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ほらっ、ホラ〜だよ  作者: 灰色の猫
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近所のにゃんこ


 ニャー。


 俺が住んでいるアパートの近くには、野良の白い猫がいる。触らせてはくれないのだが、お腹が空いた時には俺の足にすりよってきたりする、なんともしっかりした猫だ。歩いているところを後ろから見ても、立派な男のアレがないことから多分、メスの猫なんだろう。野良のわりに品の良さも感じる。




 ニャー。


 コンビニで唐揚げやら買った帰り、またあの白猫がすりよってきた。触ろうと手を差し出せばすうっと距離をとるくせに。まあ、可愛いからいいけどな。



 ニャー。


 美味しいか?

 んっ。なんか首もとが朱く染まっている気がする。怪我でもしているのか確認しようとしたら、お決まりのように一定の距離をとられた。痛そうにはしてないけどな。




 ニャー。


 ニャー。


 ニャー。


 ニャー。


 なんだ? 今日はやけに鳴いてくるな。距離をとりつつも、白猫は俺の顔を見ながらしきりに鳴いている。なんだか気になるな。俺が白猫に近づこうとしたら、白猫は歩き始めた。ちらちらと俺を見ながら、歩いては俺を見てまた歩いて。


 いつもご飯をやっているから何かお礼でもしてくれるのかな? いい歳してメルヘンな想像をしながらトコトコついていった。





 ニャー。


 とある家に着いたら、白猫は塀を軽々と登り、居間らしい部屋に、少し開いた窓から入っていた。


 ニャー。


 部屋から白猫の声が聞こえてくる。声と共に、何かが腐ったような匂いが鼻をつついた。居間と思える部屋のカーテンは全開になっていた。辺りにはカラスの鳴き声が響き、太陽の姿も既に無かった。


 ニャー。


 俺は部屋の中を見てしまった。猫が、部屋の中から俺を見ていた。


「うわぁっ!」


 俺は驚いて、手に持っていたレジ袋を落としてしまった。


 ニャー。


 部屋の中には人らしき物がソファに横たわっていた。近くにあるテーブルにちょこんと白猫が座っている。近くで確める勇気がない俺は救急車を呼んだ。正直、匂いからして駄目だろとは思ったが、いきなり警察を呼んで疑われても困る。と言っても、猫の後をついていったら死体を見つけました、と言うしかないんだろうな。変に嘘ついても余計怪しいしな。落としたレジ袋に目をやると、カップのアイスの蓋がずれ、どろっと中身が漏れていた。道路の上にある甘い蜜には、既に蟻の姿がちらほら確認できた。


 ニャー。







 結局、俺が見つけた死体は死体で、警察の捜査も行われた。物盗りの犯行か孤独死か。第一発見者の俺に何度も同じ事を聞いてきたり、やはり疑われているような気がした。しかし、元々心臓に持病があったという事で、他殺の線は消え俺への疑いも、近所のおばさま方の興味も徐々に消えていった。





 ニャー。


 なんだ、お前か。ごめんな、今日は何も無いんだ。


 ニャー。


 相変わらず、乞うときはめちゃくちゃすりよってくるな。


 ニャー。


 ごめんな、今日は無いんだ。白猫を避け、アパートへと急いだ。正直、あの一件以来白猫を見れば、腐った死体と腐臭が思い出され気分が悪くなる。


「お前もああなりたいのか?」


 なんだ!? 急に声がした。少し低く、でも女性みたいな声が。ああ、疲れてんだな。


「ニャー」


 白猫は俺をじっと見ながらゆっくりと鳴いた。まさか、お前か? というか、ああなりたいのか? ってどういう意味だ。あの人は病死じゃないのか? お前が、白猫が殺したっていうのか。馬鹿な、そこまで夢見なきゃいけないのか!?


「ニャー」


 ニャー。


 ニャー。


 ニャー。


 ニャー。


 気付くと俺はアパートじゃなくて、コンビニに向かっていた。白猫がついてくるのを確認しながら。





 ニャー。

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