第二十一話 ラズラとの勇戦戦争
ウールタウン――朝
「もう、朝か」
俺はラズラより先に起き、洗面台で顔を洗う。昨日の疲れも露天風呂のおかげでなくなったので気持ちがいい。朝食は八時から予約しているのだがもう七時半だ。
「おはよう、マゼル」
ラズラが起きてきたようだ。まだ眠そうな顔をしている。
「おはよう、ラズラ」
「もう七時半? 早いね」
昨日は疲れがたまっていたからかなぁって思う。
「八時にここ出るから準備しとけよ」
外を見ると、朝の日差しが降り注ぐように俺を照らしてくれる。
「準備できたよ!」
俺が準備する前にラズラが準備できてしまったのが、そんなあったかい会話がなんとなく続いているのである。
俺たちは朝食を済ませ、国王様のところまで行くことにした。
「国王様とは知り合い?」
「一度会ったことはあるけど……」
俺は青の建物の中に入り、国王様に挨拶した。
「国王様!」
「お久しぶりだね、君のおかげでこの街が救われたんだよ」
そういえば誰一人ホームレスの人はいなかった。
「これは君へのお礼だ」
すると、国王様は俺に一万円の札束をこちらに渡してきたのだ。
「こんなにもらって大丈夫なんですか?」
「大丈夫だ、全てもらってくれ」
札束を見るとざっと百万を超えるだろう。しかし、こんなにもらって本当に大丈夫なのだろうか。
この後、国王様と少し楽しいお話をして青い建物を出た。
「マゼル、国王様と仲良しなんだね!」
本当に仲良しというか、国王様は俺に感謝してくれているだけなんだよな……
「あぁ……」
さてとここからどうしようか。少しウールタウンで滞在してもいいが、勇者のことや黒いフードの男が気になる。
「マゼル、ここをもうちょっと散策したいな」
ラズラは確かにここに来るのは初めてだろうし、もうちょい散策するか。
俺とラズラはいろんなところで美味しいものを食べようと思ったので二万円程使って、店を回ったまくった。
「マゼル、今日はありがとう!」
「国王様のおかげだよ」
今日は本当に国王様に感謝だ。やっと異世界で自由な時間を過ごせたのである。
「美味しかったね!」
「今日はありがとな」
「何が?」
本当にラズラがいなかったらこんな時間も一人きりで楽しくないだろう。俺とラズラは二人で笑いあい、楽しい時間がゆっくりと夜まで流れていった。
結局、またあの宿に泊まることになり、そのことを伝えるとラズラは笑顔でこちらを向いてくれた。
「今日もここでごめんよ」
「私、嬉しい!」
よかった、ラズラはここを好きだと言ってくれたし、きた甲斐があった。
今日も美味しい食事を済ませて、露天風呂にはいる。
やったことは昨日と全く同じだが、ラズラの寝ている姿はとても可愛かった。すっぴんだけどね。




