第二十三話 シータの勇戦戦争(前編)
俺たちは鉄の門をくぐり、街の中に入った。
「マゼル、なんだか賑やかだよね」
確かにラズラの言う通り今までの街より賑やかな気がする。
「マゼルさん、すごい広いですね」
「ああ、そうだな」
本当に街の中に入ると予想以上に広い。そして三人で街の中を歩いていくと、人々に囲まれたではないか。
「お前がマゼルっていう奴か」
おいおい、情報が出回るのがいくらなんでも早すぎるだろ。しかし、数が多すぎるしおまけに全員忍者だ。
「マゼルさん、僕たちなんで囲まれているんですか?」
ごめんな、シータには話していないが俺は魔王なんだ。
「ラズラ、シータと一緒にここから逃げてくれ」
「私も戦えるよ!」
「行け! 早く」
本当に俺がここで時空間魔法を使ったら全員時空間行きだ。
「俺に用があるんだろ? 俺の仲間は逃がしてやってくれ」
「逃すわけにはいかない! 捕らえよ!」
ラズラとシータは忍者によって縄に縛られてしまった。忍者はとてつもなく動きが速く、ラズラも魔法を発動しようとするが、魔法書を取り上げられて魔法を発動できなかった。
ついでに俺も縄に縛られ、もはや爆炎銃を使用する暇もない。
「お前らのせいで俺らが困るんだよ! さっさと帰ってもらおうか」
とりあえず、話をしても無駄なようだ。そうして俺とシータは大きな穴に突き飛ばされてしまった。
「マゼル!」
「お嬢ちゃん、あいつは魔王なんだぜそんなやつと仲間になんかなるからこんな目になる。よく覚えておけ!」
すると、穴の入り口からラズラが泣いている声が聞こえる。早く助けたいが、ここから出られそうにもない。それにしてもここは暗いな。
「マゼルさん、大丈夫ですか?」
「俺は大丈夫だが、シータは大丈夫なのか?」
「はい、しかしラズラさんが……」
わかってる、けど今はどうすることもできない。この穴に突き飛ばされた俺たちは魔法も使えず、二人で倒れているだけだった。
「マゼルさん、僕のポケットにナイフがあるのでもしよければ使ってください」
俺たちはなんとかシータの持っていたナイフを使って、縄を解くことを成功した。
「マゼルさん、道がありますよ」
暗い洞窟の中、シータは道のある方向に指をさす。けれどもこれは俺たちに対しての罠なのかもしれない。
「この娘を助けたければ、この洞窟から出てくるんだな!」
そう言って穴の上から男が去っていくと、とある看板を見つけた。
ここは魔の迷宮。今すぐここから出たければ、この洞窟にいるデスペルという男に救ってもらえ!
「デスペル……! 僕どこかで聞いたことあります!」
「知っているのか?」
「デスペル、悪の勇者。味方も敵も関係なく人を殺すという噂がされてきたんですよ。そんな奴に救ってもらうなんて……」
ということはこれは罠がある可能性が非常に高い。しかし、だからといってここから動かないとラズラを救うこともできないのだ。
「マゼルさん……、僕も罠だと思いますがここから動かないと意味がないと思うんです。お願いします、僕と一緒にここから出ましょう」
本当にシータの言う通りだ。俺たちはゆっくり暗い道を歩いていく。
「マゼルさん、ありがとうございます!」
こんな幼いのに、すごいしっかりしている。自分の意見を相手に言うこともシータのいいところだと俺は思う。
シータは俺より先に洞窟の道を歩いていくのであった。




