第十八話 俺と勇者の勇戦戦争
勇者は剣を光らせて騎士を倒していくが、問題は後ろの魔王だ。確かあの魔王は二代目ザゼル、不死の力をもつ魔王だ。
ラズラの魔法封印術が切れるまで勇者には少し頑張ってもらおう。だが、魔法封印術のおかげで魔王は全然攻撃してこない。だが、魔王は武器を斧に変更してきたのだ。
前方から来た騎士たちは、どんどん減っていく。あとは後ろの魔王だけだ。しかし、魔王の大きな斧はマッガの住人を斬り殺していく。
俺は自分が何もできないのが悔しくて、悲しくて。
魔法が使えないのは自分にとってメリットであり、逆に自分にとってはデメリットである。魔法から守られる、しかし自分が何もできない。
「ラズラ、俺は魔法封印術が切れたらすぐに時空間魔法を使う。だから、俺が時空間魔法使ったあと魔法封印術を使ってくれるか?」
「わかったよ、マゼル」
俺が時空間魔法魔法を使い騎士たちを一掃し、そのあと魔王も時空間に吸い込む。それからラズラの魔法封印術を使えばあとは勇者に後片づけを頼む作戦だ。
ただ、後ろから魔王がすぐそこまで来ていた。この作戦は勇者がどれだけ戦ってくれるかが重要である。
「マゼル! 魔法封印術の効果が切れたよ!」
よし、今だ!時空間魔法!
まずは穴をなるべく大きくし、時空間に騎士たちを吸い込んでいく。
そして後ろの魔王だが、時空間魔法で吸い込めるのか。けれども試さないと意味はない。さらにその勢いで時空間魔法の穴を広げ、魔王の方向に時空間魔法を使った。
「馬鹿だな、そんな魔法で我を吸い込めると思うな!」
魔王は空を舞い、時空間魔法の穴を避けていった。
時空間魔法は空に向かって使えない。
魔法封印術!
ピンチと思ったラズラはとっさに魔法封印術を使った。騎士たちは全滅した、あとは魔王だけだ。
どうする、俺たちはまた魔法を使えない。勇者様には頑張っていただくしかなさそうだな。
「魔法が使えない! くそっ!」
勇者はどうやら飛べないようだ。本当なら魔法で攻撃できるらしいが、魔法封印術のせいで勇者も魔法を使えない。マリーさんが飛んでいってくれたが、もう魔王の姿はどんどん小さくなっていく。
「また会おう、時期魔王!」
どうやら魔王は退散するようだ。俺たちもこのまま戦い続けても勝ち目はない。俺は時期魔王なのか……!
でも、絶対に魔王になるわけにはいかない。なぜなら俺は異世界を救う使命を与えられたからだ。
俺たちは魔王の方向を見ると空はオレンジ色に染まっていた。
「マゼルさん、大丈夫ですか?」
「大丈夫だよ」
近くにいたラズラが俺のことを心配してくれた。大丈夫なのだが魔力の消費が激しかったせいか気分が悪い。
「マゼルというやつはお前か!」
「はい……そうですけれども」
怒った口調でこちらに話しかけられたので、何か俺が悪いことをしたかと思ったが、やはりそうらしい。
「時空間魔法は魔王しか使えない特別な魔法、それをお前が使うなんてひょっとして魔王か!」
俺に剣を向けられ、勇者は俺を殺す気満々だ。そりゃ俺は時期魔王なのだが、魔王軍の仲間でもないし、時空間魔法で一緒に戦ったじゃないか。
そう思った瞬間、勇者は俺を殺す勢いで剣をこちらに向けたのである。




