057 魔法式リサイクル製錬
朝8時。アイビスの森の前に、荷物を持った男たちが並んでいた。男たちの荷物はどう見てもゴミであり、男たちの身なりも汚らしい。
それもそのはず、彼らは王都の南西にあるゴミの埋立地に住むホームレス達だ。そして、彼らが足元に置いて大事そうに確保しているのは、その埋立地のゴミである。
その男たちが並ぶ列の端、その先の茂みから1組の男女が現れる。男は黒いズボンに黒いコートを羽織り、黒髪で目つきが悪い。左手には長剣を持っている。見た目は人間だ。女は平均的な身長である男より若干背が高い犬系獣人だ。黒一色のシャツとロングスカートで、波打つ美しい白色の長髪が目立つ。顔は美形だが、目つきが鋭い。見る者が見れば戦場帰りとすぐにわかるだろう。
真っ黒の男、クロは並んでこちらを見るホームレスを一瞥すると、隣の女、マシロに声をかける。
「思ったより集まってるな・・・真白、頼む。」
「はい。」
マシロは姿勢よく一歩前に出ると、手に持っていた紙を挟んだバインダーを構え、ペンを取り出す。そして礼儀正しくホームレス達に挨拶した。
「皆さん、資材の搬送、ご苦労様です。早速買取を始めます。並んでいただいた順番に名前を告げて資材をこちらに渡してください。」
マシロの低いがよく通る声を聞いたホームレス達が小さく歓声を上げる。
そう、彼らはクロがゴミをリサイクルして地金を作るための材料を集めてきてくれたのだ。ヴォルフから依頼された地金製造を今日から始めるのである。ヴォルフが依頼時に提案していた通り、王国はホームレス達に運搬を依頼した。すると、ホームレス達はこれに飛びついた。収入源がない彼らにとって、金を得られる貴重な機会である。
しかし彼らは引き受けながらも半信半疑だった。なにせやるのはゴミを森まで運ぶという、何の利益にもなりそうにない行為だ。本当に賃金が支払われるのか、不安だった。
だが、たった今、目の前の依頼人らしき者が確かに買い取ると言った。念願の収入だ。喜ぶのも無理はない。
そんなホームレス達の様子を無視してクロとマシロは淡々と捌いて行く。
「一番乗り、ブライアン!資材はこれだ。」
ブライアンと名乗る男が置いたゴミをクロが検品する。
「ふむ、20kgってところか。質もいい。40ドルってところか。」
「はい・・・では、ブライアンさん、どうぞ。」
手早く必要事項を紙に書き込んだマシロが、腰の袋から硬貨を取り出す。
「よ、40!?そんなにくれるのか!?」
「ええ。どうぞ。」
「あ、ああ!ありがとう!」
「いえ、こちらこそ。」
予想外の高値に驚くブライアン。ホームレス生活では1日バイトしても5ドルももらえたらいいほうだ。そもそもホームレスはなかなか仕事にありつけないし、バイトで雇われても碌な仕事をさせてもらえない。こんな気前のいい雇い主はあり得ないのだ。
なぜこんな高値で買い取れるかと言えば、クロ達がこれを精製して王国に売れば、もっと高値で買ってくれるからだ。今、kgあたり2ドルで買ったが、これは精製すればkgあたり5ドルで売れる。しかもそれは全て鉄だった場合の話で、銅や貴金属が少しでもあれば、さらにぐっと利益が増える。
なお、この価格で取引して儲けられるのは、加工がすべて魔法で行われるためにノーコストだからこそだ。前世でやれば、加熱するための燃料代や酸化しない様に添加する薬剤で高いコストがかかる。鉄以外の金属を分離しようと思ったら、さらに長い長い分離工程が必要になる。だが、魔法があれば、設備も無しにすべてノーコストでできるのだ。クロは内心、魔法の素晴らしさに感動していた。
クロが感動している間にも買取は続く。
「25kg。だが、質が悪いな。30ドル。」
「な!?さっきの奴よりたくさん持って来たんだぞ!なんでさっきのより安いんだよ!」
男がクロに食ってかかるが、クロは剣で地面を突き、威嚇して男を近づかせない。
「言っただろう?質が悪い、と。俺達に必要なのは金属だ。まあ、それ以外でも有用な素材なら買い取るが・・・これは半分近く木製だ。買い取るのは金属の分だけだ。」
「ぐっ・・・」
男が押し黙ると、後ろに並ぶ者たちの話し声が聞こえる。
「そういえば依頼の兵士が言ってたな。金属を持っていけって。」
「なるほど、金属が多いものを持ってくればいいんだな。次は気をつけよう。」
どうやら王国はホームレス達にきちんと説明してくれていたようだ。男もそれを思い出したのか、引き下がる。
「ちっ、わかったよ。」
「どうぞ。」
「あ、ああ。」
期待よりは少なかったものの、ホームレスには十分な大金だ。男の不貞腐れた気分も、マシロから金を受け取ると、霧散したようだ。
そんな感じでクロとマシロは並んだホームレス達から資材を買い取っていく。意外に運搬者は多く、作業が終わったのは9時過ぎだった。
運搬者が帰ったら、2人で資材を倉庫前に運ぶ。かなりの量だが、鍛錬だと思えば苦ではない。何十kgという荷物を担いで走り、倉庫前に置いたらまた走って森の入口に戻る。瞬時に次の荷物の適切な持ち方を判断し、効率的に運ぶ。体力だけでなく判断力も鍛えられる。
2人が競うように運べば、500kg以上あった資材も10分で運び終わった。
家の屋根では好奇心旺盛なスイーパー達が目を輝かせて資材を見ている。すぐにでも飛びつきたそうにしているが、クロ達の作業の邪魔になるまいと我慢しているようだ。
家の前では獣人形態のムラサキがタイミングを見計らってテーブルと椅子を出し、お茶の用意をしていた。テーブルの上に3人それぞれのティーカップと、紅茶の茶葉、お湯の入ったやかんとティーポットが置かれている。
「お、ムラサキ、気が利くな。」
「湯を沸かすまでやっといたぜ。悔しいが淹れるのはまだマシロの方が上手いからな。ほれ、後は頼んだ。」
「ええ。・・・これだけはムラサキに負けるわけにはいきません。」
・・・料理関係はお茶を淹れるの以外、マシロは苦手だからな。
マシロはどうもヒトの味覚に馴染めていないのか、味付けが変なことになりやすい。初めから分量が細かく決められている菓子などは綺麗に作るのだが、ムラサキのような工夫はできない。お茶の淹れ方だけは城のメイドや熟練執事たるヴォルフに鍛えられたようだ。
マシロが淹れた紅茶を飲みながら休憩する。何をするでもなく、ゆったりと時間を過ごすのはクロは好きだ。マシロもまんざらではないようだが、ムラサキは落ち着きがない。
「今日の予定はどうするんだ?」
「この後はあの資材を前、埋立地でやったみたいに融かして分別する。2人とも手伝ってくれ。」
「承知しました。」
「おっけー。」
「それが終わったら、今日は後、特に予定はない。・・・街に飯でも食いに行くか?」
「マジで!?ひゃっほう!行く行く!」
外食と聞いてムラサキが大喜びする。クロとしては一昨日の窃盗団との戦闘で負傷したために減ったストックを補充するのが目的だ。
・・・こういう機会にムラサキを労っておかないとな。割とムラサキには我慢を強いているところが多いし。
そんなことを考えながら、クロは資材に群がるスイーパー達を眺め、紅茶を飲む。スイーパー達はキョロキョロといろんな方向から資材を見ては、つついたり引っ張ったりしている。引っ張りすぎて崩れた資材に驚いて飛び跳ねる様子がとてもかわいい。
スイーパー達が一しきり資材で遊び終わったのを見計らって、クロ達はティーセットとテーブルを片付け、作業を始める。
一カ所に集めた資材をクロが『ヒート』で融かし、『移動』で浮かせる。主成分である鉄を浮かせれば、他の金属も大体ついてくる。同時にムラサキが資材とその周辺の酸素を除き、マシロが燃えた端から炭を除去していく。
金属が全て融けて球体になったら、クロが金属を一種ずつ分離していく。まずは多く含まれるだろう銅から。分離した銅は一塊にして冷まし、地面に置く。同じ要領で様々な金属を抜いて行く。一通り分離し終えたら、前回はここで鉄も冷まして終わりだったが、ここから一工夫。
「せっかく商品にするんだからな。」
ムラサキに少しだけ鉄に酸素を入れてもらう。攪拌して少し様子を見る。
せっかく除いた酸素を入れたことを不思議に思うムラサキが尋ねる。
「何してんだ?」
「俺達が操作できない元素はまだこの中に残ってるかもしれないからな。水素とか燐とか。それを酸化させて気体にして除去してる。」
「へえ。」
・・・とは言ったものの、これで本当に除去できるかは自信ないんだよなあ。
頃合いを見て、マシロが炭を少し入れ、また混ぜる。
「今度は?」
「余分な酸素を除いてる。炭と反応して気体になっで出ていくはずだ。」
「へえ~。」
しばらく混ぜたら、事前にマシロに作ってもらっていた魔法強化炭素製の鋳型に入れてインゴットを作る。
鋳造工程を見ながらマシロが尋ねる。
「鉄にまだ少し炭素が残っているようですが、除きますか?」
「いや、いい。確か、多少炭が入っている方が丈夫になった気がする。」
「そんなこともあるのですか。」
・・・多分。うろ覚えだけど。
鉄を全部インゴットにしたら、他の金属も鋳造する。銅、鉛、亜鉛、アルミ。アルミは酸化しやすいのでムラサキの協力が必須だ。意外にも錫とかもあった。金や銀もとれたが、豆粒ほどもない。これはそのままでいい。
鋳造を終えた地金を倉庫に積んだら仕事は完了だ。扉を閉めて鍵をかける。輝く地金にキラキラした視線を送っていたスイーパー達には悪いが、これらは商品なので、これで遊ばせるわけにはいかない。
作業が終わったのは11時。だいぶ魔力を消耗したので、1時間ほど休憩してから出発だ。
そして昼過ぎ、王都の西側、商店街付近にある食堂に3人は入る。しかし・・・
「ひいっ!?<赤鉄>!?」
「こ、殺さないでくれえ!」
「野郎、魔族がなんぼのもんじゃい!かかって来やがれ!」
「ど、どうぞ、好きなだけたべてってく、ださい・・・お代は、いいので・・・」
何件か回ったが、こんな感じだった。最後なんて涙目で震えながらそんなこと言われても、食べる気にならない。
「まあ、こんなもんか。」
「・・・・・・」
クロもマシロも予想済みだったので、気にしていないが、ムラサキはかなりショックだったようだ。王都にいる間に目星をつけていた良さげな店が西側全件、全滅だったのだから、無理もない。獣人形態で俯きながら歩いている。
労うつもりだったムラサキに落ち込まれては本末転倒だ。クロは何とかフォローする術を考える。
「仕方ない。今日は食材を買って帰って、コック・ムラサキに腕を振るってもらうか。」
ムラサキが顔を上げて喜ぼうとするが、すぐにハッとしてまた落ち込む。
「どうせ八百屋にもまともに取り合ってもらえねえよ・・・」
「・・・まあ、最悪、力づくででも・・・」
クロが最後の手段を言い出した時に、マシロがそれを遮る。
「お待ちください。・・・私に策があります。」
「「え?」」
急にそんなことを言い出したマシロをきょとんと見上げる2人を無視して、マシロは帽子の庇を軽く持ち上げて顔を上げる。遠くの何かを探すように少しの間そうしていると、急に歩き出した。クロとムラサキは慌ててついて行く。
3人が歩いていた路地からメインストリートに出るあたりでマシロが立ち止まり、雑踏に向けて声をかける。
「マリーさん。」
「あら、マシロちゃん?」
雑踏から背の高く恰幅の良い牛系獣人の女性が歩いてくる。服装から王城のメイドだとわかった。
「マリーさん、買い出しですか?」
「ええ。ちょっと急ぎで買い足さなきゃいけなくなっちゃってねえ。」
そう言ってマリーは大きな籠を持ち上げて見せる。
「マリーさん、その、私たちのことは聞いていますか?」
「ん?ああ、魔族って話?」
短い期間だが共に働いた者が魔族だとわかれば、多かれ少なかれショックを受けるだろう。そう思っていたが、マリーは全く嫌悪の感情すら見せずに話す。
「すいません。秘密にしていて。」
「あー、そりゃあ、聞いたときは驚いたけどねえ。まあ、仕方ないさ。初めから魔族だってわかってたら皆敬遠しちゃっただろうし。」
「その割には、私を魔族とわかっても普通に話してくれるのですね。」
「だって、もうマシロちゃんの人柄はわかってるもの。そこは魔族とか関係ないでしょう?」
「・・・はい。ありがとうございます。」
マシロがマリーに頭を下げる。クロもムラサキもマリーの度量の大きさにちょっと感動していた。
「それで、折り入ってお願いがあるのですが・・・一緒に買い物をしていただけませんか?」
「あら、それは楽しそうねえ。お願いなんてしなくてもいいわよ。行きましょう!」
早速、商店街へ向かおうとするマリーをマシロが一旦引き留める。
「待ってください。おそらく、我々は魔族なので店の方に敬遠されると思うのです。なので、取りなしていただけないでしょうか?」
満面の笑顔だったマリーが、振り返って一瞬真剣な顔になる。だが、またすぐに笑顔に戻った。
「任せときな!馴染みの店に連れてってあげる。ついでに食料品や日用品一揃い買えるように、店に顔を通しておこうじゃないか。」
「・・・ありがとうございます。」
そうしてマリーを先頭にクロ達は商店街へ向かった。
「魔族?だから何だってんだい!」
「この子があんたに何か迷惑でもかけたのかい!?」
「あんた、それは自分の目で見たのかい!?」
「100年も前のことうじうじ言ってんじゃないよ!」
まさにマリー無双。行く店行く店、クロ達を見るたびに売り渋るのだが、すべてマリーさんの説教で論破されていく。論理的に言い返せないような言い分ではないのだが、その迫力に押されてか、それとも彼女の人望か、反論する者はいない。例え相手が屈強な肉食獣人であろうと、胸倉掴んで睨みを利かせれば、店主は冷や汗をかいて許しを請う。そして正当な額でクロ達に商品を売った。一度警察が様子を見に来たこともあったが、「なんだマリーさんか」の一言で帰ってしまった。
「強いな・・・」
「ええ。マリーさんは強いです。これも権力というのでしょうか?」
「いや、権力とはなんか違うと思う。・・・それにしても、マリーさん、最強か?誰も頭が上がらなそうだが。」
「いえ、マリーさんもメイド長には頭が上がらないそうです。」
「じゃ、メイド長が最強・・・」
「メイド長はヴォルフさんに頭が上がらないそうです。」
「やっぱりあの爺さんが最強か・・・」
3人がそんな雑談をしているうちに最後の店の説得も終わり、予定の食料品以外にも石鹸や予備のタオルなど日用品も買えてしまった。そしてマリーさんも説教の傍らしっかり自分が必要なものも買っている。
「さて、これぐらいの店に顔を通しておけば、買い物には困らないだろう?」
「ありがとうございます。本当に助かりました。」
「俺からも言わせてくれ。ありがとう。」
「助かったぜ、おばさん!」
3人そろって礼を言うと、マリーはうんうんと頷く。そしてじっとクロを見た。
「あんたがマスターさんだね。」
「ああ、申し遅れた。クロと言う。こっちはムラサキ。」
「よろしくー。」
「ああ、よろしく。・・・クロさん。マシロちゃんは生真面目だからね。ちゃんと息抜きもさせてやりなよ?」
「あ、ああ・・・そうしようとは思うんだが・・・」
クロとしてはマシロを労いたい気持ちはあるのだが、どうすればマシロが喜んでくれるのかよくわかっていない。マシロは自由時間も家事や鍛錬をしているのだ。
困るクロにマシロが助け船を出す。
「マリーさん、マスターを困らせないでください。・・・マスター、私は今の生活で十分楽しんでいますから、気にしないでください。」
「そうか?それならいいんだが・・・」
「やれやれ、本当にまじめだねえ。・・・マシロちゃんはこう言ってるけど、気にはかけてやるんだよ。」
「ああ、わかってる。」
「じゃあ、またね。困ったことがあったら、城でも私の家でも訪ねて来な。」
そう言ってマリーは王城へと戻って行った。
自宅に戻って荷物を整理すると、ムラサキが早速調理を始める。
「気合入れて作るからな!夕方までには完成させる。できたら呼ぶからあんまり遠くに行くなよ?」
そう言ってムラサキはキッチンでバタバタと動き始めた。
クロとマシロはそれまで自由時間だ。マシロは荒れ地の広い空間を使って鍛錬を始め、クロは家の前に椅子を出してくつろぎながら読書を楽しむ。スイーパー達もクロの周りに寄ってきて本を覗き込んだり、マシロの鍛錬にちょっかいを出して、それすらもマシロが鍛錬に組み込んだりと、各々夕方まで好きに時間を過ごした。
そして日がだいぶ傾いたころ、ムラサキが呼び集める。クロとマシロが家に入ろうとすると、スイーパーも数羽ついて来ようとした。
「お前らはこれでも食ってろ!」
ムラサキは大皿に野菜の切れ端や骨など、生ごみになりそうな部分を集めたものを乗せて玄関前に出す。ムラサキがそれを地面に置いて離れると、スイーパー達が一斉に群がって来た。ヒトには生ごみでも、彼らには立派な食糧だ。欠片も残さず食べてくれるだろう。
靴を脱ぎ、足を洗って家に入り、リビングに行けば、テーブルに料理が並んでいた。
「ポテトサラダに豚の角煮、そしてカレーか?」
「その通り!これだけの料理を3時間足らずで作っちまうオレの手際!どうよ?」
「すごいな。」
「・・・やりますね。」
これにはマシロも賞賛せざるを得ない。
3人で席について食べ始める。
「「「いただきます。」」」
ジャガイモは割と前世の物に近いため、ポテトサラダは予想通りの味だった。
「美味いな。」
「そうだろう?潰すの大変だったんだぜ?」
「呼んでくれればそれくらい手伝ったのに。」
「お、マジで?次からそうするか。」
次は豚の角煮だ。この世界の豚はかなりイノシシに近いので、前世のそれとはだいぶ味が違う。だがムラサキが上手く調味料を使ったのか、臭みもなく旨い。味付けもクロやマシロの好みの薄味だ。言葉には出さないが、これにはマシロも満足そうだ。
最後にカレー。御飯がついているが、この世界の米は当然、前世の日本米とは似ても似つかない代物だ。そのまま食べても物足りない。しかしカレーとはよく合っていた。カレーは粘度が高い日本風のではなく、スープのような感じだ。少し辛いが美味い。
「今日は香辛料が豊富に買えたからな。異世界人が伝えたというカレーを作ってみた。どうだ、クロ?懐かしいか?」
「いや、前世のカレーとはだいぶ違うな。でも美味いよ。」
そう言いながらクロはテーブルの真ん中の鍋からお代わりをよそう。
「再現できなかったのは悔しいが・・・まあ、美味いならいいか。」
微妙に悔しそうにしながらもとりあえず納得するムラサキの横で、マシロもカレーのお代わりを取る。
「あ!マシロ、てめーはまた肉ばっか取りやがって!野菜も食え!」
「野菜は一杯目で十分摂取しました。肉が足りません。」
「自重しろ!オレらの分がなくなるだろ!」
「あ、俺は十分とったから、あといいぞ。」
「では遠慮なく。」
「オレが十分じゃねー!!」
そんな言い合いをしつつも3人は夕食を楽しんだ。




