第十三話 マッガの勇戦戦争
俺はさらにマッガの散策を続けていると近くで争いごとが起きているような音がした。俺は声のする方向に向かって近づいていくと、黒いフードの男がいた。俺に呪いをかけたやつと格好が一致している。
俺が黒いフードの男に近づこうとしたが、気づかれたのか、逃げられてしまった。
「くそっ、逃げんな!」
争いごとをしていたと思われる男性が追いかけようとしているが、止めるべきか。しかし、俺は黒いフードの男の居場所を突き止めるため、一緒に追いかけることにした。
黒いフードの男は森の方に消えていった。急いで俺も森に入ってみたが黒いフードの男の姿がない。
「お前さんも、あの男知ってんのか?」
さっき一緒に追いかけた男だ。口調が荒い。
「ちょっと気になってまして……」
俺も黒いフードの男の正体を早く知りたい。俺にかけられた悪魔暴走のことについても知っておきたいしな。
「さっきあの男はポーションの代金を払わなかったんだよ」
「それで争いごとになったということですか?」
「ああ、そうだ」
黒いフードの男は何がしたい?俺を追跡しているのか。
「本当に仕方ないな! あいつはなんなんだよ!」
ここで俺はつい黒いフードのことについて話してしまう。
「俺に悪魔暴走って魔法をかけてきたんですよ」
「悪魔暴走! この街では有名な魔法なんだよ!てかここからすぐに立ち去ってくれ!」
「なんでですか?」
質問したが返事がない。よほど危ない魔法なんだろうか。すると、その男は逃げていった。
どうやらここにいたらヤバそうだ。どうすればいい?ウールタウンに戻るか。せめて悪魔暴走の効果について知りたかったなって思う。
少し場所を移動するとするか。悪魔暴走について知りたかったので俺は近くの店に入ることにした。
「いらっしゃい」
五十代ぐらいのおじさんだ。優しそうな顔をしてこちらを見ている。
「すみません、悪魔暴走って魔法を知ってますか?」
「君は、悪魔暴走を知らないのかね」
「出来れば詳しく教えてもらえますか?」
「わかった……」
そう、俺はおじさんに悪魔暴走のことを聞いたのが間違いだった。俺は真実を知った。
時空間魔法を使えるようになった大まかな理由。俺は今すぐここから消えなくてはならない。今死んでも遅いだろうか。
俺は……俺は……異世界に存在してはいけない。俺は地獄に落ちた。こんな楽しい異世界生活はもうこれで終了。ありがとう……
俺が店から出ると次々と俺のほうに人がやってくる。そう、これも仕方がないことなんだ。きっとさっき一緒に黒いフードの男を追いかけた人が呼んだんだろう。
すると次々と俺に魔法を撃ってきた。何がなんの魔法か訳も分からない状態だったが、痛い。すごく痛い。
さあ、俺を殺してくれ!早く。そうだ、もっとやってくれ。
周りからは魔法を唱える声が重なってなんの魔法を唱えているかわからない。確かなことは俺が危険人物ということだ。
フランコさん、ごめんなさい。俺は今から死にます。助けようと店まで閉めて頑張ってくれたのに。
ラズラもごめんよ。もう一度、楽しい話をしてみたいな……
あの眼鏡のかけた女の子にも会いたかったなって思う。
いろんなことを出来なかったまま死んでいくんだ。
そう、悪魔暴走は、必ず魔王になるという呪いの魔法なのだから……




