自殺音楽
若くして自ら命を絶った歌手がいた。その歌手が最期に制作していた、ある曲が話題になっていた。
聴くと死にたくなる。
その歌手の死後、関係者の要望でリリースされる事になったのだが、聴いた人が自殺をするという現象が起きた。
悲しんだファンが後を追う、といった悲劇として取り上げられたが、どうやらファン以外にも自殺や未遂をする人が出てきた事から只の悲劇として終わらなくなってきていた。
問題の曲は、実はアップテンポで爽快感の溢れるナンバー。歌手が死んだ春よりだいぶ前に完成していたらしいのだが、夏に合う曲としてリリース時期を 見計らっていたらしい。
ではなぜ、こんな曲で人が死ぬのか。
様々な検証を経て、ようやく私は真実にたどり着いた。ヒントは自殺した方々の死に方にあった。みなが皆、死ぬ前に失踪している。自殺するのだから錯乱して予測不能な行動をする。それは確かにそうだが、問題の曲を聴いた人の自殺らしいという件をまとめたところ、あまりにも経緯が似すぎていた。
ある日、いきなり姿を消して近くの山や林で首を吊る。誰一人として自分が住んでいる家で事に及んでいない。
おかしい。行動まで指定できるのか、問題の曲は。始めはそう思ったが、問題の曲を逆再生した時にそれは間違いだと確信した。所属しているレコード会社の不正、歌手本人に対する様々な仕打ち、故人の尊厳のために明記は控えるが初めて聴いた時は言葉が出なかった。
これを聴いた時、私は一連の自殺騒動は違うのではないかと思いはじめた。歌手本人の死は正直、どちらかなのかは分からないが、レコード会社がこの曲をリリースしているという事は、自ら選んだ死なのかもしれない。
――ピンポーン――
ん、なんだこんな時間に。また中山かな。あいついつも酔ってからくるから面倒臭いんだよな。早くこの原稿完成させたいし。
――ピンポーン――
わったよ、今行きますよ〜。




