051 傭兵ギルドと調査
石像鳥を観察した翌朝、3人は王都の空き地にいた。人目に付かないうちにマシロは『変化』して帽子を被る。マシロの黒一色の装いは流石に目立つと判断して、少しでも緩和しようと帽子に白いリボンを巻いてみた。少しマシになった気がする。今回はムラサキは猫形態のままだ。クロのコートのフードに入る。
「まず、早朝の人が少ない時間のうちにギルドで受注しちまおう。」
傭兵ギルドが混雑し始めるのは7時頃らしい。今は6時前。まだ混んではいないはずだ。
クロ達が魔族であることを公表されたのは一昨日だから、まだ一般市民まで情報は伝わってないと思うが、念のためだ。
まだ人がほとんどいない大通りに出て、王都の東側にある傭兵ギルトを目指す。
「そういえば、これが初受注か。」
「手続きはヴォルフさんが代行してくれていましたからね。」
「何事もないといいがなあ。」
フラグ臭いセリフをムラサキが言っているが、特に触れずに歩く。クロ達の早歩きなら大して時間もかけずに着く。
そうして辿り着いたギルドは2軒の建物がくっついたような形をしていた。入口も2つあり、右の入口にはビールを注いだジョッキのマーク、左の入口には銃と剣が交差したマークが描かれている。
左の入口から入り、中を見渡すと、2つの建物は中でもつながっていたようだ。左の建物は市役所のようにカウンターがあり、受付嬢が数人間隔を開けて座っている。まだ受注に来る傭兵は少ない時間なので、皆カウンターの奥にある机で事務仕事をしているようだ。
右の建物は食堂に見えるが、テーブルや椅子の間に転がっている酔っ払い達を見るに、酒場らしい。
クロ達は周囲の様子を見ながらゆっくりカウンターに近づく。いびきをかいている酔っ払いは皮鎧のままで、武器も脇に置いたままだ。一仕事終えた後、そのままここで呑んで今に至る、というところだろう。武器はやはり銃だ。今の時代は銃の方が主流になっているのだから珍しくはない。銃の打ち合いで皮鎧が役に立つとは思えないので、獣相手の狩人だろう。
使っている銃はフレアネス王国では一般的な魔法銃だ。大まかな作り普通の銃と同じだが、着火機構が違う。グリップの根元に細い銅製の棒が付いており、これが銃の内部まで貫いている。銃弾を込めると銃弾の底にこの棒が接触する仕組みだ。発砲時にはこの棒を『ヒート』で加熱する。するとその熱が伝わって銃弾の底が熱くなり、火薬に混ざった着火剤が発火する。そうして火薬が爆発し、銃弾が飛び出すわけだ。
この構造は100年前に勇者の仲間が開発してからほとんど変わっていないという。銃という概念すらなかった当時にしてみれば、火縄銃より扱いやすく安全性も高い優れモノだったのだろうが、帝国が近代式の銃を量産している今、発射が遅く、連射も効かない旧式魔法銃は時代遅れだ。
もっとも、最新式の魔法銃にはハヤトが使っていたようなある程度連射が効く短銃もあるようだから、いずれは追いつくだろう。
そんなことを考えながらクロがカウンターに近づくと、ようやく受付嬢がクロ達に気がつく。
「わっ!あ、失礼しました。い、いらっしゃいませ!」
猫系獣人の受付嬢が急に現れたクロ達に驚くが、すぐに態勢を立て直して営業スマイルで迎える。彼女が驚くのも無理はない。何しろここの入口にはドアベルがついていて、入って来たものがいればベルが鳴るはずだったのだ。それが鳴らなかったのは、単にクロがいたずら心で音を鳴らさないように入ってみたせいだった。
それでも素早く営業スマイルを見せる彼女のプロフェッショナルぶりにクロが無言で感心していると、クロの肩からムラサキが顔を出して上機嫌な声を上げる。
「お~、いいねえ。初々しい!これが可愛い女性ってもんよ。参考になったか?マシロ。」
からかう様にムラサキが振り返ってマシロに言うと、マシロは不機嫌そうに返す。
「部外者の侵入にここまで接近されるまで気づかないとは修行不足です。参考にはなりません。」
「そうじゃねえよ・・・誰が戦闘能力の参考にしろっつったよ・・・」
音もなく入って来た不審者に続き、猫が喋るという不思議現象まで起きて、混乱しかけた受付嬢が、なんとか言葉を捻り出す。
「ええーと、未熟者ですみません?」
ここまで傍観していたクロが、ようやく言葉を発する。
「いや、驚かせて悪かった。傭兵ギルドの受付はここでいいんだよな?これ、ギルドカード。ほら、マシロも。」
「はい。・・・どうぞ。」
「あ、ありがとうございます。」
クロとマシロが財布から取り出したギルドカードを受け取り、受付嬢はそれを確認する。と、同時にその名前を見てつい驚愕の声を上げてしまう。
「クロ、って、あの<赤鉄>の!?ってことは魔・・・あ。」
辛うじて魔族、の単語は飲み込んだ受付嬢。どうやら傭兵ギルドにはもう通達されているようだ。
幸い、今の声に反応したのは他の職員だけで、泥酔している酒場の傭兵が動いた様子はない。
「静かにしてもらえると助かるんだが?」
「あ、し、失礼しました!」
静かに、と言ったのに元気よく大きな声で返事をする受付嬢。接客業としては正しいのだろうが、クロは溜息を出さざるを得ない。
「はあ。で、依頼を受注したいんだが、すぐ受注できるか?」
「ええっと、登録はしてあっても初めてなんですよね?であれば、一度ギルドの説明をさせていただきたいのですが・・・」
「じゃあ、簡単に頼む。」
概要はヴォルフからすでに聞いていたので、実際説明は不要だが、念のため確認だ。
傭兵ギルドは町中から様々な依頼を受ける。雑用、採取、護衛、狩りなどその内容は多岐にわたる。そしてギルドの職員がその依頼内容から難易度を設定し、依頼票をギルド内に貼り出す。これを傭兵たちが見て、自分の実力と難易度を比較して受注を決めるわけだ。
そして一応、傭兵にはランクがある。E~Aまでだ。ただし、これは単純に戦闘力を表すものではない。任務達成の信用度と言った方が正確だ。いくら強くても任務がこなせなければランクは低い。故に、ランクは依頼達成回数などで上がるらしい。依頼の中にはランク制限を設けている物も多い。
「じゃあ、俺らはEってことか。」
「いえ、戦場での戦果が記録されてますし、授与式こそありませんでしたが二つ名持ちなので、傭兵ランクはAです。狩人ランクはEですが。」
「狩人ランク?」
「最近、ランクを2種に分けたんです。過去にBランクの方がそのランクだけ見て戦場に駆り出されてすぐに戦死したことがありまして。その方、狩人専門で対人戦の経験がなかったんです。それで、対人戦がある依頼を達成したら傭兵ランクが、獣を狩ったり採取依頼を達成したら狩人ランクが、別々に上がるようにしたんです。」
「へえ。」
「とにかく、依頼を受けるなら、賞金首狩りや護衛依頼ならどれでも受けられますが、狩りや採取は難易度が高い物はお勧めできません。」
「なるほどね。まあ、問題ない。受けたい依頼は対人だから。」
そう言ってクロはポケットから折りたたんだ依頼票のコピーを取り出す。実際の依頼票は依頼主や報酬額、難易度、依頼内容等が書かれているが、このコピーは依頼内容だけ書き写したものだ。故にクロはこの依頼の難易度を知らない。
コピーを受け取った受付嬢は手にとって読むと、上げそうになった叫び声を押し殺して、手を震わせながらクロを見る。
「こ、これを受けるんですか・・・?いや、でも<赤鉄>ならあるいは・・・?」
受付嬢の妙な反応にクロは首を傾げる。
「そんなに難易度高いのか、これ?Aでも俺は受けられるんだろ?」
「そうですが・・・これ、Aの赤ですよ?」
「赤?」
「はい・・・」
聞けば、赤という依頼があるらしい。ギルドには本当に様々な依頼が来て、中には犯罪すれすれの行いが要求されるものもある。そんな依頼は突っぱねてしまいたいところだが、ギルドも与り知らぬところで行われるよりは、ある程度把握しておいた方がいいだろう、とギルドの判断で受け入れている。
その赤の分類の中には、犯罪ではないものの非人道的な依頼や危険すぎて生きて返れる保証がない依頼も含まれる。
こういった赤い依頼はその性質から、同じく赤に指定された傭兵が受けることが多い。ギルドから素行が悪く、犯罪を犯しかねないとレッテルを張られた者たちだ。そういった連中はやはり柄が悪く、ここ、表の窓口にはあまり顔を出さない。裏手の方にもう少し狭い受付があり、そこに行くのだそうだ。赤い依頼も大抵そちらに張られている。
今回の依頼、少年窃盗団の討伐は、犯罪者の処分ということで犯罪には当たらないから、非人道的または危険すぎる依頼、ということで赤に分類されているのだろう。
「初めは普通のBランク依頼だったんです。少年たちも腕が立つとはいえ子供ですし、実践経験がある傭兵が行けば問題ないと・・・でも次々と返り討ちに身ぐるみはがされる傭兵が出て、とうとう死者まで出た時点で赤のAランクになりました。本当にこれを受けるんですか?」
「ああ、受ける。」
クロに一切の動揺はない。見ず知らずのどこの誰がやられた等、敵戦力の評価には一切役に立たない。とにかく今日は役に立つ情報を集めに来たのだ。
受注手続きを進める受付嬢に、クロが尋ねる。
「ギルドとして何か情報は得ていないか?」
「すみません。お恥ずかしながらあまり情報がないんです。アジトは転々としているようですし、人数も20人以上いる、ということしか・・・リーダーも盗んだものの売り先もわかっていません。」
「ふうん。」
特に失望した様子もなく、クロは依頼票の控えを受け取る。
「じゃあ、地道にやるさ。期限はないんだろ?」
「はい。」
「うん。期限がないのはいいことだ。」
クロは前世で期限に追われて仕事をしていたことを少しだけ思い出す。
「くれぐれもお気をつけて。」
・・・魔族に言うセリフかねえ。
そんなことを思ってクロは苦笑いをしてギルドを出た。
ギルドを出た3人は、まだ人通りが少ない道を歩きながら話す。
「今日はとりあえず情報収集だ。俺は図書館に行ってみる。」
「スミレですか。」
「あいつなら何か知ってるかもしれん。真白はどうする?」
「私は聞き込みをしながら臭いを追ってみます。」
「わかった。ムラサキは?」
「オレは前に見かけた市場で張ってみるさ。見つけたら泳がせて追いかけるつもりだ。」
「よし。2人とも深追いはするなよ。アジトの場所がわかったら十分だ。」
「了解しました。」
「おう。」
そうして3人、バラバラに動き出した。
王立図書館3階奥。3階は未分類の古い書物が多く、一般客はほとんど訪れない。魔法研究に関わるものだったり、古い歴史に関わるものはその道の専門家が早々に分析しているのだが、名も知らない誰かの日記だったり、無名の冒険家の手記だったり、タイトルもなく読まないと中身もわからない雑多なものはわざわざ読んで分類しようという者はいない。1人を除いて。
「噂の少年窃盗団ですかぁ。」
「ああ。なにか聞いてないか?」
机に栞を挟んだ本を置いて座るスミレ。クロはその横に座って尋ねる。
「今、国としても大きな問題になってますからぁ、それに関する情報は全部ヴォルフさんに伝えてますよぉ。」
「じゃあ、新情報はなし、か。しかし、国が動かなきゃいけないレベルってのは?」
「飢えた子供たちが食い物をくすねるくらいなら、ギルドが動く様な案件にはならないんですよぉ。問題はぁ、金品や武具なんかまで奪っていることですぅ。それはつまり、それをどこかで換金してるってことですからぁ。」
「ふむ・・・まあ、普通、足がつくよな。」
「ええ。質屋に行けばどこでも出所を確認されますぅ。身分証の提示はもちろん、怪しいと思えば尋問官を呼ぶこともありますぅ。」
尋問官はつまり、闇魔法で自白させる専門職だ。国の厳しい審査を通り抜けた一部の者しか就けない職業らしい。犯罪者の尋問にだけ出てくるのかと思ったが、一般人の揉め事にも要請があれば出るようだ。仕事が多い分、比較的安価に引き受けてくれるらしい。
「ちなみに私も尋問官の免許持ってるんですよぉ?」
「審査、ザルじゃねーか。」
・・・公明正大な人物がなるんじゃないのかよ。
「まあ、それはおいといてぇ。とにかく質屋に売るのも難しいですし、もし売れても、窃盗団はそこそこ顔が知られてきてますぅ。得たお金を使う場所も限られますねぇ~。」
「そうすると、盗品でもお構いなしに買い取る質屋に売って、犯罪者でも関係なく物を売る場所で買い物をしている、と?」
「それもあり得ますが、ヴォルフさんは別の可能性を睨んでますぅ。」
「別?」
「窃盗団には後ろ盾がいて、その後ろ盾が盗品をこっそり他国に売っている、という可能性ですぅ。」
「なるほど、だから国が動く必要があるわけか。」
この戦争で忙しい時に国内の物資を他国に出して私腹を肥やしている奴がいるとすれば、早めに粛清しなければならない。外国に伝手があるとすれば、裕福な商人か、それとも貴族か。
「だからとにかく、情報が必要ですぅ。ですからクロさん?絶対に皆殺しはダメですよぉ?後ろ盾か取引先を知ってる幹部クラスを最低1人、いや2人は生かして捕らえてください~。」
「ちっ、面倒だな。」
・・・敵が複数の時は生け捕りは難しいんだけどなあ。
特に今回は魔法を使う相手だろう。それも手練れの可能性が高い。それを生け捕りとなると、縄で縛った程度では不十分だ。非常に面倒だが、必要性を理解してしまった以上、無視するのも気が引ける。
「・・・はあ、わかった。善処する。」
「お願いしますよぉ?」
そうしてクロは図書館を後にし、合流場所の空き地に向かった。
昼過ぎ、クロは空き地で2人の報告を聞く。
「まあ、結論から言えば、アジトは見つけた。」
「早いな。」
「聞き込みで高価そうな武装を持って、人通りが少ない道を歩いているとよく襲われる、と聞きました。そこで、それらしい人物をつけていたら、案の定、襲われました。」
マシロは無駄に良い装備の傭兵を見つけて尾行していたらしい。その佇まいからど素人だとわかるのに、やたらいい装備を身に付けていたそうだ。貴族の末っ子とかが修行なのか暇つぶしなのかわからないが傭兵になることがあるらしいから、多分それだろう。
で、そいつが昼間っから歓楽街を目指して歩いていたら、人通りがなくなったタイミングで四方から10歳前後の少年少女が現れ、網を投げ、石を投げ、終いに鈍器で袋叩きにして気絶させ、身ぐるみ剥いで逃げて行ったそうだ。
「そうして彼らを尾行したところ、モグラ系獣人の住居に入って行きました。」
袋にされた傭兵は放置したらしい。だがそれを咎める常識人はここにはいない。
「で、そこでオレと合流したわけよ。」
「ムラサキも同じ連中を追ってたのか?」
「いや、別の、市場で食料盗んだ奴だよ。オレもその子を追ってその住居に入ったんだが、待ち伏せがいたんだ。」
モグラ系獣人の住居は盛り上がった地面に扉が付いた入口があり、地下に居住空間を形成している。そのため、扉を開けた先は下り階段かなだらかな傾斜の下り坂になっている。今回のその住居はかなり大きく、入口の通路も人が数人横に並べるほど広かったようだ。
また、こういう立派な住居は魔力強化で頑丈に作られており、隙間なく締め切られると、魔力感知でも内部の様子がわからない。かなり距離を開けて子供を尾行していたムラサキは、子供がその住居に入ったとき、距離がありすぎて中の感知はできなかった。仕方なくそっと扉を開けて入ると、扉の裏に数人武器を持った子供が殺気立って待ち構えていたらしい。
「オレが猫だったから見逃されたけど、ありゃあ尾行対策だな。」
「私も入ろうとしたのですが、ムラサキに止められたのです。」
「それはいい仕事したなムラサキ。」
「だろう?」
ドヤ顔をするムラサキを無視してマシロは話を進める。
「で、ムラサキがそのちょっと侵入した際に、裏口の存在を確認していたので、裏口に先回りしたのです。」
「あ、そこはオレに言わせろよ。敵に睨まれたから入れたのは数秒だったけど、空気の流れと魔力感知でバッチリ裏口の方向は把握できたぜ。でも、オレが追ってた子は既に裏口から出て追い付けなかったから、どうしたもんかと迷ってた時に子供の集団が来てな。尾行してるマシロに合流して事情を伝えて、マシロの足で先回りって寸法だ。」
「そして尾行を再開した結果、とある家に入っていくのを見ました。」
「住宅街ではあるんだが、貧しい地区でな。家族全員で働いてる家ばかりで、日中は人気がないんだ。夜は締め切ってれば外からは中の様子は見えないだろうし、忙しくて近所付き合いも希薄な地区だから、ばれてないんだろう。」
「廃墟とかじゃないんだな。」
「このご時世に無駄な建物なんてそうそう放置してられねえよ。」
「そりゃそうか。」
考えてみれば、この世界では家を取り壊すのも建てるのも土魔法で割と早くできる。廃墟を放置する意味がない。その上、この世界はかなり人口密度が高い。元々複数の大陸に住んでいた人々が、戦争の末に大陸沈めまくって1つの大陸に寄り集まった状態だ。無理もないだろう。
「で、問題はそのアジト、フィールドがあったぞ。」
ムラサキのその言葉にクロは緊張感を高める。マシロだけはピンと来ないようで、首を傾げている。
「ムラサキ、アジトを見つけたときにも言っていましたが、フィールドとは何ですか?」
「説明はクロの方がいいだろ。頼む。」
「俺も説明上手い方じゃないんだが、わかった。フィールドってのは、自分の魔力を散布した空間のことだ。特定の魔法行使の準備段階だな。」
「あまり聞き覚えがありませんが・・・」
「そりゃそうだ。これを使うには当然広範囲に魔力を散布できる魔力量とそれを維持する操作力が必要になる。余程腕のいい魔法使いか魔族しか使わねえ上位魔法だ。これの恐ろしいところは、フィールド内ならどこでも瞬時に魔法を発動できるってことだ。」
本来魔法は離れた場所で発動させる場合、その場所に魔力を送らなければならない。当然それは何か工夫でもしない限り敵に丸見えであり、余裕を持って回避できる。しかしフィールド内では既に自分の魔力で満ちているので、少し濃淡をいじるだけで発動に必要な魔力量に達し、予備動作なく魔法を発動できる。
「それは、かなりの難敵のようですね。」
「ああ。マシロ達に気付いたわけでもないのにフィールドを展開していたってのは、片手間でフィールドを維持できるほど器用な奴か、もしくはフィールド展開自体が術式に組み込まれた魔法か・・・」
「そんな魔法もあるのですか。」
「トラップ系の奴がある。指定範囲に発動して、あとは自動で動く。それなら知ってるし、対処方法もあるが・・・問題は未知の固有魔法だった場合だ。」
そこで3人は押し黙る。調査はして、アジトは見つけたものの、敵が強大であることが確認できただけで、対策が思いつかない。まだまだ情報不足だが、これ以上情報を集める方法もない。何より、ぐずぐずしていればせっかく突き止めたアジトを移動してしまうかもしれない。
「降りるのも手だろ?」
ムラサキは手を引く案を出す。しかしマシロは首を横に振る。
「国を出た身とは言え、この王国の危機を見過ごしたくはありません。」
意見が割れた。こういう時はクロが決断する。
「俺も個人的に窃盗団は気に食わねえ。野放しにはできんな。・・・できれば確実に勝てる準備をしてから行きたいところだが、時間をかけて状況が好転する当てもない。今やれるだけの力でやるまでだ。」
そうして窃盗団の討伐を決めた。決行は今夜。3人は準備のために自宅へ戻った。
東方の新作が出たので、クリアまで更新ペースが落ちると思います。




