表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

さんぽ

作者: ツミキ

よく晴れた春の日だった。信号待ちをしていると、突然外国人に話しかけられた。

彼は大学生くらいだろうか。白いシャツにジーンズといった、私と同じようなくだけた服装だった。

「あなたは、どちらの手を使って書きますか?」

と彼にいきなり質問された。

どちらの手で…、利き手のことを聞いているのだろうか。日本以外では左利きの方が多かったりするのかな。

「利き手のことかな?私は右手だよ」

と右手を上げて答えると、彼はにっこりと笑い、

「ジョークですよ。手だけでは、文字は書けません。僕は鉛筆で書きます」

と目を細めながら言った。

なるほど、気さくな人だ。

どちらの手で文字を聞くのかという問に、手だけではかけないから、鉛筆やシャーペンを使って書くと答えなければならない。そういうことか。

「あはは、騙されちゃった」

その時機械の鳥の声が鳴き始め、信号が青になった。私が渡ろうとすると、彼は歩き出さなかった。

「じゃあね、お嬢さん」

そう言って彼は手を振った。彼は私と話すために立ち止まったのか。日本人だったら、きっと好きになっていた。

「バイバイ」

私も手を振って、横断歩道を渡った。

振り返らなかった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ