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古びた洋館
僕の住んでいる街には古びた洋館がある。昔の金持ちがわざわざ資材を海外から取り寄せて建てた結構雰囲気のある洋館だ。
「俺、前にあそこで女の霊見たぜ」
「マジで? かっちゃん」
「マジマジ、夜にぼうっと窓のとこに髪の長い女がいたんだよ!」
「うわ、怖いなぁ。それにしてもよく夜に洋館の前、通れたね。やっぱりかっちゃんは凄いや!」
僕はかっちゃんと二人、学校の帰りに怪談で盛り上がっていた。
「それじゃあ僕はここで」
「お前も家遠くて大変だな、じゃあな」
「そんなことないよ、かっちゃん」
僕はかっちゃんから見えなくなるところまで歩いて、辺りを見回した。
「よし、誰もいないな」
誰にも見られずに帰宅するのにも随分と慣れてしまった。そう、僕の家は古びた洋館だったから。誰かに知られて学校で噂にでもなったら絶対いじめられる。よく噂される女の霊が母親だっていうのも知られたら不味い。
ああ、早く一人暮らしがしたい。
ちなみに、最近母親は誰かが入った形跡があってビクビクしている。僕らは地下で住んでるから、たまに上の階で物音がする時がある。今は八月。物音の正体もなんとなく想像がつく。母親が何事かと蝋燭の灯を片手に様子を見に行くと、叫び声がする。
僕のお家は有名な肝試し場所になってしまっているんだ。




