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第四話 エルフの髪は迂闊(うかつ)に褒めるな! 後編

 その日の会議はそれで終わり。まぁ、学校が始まってまだ間がないし、話し合うべき課題なんてそうそうあってもらっては困るんだけど。

「あっ、アスセナ、ちょっと待って」

「あら? ツグルさま、どうかなさいまして?」

「いや、アスセナ、ファッションがどうのこうのって言ってたからさ、これから、いっしょに服買いに町に出てみない? 俺で良かったら選ぶの手伝うけど」

「――っ? よっ、よろしいのですか?」

 目をキラキラさせながら、飛びついてくるアスセナ。予想以上の食いつきだ。

「まぁね、妹の服選びとかで慣れてるからね、それなりには期待してくれていいよ」

 家計の関係で安いもので見栄え良くするのには慣れてる、と言った方が正しいのが悲しいところではあるけど。

「それで、どうかな? 今から時間あるんだったら、行ってみない?」

「あっ、ええ、それは、もちろんっ!」

 こくこく、すごい勢いで頷くと、アスセナは満面の笑みを浮かべた。それはもう、鼻歌でも歌い出しそうな勢いである。

 ――そんなに嬉しそうにされると、ちょっとだけ心が痛むんだけど……。

実を言うとアスセナを誘ったのには目的があった。もちろん、着る服に悩む彼女にちょっとしたアドバイスをしてあげようという気持ちもあるんだけど、ちょっと聞いておきたいことがあったんだ。


 学校の近くで服を買おうと思うと、行先は商店街ということになる。

 ところで、この学校の近くの商店街の様子は俺が子どもの時からほとんど変わっていなかった。異世界が繋がるという異常事態に比して、町の様子が、かつてと変わらないのは、いささかおかしいことかもしれない。

 普通ならひと儲け企んだ大企業がこぞって進出してくるだろうところだろうと思うんだけど。

 まぁ、理由はごくごく単純で、要するにるり子ちゃんがこの雰囲気が好きだから、ということになる……。

 ……いや、ホントにそれ以外にないのが恐ろしいところでさ、さらに言ってしまうと、彼女の好きなことというのが大抵の場合、正しいことだから始末に負えないのだ。

 るり子ちゃんの場合、商店街の古ぼけた雰囲気が好きだというのはもちろんあるのだけど、状況自体に対する好悪というのが、どうやら関係しているらしいのだ。

 たとえば彼女は大企業が栄えるために、地元の人間が職を失うことをよしとしない。

 企業論理なんて言う傲慢はもちろん気に食わないし、それに普通の人たちが踏みつぶされる状況も気に食わない。

 そりゃあほとんどの人間は気に食わないだろうし、地元の人だって当然気に食わないんだろうけど、大抵の場合、だからなにができるってもんでもない。

 ところが、るり子ちゃんの場合、自分のわがままを通すだけの知恵や力を持ち合わせているものだから手に負えないのだ。

 それがただのわがままではなく、“正しい”ことをやっているのだから、なおのこと、誰も文句を言えないのだ。

 とまぁ、俺のるり子ちゃん評はさておくとして、そんな権力者のわがままを後ろ盾にしないと生き残れないようなひなびた商店街が、今日は非常に賑わっていた。

 渋谷のスクランブル交差点とか、あの辺と比べたら全然なんだけど、それでも人通りはいつもの倍以上だし、なにより活気がぜんぜん違う。

「ああ、しまったな……、今日は」

 その理由は、商店街の入り口に掲げられた大段幕によって明らかになった。

「桜祭りの日だったか……」

「桜祭り?」

 きょとりん、と首を傾げるアスセナ。その瞬間、さらりと長い金髪が踊る。

「この商店街でやってるお祭りでね。いろいろ、出店とかやってるんだよ」

 一年に一回、一週間をかけて開かれるこのお祭りはこのあたりの名物……、となるように、地元の商店会が必死に考えた企画だった。

 確か、五年だか六年だか前に始まったんだと思う。

 どこぞの有名な寺社を背景に持つわけでもなく、ただただ地元の活性化を狙って始まったお祭りは、それでも商店会の血のにじむような努力によって、それなりの盛況を誇っていた。

 お店ではいつもと比べて、三割引きぐらいの値段で商品を売っているし、金魚すくいや綿あめ、かたぬきみたいな昔ながらの風物詩もちゃんと出店している。

 さらに商店街のメインストリートである桜通りには、桜の木がトンネルを作っていて、この時期には確かに、見ごたえのある景色を作っている。これに目をつけてお祭りにしてしまった商店会長は確かに、機転の利く人なんだろう。

 しかし、これだけ人通りが多いと、ちょっとめんどうくさいな。

 俺はともかく、アスセナはどうしたって目立ってしまう。

 異世界と繋がった町とはいえ、まだまだ、その住人が町を歩くことは少ない。

 唯一の救いは、道行く人の中に浴衣姿の人もちらほらいるので、アスセナの格好が目立たないことだったけど、それでも十分目立ってる、よなぁ、やっぱり。

「すごい人ですわね」

「エルフのお祭りはこういう感じじゃないの?」

「そうですわね、大森林はそもそも広さがありますから、人が集まってきたとしても、これほど密集することはございませんわね」

 なるほど、確かに。人数自体はそれほどじゃないけど、この狭い通りを歩いていると、ものすごい多く見えるんだよね。

 アスセナは出店を興味深そうに覗いたり、ちょこちょこ辺りを走りまわっている。

 これは迷子になったら、大変だな。

「アスセナ、エルフ族では手を繋ぐと失礼にあたる、とかそういうことある?」

「? いえ、特にはございませんが」

「よかった。じゃあ」

「えっ?」

 俺はアスセナの小さな手を握った。すべすべの手の平、子供特有の体温の高さは、人間もエルフもどうやら同じらしい。

「あのっ?」

 戸惑い気味に俺を見上げてくるアスセナ。

「はぐれないようにね。それと足踏まれないように注意して」

「えっ、あっ、ええ、わかりましたわ」

 そう言うと、アスセナは恥ずかしげにうつむいた。

「そっ、それにしましても、すごいですわね」

 あたりをきょろきょろ見回しながら、アスセナは言った。

「町に出てきたことはないんだっけ?」

「ええ、いつも学校と家とを往復するだけですわ」

 町に出ることは、別段、禁止されているわけではない。ただ、彼女からしてみたら、ここは異世界。足を踏み入れるのは、学校の校舎以上にハードルが高いに違いない。

「そっか。じゃあ、服を買った後、少し歩いてみる?」

「いいんですの?」

「うん、まぁ、時間はあるからね」

 例のるり子ちゃんの配慮のおかげでバイトをする必要もないし。他の種族の代表者と親睦を深めておくのもいいだろう。

「やったっ! あっ、んっ、んん、失礼いたしましたわ」

 アスセナは無邪気に飛び跳ねた後、恥ずかしげに目を逸らした。


「んー……、どれがよろしいのでしょう?」

 店内の服を見まわして、アスセナは困り顔をした。

「そうだな、アスセナはなんでも似合いそうだけど……」

 やっぱり、あの綺麗な金髪と肌の白さが映えるようにした方がいいんだろうな。

 となると……、

「んー、定番だけど、キャミソールとスカートとか? プリントTシャツとズボンとかかな。アスセナはけっこう動く方?」

「普通……、ですけど、森で暮らしておりますから、人間の方よりは動くと思いますわ」

 ふむ、となると、スカートじゃない方がいいのか……、いやいや、でもなぁ、そもそもアスセナの格好が最初からスカートだったし。

「無難なところで、ワンピースなんてどうだろう?」

 俺はそばにあった花柄のワンピースを手に取った。お値段もお手頃、デザインも悪くない。

 それに、この服ならアスセナの金髪も、割と映えるんじゃないかな?

「……あら? おへそは出ていないようですが……」

 心底、不思議そうな顔で首を傾げるアスセナ。って!

「だからっ!」

「ふふ、冗談ですわ!」

 口元を押さえて、アスセナが笑う。なんとも無邪気な、可愛らしい笑みだった。

「じゃあ、それ、包んでもらえますか?」

 店員さんを呼ぶと、アスセナはちょっと残念そうな顔をした。

「今すぐ着てはいけませんの?」

「別にいいんだけどね、でも、せっかくお祭り回るんだから、浴衣の方がいいんじゃない?」

「ああ、そう言えば、これはお祭りのための衣装でしたわね」

 自分の格好を見下ろして、アスセナは頷いた。

 普通の時に、その格好で町を歩いていたらさすがにおかしいとは思うけど、今の状況ならば何も問題ない。

「こっちの服はいつでも着れるから、とりあえず、今日はその格好で回ったら?」

「そうですわね、では、ツグルさまがそうおっしゃるのでしたら、そういたしますわ」


 お店を出て少ししたところで、俺は思いきってアスセナに聞いてみた。

「ところでさ、アスセナは、エルフのお祭り、好きじゃないの?」

 実のところ、今日アスセナを誘ったのはこれが目的だった。

 学園でエルフのお祭りをすることに、気が進まなそうな顔をしていたアスセナ。もしかすると、その前に他のエルフ族の少女ともめていたのも、それが原因だったのではないだろうか?

 俺の問いにアスセナは、ぴくり、と肩を震わせた。

「そう……、ですわね。正直、あまり好きではございませんわ」

 軽く唇を噛みながら言う。

「といいますか、わたくし、エルフの生活自体あまり好きではございませんわ」

「えっ? どうして?」

「一言で言ってしまえば、ダサい、ということになるのでしょうか? どこを見ても、木、木、木ばかり。華やかな洋服もなく、食べ物と言えば森の獣と木の実ばかり。わたくし、心の底からあの生活から離れたいと思っておりますの」

「えーっと、それは他の世界のことを見るようになってからのこと?」

「もともと退屈だとは思っておりましたわ。ですが、そうですわね、とっとと外の方と婚姻関係を結んで出ていきたいと思うようになったのは、確かにそれからのことですわ」

 軽く肩をすくめながら、アスセナは言った。

「へぇ、エルフにも婚姻関係があるんだね……、って、あれ? もしかして、最初に出会った時に手玉に取れるとか言ってたのって、俺と結婚してこっちの世界で暮らしたい、とかそう言う理由だったの?」

「きっ、聞いておられたんですの?」

 アスセナは焦って両手をぶんぶん振っている。

「まぁ、それはいいんだけど……。うーん」

 少しばかり引っかかるところがあったから、俺はアスセナのすぐ後ろの空間に向かって声をかける。

「もしかしてさ、シルフ、アスセナの周りの空気を調節してたりする?」

「? 何のことですの?」

「ふむ、意外と勘がよろしいですな、生徒会長殿」

 ぶおう、と浮かび上がった半透明の紳士、シルフは思案深げに頷いた。

「確かに、この世界の空気はアスセナ殿に吸わせるにはあまりに汚れているのでね、申しわけないが、こちらで調節させてもらっている」

「まぁ、慣れてないとキツイだろうね。ちょっと試しに、そのままの空気に戻してくれる?」

「ふむ……、短い間だったら、構わんが……」

 シルフは空に向け、ぱちん、と手を叩いた。

「ツグルさま、先ほどからなにを……けほっ?」

 アスセナが小さくせき込んだ。

「あっ、あれ? なに、これ……。空気が、けふっ!」

 涙目になり、口元を押さえるアスセナ。小さな体が小刻みに震えていた。

 弱々しい背中を軽くさすりながら、言う。

「シルフ、もういいよ。ごめんね」

 途端に、俺の方にまで爽やかな風が吹きこんできた。

 澄み切った空気、こんな純粋な環境でいつも暮らしてるんだったら、この世界の空気は耐えがたいものだろう。

「こっ、これは、いったいどういうことですの? ツグルさま、この世界はの空気は……」

「んー、言ってしまうと、代償……、なのかな」

「代償?」

「そう、アスセナがうらやましいと思ってるこの世界の華やかさは、大きな代償の上に成り立ってるんだ」

 環境破壊、なんて問題は今さら口にするまでもないことではあるけど、それはあくまでも結果に過ぎない。人は自然を破壊しようと思って破壊したわけじゃない。豊かさを求めて、その代償として美しい自然を失ったのだ。

 俺はなんとなくだけど、それは、世界のキャパシティの問題、なんじゃないかって思っている。

 自然と文明的発展。その両方を世界が受け入れられないんだとしたら、どちらを取るのか。

 どちらをより大切にしていくべきなのか?

 ただ一つ、はっきりしていることは、両方は手に入らないってこと。

「俺からすれば、エルフの大森林のきれいな空気はうらやましいよ。きれいな自然も精霊が住む森も、すごくうらやましいよ」

「うらやましい?」

「うん、もしかするとアスセナは、この世界の華やかさがすごくうらやましく感じられるかもしれない。けどね、アスセナが当たり前にあると思ってるものが、この世界からは失われてしまっているんだ」

 当たり前にあったから、人は自然が無限のものだと勘違いしていた。

ありふれたものだったから、文明的な豊かさに目を奪われて、無価値なものだと誤解した。

 そして、それが正しくないと気づいた時には、手遅れだった。

 自然とは、文明に匹敵するほどに価値のあるものだったのに……。

「だから、俺はエルフの世界がうらやましいと思う」

 それは完全なないものねだり。けど、唯一の救いは、人はもう一度、自然を取り戻す術を見つけたのかもしれない、ということ。

 エルフの大森林に暮らしたいという人はきっと大勢いるはずだ。

 そこには人が失ってしまった可能性、自然と共存するという未来が未だに残されている。

「ですが……、わたくしはやっぱり、こちらの世界に憧れますわ。華やかな服、美しい装飾、今までわたくしたちが触れたことのない美しさですもの」

「そうかなぁ、俺としてはアスセナの髪の方が、変なアクセサリーよりぜんぜんきれいだと思うけど」

 金のような、と思っていたけれど、近くで見ると彼女の髪は、そんなものとは比べ物にならないほどに美しかった。

 その美しさは、たぶん無垢の故の美しさ。

 大自然の森ときれいな空気、汚れていない水によってはぐくまれたものだ。

 どれほどの純度の高い金だろうと、どれだけ英知を尽くした装飾だろうと、この美しさにかなうとは思えなかった。

「なんていうか、ほら、すっごく綺麗な花っていうかな、花の一番美しい瞬間の輝きって言うか……、ああ、上手く言えないけど、ともかく、アスセナは肌も髪も、そのままですっごく綺麗だよ」

 俺の言葉を聞いて、ぽかん、と口を開けるアスセナ。

「あれっ? なんか、変なこと言っちゃったかな?」

「えっ、あっ、い、いいえ、その、別に……、あの……、ぁうぅ」

 自らの頬をぐに、っと両手ではさみこみ、アスセナはその場でうずくまってしまった。よく見ると、ツン、と尖った耳の先まで真っ赤に染まっている。

「どっ、どうしたんだ、アスセナ」

「なっ、なんでも、ホントになんでもございませんわ」

 ぶんぶん首を振るアスセナを尻目に、鷹揚な笑みを浮かべたエア精霊が、ふぅ、と俺のそばに寄ってきて耳打ちする。

「エルフ族では、髪を褒められることは、最大級の賛辞となっているのだ」

「……えーっと?」

「女性は髪の手入れに心血を注いでいるし、アスセナ殿も毎日の手入れを欠かしたことはない」

「まぁ、あれだけきれいなんだから、それなりに努力はしてるんだろうけど、それが何か問題が?」

「その賛辞は相手を、それこそ運命の人であるといっているのにも等しい言い回しなのだ。ただ、エルフ族ではそのことが広まっているので、今では髪を褒めることはプロポーズの際に行われる形だけの儀式となっているのだ」

「なるほど……」

「が、そんなことを知らないお前が、純粋な意味で髪を褒める、ということがどういうことなのか……」

 ああ、つまり、あれか。俺は割とクリティカルな褒め言葉をアスセナにかけてしまった、ってことなのか……。

 結婚相手や恋人にしか言わないような褒め言葉か。確かに、アスセナがあんな風に照れてしまうのは、わからないでもないけど。

 しかし、褒め言葉なんだし、今さらあわてて否定するってのも妙な話だ。俺は今のシルフの言葉を聞かなかったふりをして、アスセナに笑いかける。

「アスセナの髪、本当にきれいだね」

「ひんっ! あっ……、きゅぅ……」

「あれ? あっ、アスセナっ!」

 かくん、っとその場に崩れ落ちるアスセナ。慌てて駆け寄った俺にがっくりしなだれかかってくる。

 その後、目を回してしまったアスセナをおぶって連れてもどるはめになったんだけど、これは自業自得だよなぁ、やっぱり。


「ツグルさま、昨日はお見苦しいところをお見せいたしましたわ」

 翌日、アスセナは早速、例のワンピースを着て生徒会室に現れた。

 靴は先日の木を編んだもの、ワンピースと相まって、まるで、避暑地で出会った愛らしいお嬢様といった感じである。

 ふっくら柔らかげなふくらはぎが、月の女神の寵愛をうけたかのように白く輝いて見えた。

「どうですの? この着こなしで、ツグルさまのお眼鏡にかないますかしら?」

「やぁ、よく似合ってるよ」

「ツグルさまに褒めていただけて、嬉しいですわ」

 アスセナはそう言って、さらり、と髪をかきあげた。ほのかに漂う森の香り、今日の彼女は髪に一輪の花をさしていた。

「その髪かざりもすごく可愛いね」

「うふふ、もう、ツグルさま、わたくしの魅力にメロメロですわね?」

 鈴を鳴らしたような可愛らしい声で笑って、アスセナは言った。

「これならば、ツグルさまと夫婦になるのもすぐですわね」

 あれ? まだ、こっちの世界で暮らしたいって思ってるのか、アスセナ。

 まぁ、そう簡単に憧れは捨てられないものかな。

「んー、でも、俺なんかと結婚しなくったってアスセナなら、大抵の男はオーケーするんじゃないかな?」

 なにしろ可愛いし、それにエルフ族族長の娘なのだ。結婚しておけば、生きていくのは楽だろう。まぁ、いろいろと面倒そうではあるけれど。

 それに、アスセナだってもう少し相手を選んだ方が、こっちで暮らすという目的も充実するんじゃないかな。そんなことを考えていると……。

「はい、では、ツグルさまであっても、問題ないはずですわね」

「はい……?」

「ツグルさまは大森林の空気や水に憧れるっておっしゃられてましたし、わたくしと婚儀をとり行うのに、何の問題もございませんわ」

「いや、言ったけどさ……」

 っていうか、実は移住が認められれば、正式に何年かあっちで暮らしたいなぁ、ぐらいには思ってたけど。

「それに、この髪が手に入るんですのよ? それとも、まさか、昨日あれだけお褒めくださった言葉、あれが全て偽りであったとでも言われますの?」

「いや、言わないけどさ。でも、それはいきなりすぎるんじゃ……」

 そもそも、アスセナは十一歳。結婚できるわけがなくて……。

「もう、仕方ありませんわ。今なら、おへそ見放題の権利もつけますわ!」

「だからっ! おへそはもういいっ!」


確か、都会派のエルフがいたら楽しいだろうなぁ、とか思いつつ書いた話です。はい。

間違ってもおへそ礼賛の話を書きたかったわけではない、はず……。

ということで、前話にも書きました通り、明日はお休みです。また、月曜日に再開いたします。

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