバグのキャラクターがいまして」
「そんなキャラクター消してしまえばいいじゃないか」
社員はゆっくりとパソコンを閉め、こちらをぐっと見つめた。
「そのキャラクター、消さないという問題がありまして……」
「なんだと?」
「なので、しばらく待って貰えませんでしょうか?」
「ああ、わかった。今月中には完成させるのだぞ!」
「はい、わかりました」
社員はパソコンを片手に部屋から去っていった。
「でも、あのゲームはとても楽しそうだ」
「よし、社長から喜んで貰えた……!」
僕は喜んで、思わずガッツポーズしてしまった。
部屋に戻って、私は急いでパソコンを開けるとそこにはあのバグキャラクターがスマートフォンの映像に映っていた。
「マゼル……絶対に消してやる!」
僕は勇者最強無双のゲームを開始した。スマートフォンを片手に名前を入力した。
名前を入力――シータ
ゲーム・スタート!




