第十七話 マッガの街と勇戦戦争
俺は魔王軍の騎士と戦っているうちに爆炎銃の威力が上がっている気がする。
レベルが上がっているのか。さっきまでの騎士たちが弱く見える。
爆炎銃一発で魔王軍の騎士を倒せるようになった。しかも体が軽く、さっきまでと全く違う。
マリーさんは空を飛びながら、戦っているのを見て俺も負けられない。俺は爆炎銃の発動回数を増やして、騎士たちを倒していった。
よく見るとラズラも炎魔法を発動して、騎士たちを倒していっている。これだったら騎士たちを全滅させられる、そう思った。
しかし、そう簡単に数が減らない。時空間魔法で全滅させたいが、意識を失ってしまったら危険だ。
ただ、マッガの住人たちはどんどん殺されていく。これ以上被害を増やさないために、時空間魔法を使うか。でも……!
俺は時空間魔法を使ってしまうと、また魔王扱いされる。マリーさんだって俺が時空間魔法を使えることをまだ知らない。使いたくないんだ、また魔王扱いされるのもごめんだ。そんな葛藤をしながら爆炎銃で敵を攻撃していった。
「マゼルさん、この数では倒しきれません!」
とうとうマリーさんも疲れてきたようだ。
やはり俺は時空間魔法を使ったほうがいいのか。そのとき、後ろからの魔法の援護が急になくなった。
なんでなんだよと思ったが、よく見ると後ろから四メートル級の悪魔がいた。あれは悪魔ではない魔王だ。
でかい杖を持って、俺の方向に魔法を打ってきたのだ。防御魔法なんて使えない俺には絶体絶命なのだ。
魔法封印術!
ラズラの魔法封印術は決まったのだが、前方から来る騎士に爆炎銃が出せない。魔法封印術は味方にまで効果を発揮するのか。ここで戦えるのは魔法を使わないマリーさんだけだが、疲れきっている。
これでは時空間魔法も出せない。魔法封印術が裏目に出てしまった。
この最悪な状況に前方から来る騎士たちがマリーさんを狙って襲ってきたのだ。
もう、魔法も使えないのだ。時空間魔法はその名の通り魔法なので使えない。どうすればいいんだ!
そう思ったとき、前方から青い剣士が騎士たちをぶった切ってこちらに向かってやってくる。いや、剣士ではないのか?勇者軍のバッチがマリーさんのより大きい。
「勇者アルスト、ここに参上!」
あいつは勇者なのか。確かに勇者であれば、魔法を使わなくても剣術だけで敵を倒せそうだが。
「勇者様!」
「マリー、大丈夫か?」
「はい! 大丈夫ですが、数が多すぎます」
青いマントに鋼鉄の剣、そして黄金の盾。流石勇者、豪華な装備だ。
俺は勇者の戦っている姿はまるで龍が踊っているようだ。
勇者の剣は見えないぐらい早く、高速で騎士たちを倒していく。
そう、俺は何も出来ずにただ立ち止まっているだけだ。早く魔法封印術の効力は切れないのか。
「ごめん、マゼル!」
後ろからラズラがやってきた。ラズラも少し疲れているが、まだ戦えそうだ。
「ラズラ、いつ魔法封印術が切れるんだ?」
「わからない、本当にごめんなさい」
「俺を救おうとして、使ってくれたんだな」
俺はラズラが魔法封印術を使ったことに怒ってはいない。しかし、俺やマッガの住人たちが魔法を使えないのは圧倒的不利だ。
けれども、勇者の剣はとても光っていた。




