第十話 魔法使いの街の勇戦戦争(中編)
俺はお姉さんから基本的な魔法をたくさん教えてもらった。もうそう言っているうちに夜になり、授業も終わり。金も千円しかない俺だが今日は外で泊まろうと思った。
「お疲れ! マゼル!」
「お疲れ、ラズラ!」
今日は火の魔法でろうそくをつける練習をしたが、全然できなかった。一方でラズラは火の魔法を簡単に操っていた。
元々、ラズラの両親が火の魔法使いだったことは聞いていたが、次々とろうそくに火をつけるラズラはかっこよかった。
一方、俺はビビって一本ずつしかつけることができなかったが……
お姉さんからは爆炎銃を使えるのになぜ火の魔法は使えこなせないのが不思議だと言われたほどだった。
「マゼル、もしよかったら家に来る……?」
少し恥ずかしそうにこっちをみて来るが、何か話したいことでもあるんだろうか?でも、断ろう。
「ごめんな、今日は行けない」
「なんで、マゼルと一緒にいたい!」
すまんが、女の子と部屋に泊まったら俺が変態扱いになる。可愛いけど、そんなことしたくはない。
「じゃあ、さよなら!」
俺はこの場を立ち去ろうとするとラズラは俺の手を取ってきたのだ。
「今日だけ! お願い!」
「なんか俺に伝えたいことでもあるのか?」
「えっとね、そうなんだよ」
好きだよ!とか伝えてください!
はいこれは俺の妄想です。言葉に出して言えない俺。
「それってなんだ?」
来い来い来い!素直なこと言ってくれ!
「今日ね、マッガでお祭りがあるんだ。だからマゼルと一緒に行きたい!」
こんなこと予想外だったが、お金ないな!あーどうしよう!
せっかくの俺にとって初めての楽しいイベントが……
「わかった! 行こう!」
こんなこと言ってるけど、心の中はどきどきしている。
「やったー! 服着替えるから、家まで来て!」
とりあえず、ラズラの家に行くことになった。
「どう? この世界の生活?」
ラズラは歩いている途中でも話をやめない。てか今、生活に苦しんでるよ!フランコさんが優しすぎたんだけどね。
「それなりに暮らしてるかな……」
「好きな食べ物とかは?」
「チョコレートかなぁ」
「私もケーキが好きなんだよ!」
話しながらとうとうラズラの家にたどり着いた。周りに草木が漂っているこの家は全体黒塗りだ。親が犯罪者だったからだろうか。
するとラズラは家の中に入り、少し時間がかかると思っていたが、すぐにでて来た。黒い服に着替えてさらに大人じみたラズラだった。
「これ、あげる!」
もらったのは黒い箱だ。中身はなんなんだろうか。
「ありがとう! これなに?」
「見てからのお楽しみ!」
俺はさっそく中身を見させてもらうとチョコレートだった。しかし、チョコレートでかいなぁ。
「昨日作ってたの! マゼルがチョコレート好きでよかった!」
俺とラズラはもう一度街の方向に歩いて行った。すると背後からなにかの鳴き声が聞こえる。なんだ?
「気をつけてね、ここは魔物が住み着いているから」
前から現れたのは大きなクマみたいな化け物だ。
「逃げるよ! 走って!」
そう言われて走るがその方向にも化け物が。行き道にはいなかったのにどうなっているんだ。
「私にはこいつらは倒せないけど、マゼルは倒せる?」
「時空間魔法なら……」
仮に俺が時空間魔法魔法で全ての敵を吸い込まなかった場合、俺は死ぬ。使っても意識を失ってしまう。
「ラズラ、お前だけ逃げろ!」
時空間魔法である一定の魔物は吸い込める。その間に逃げてもらったらいいだろう。
そう思いながらも魔物たちは近づいて来るのであった。




