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エアツェールングの宿泊帳  作者: 翡奈月あみ(旧・陽向あみ)
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物語をみつけた、あなたへ

 はじめまして。どこかで、この本を手に取ってくださったあなたへ。


 この物語の舞台は、フェアシュプレッフェン地方ハイルング王国エアツェールングの街。決して大きくはないけれど、小さいとも言えない王国のとある街。

 かつて世界に溢れていたとされる魔法の力は廃れて、魔法は古の幻想となる。人々は、知恵と道具、科学や文明を発展させつつも、自然と共存し、魔法の伝承を守り学び、暖かく平和な暮らしを送っていました。


 エアツェールングの街。そこは、世界的に見て田舎街と呼べるような、そんな街。そこに、双子の姉弟が暮らしていました。 幼い頃に旅先で両親が消息不明となったこの姉弟は、街の人達に助けられながら成長してきました。両親が残した立派な宿に、毎日代わる代わるやって来ては、姉弟を世話してくれる街の人々。沢山の家族ができたような気さえするその生活は、2人の寂しさを癒して行きました。


 そうして暖かく見守られ、真っ直ぐに成長した姉弟は、優しい街の人達に何か恩返しができないかと、考えるようになりました。見守られ、癒され、そうして救われた姉弟は、自らもそうありたいと、ずっと思ってきました。と、なれば答えはひとつ。両親が残した家……街外れにある宿屋を、2人で運営する事を決めたのです。旅人や街の人々を暖かく迎えて、癒すような場所であるために。


 観光客が少ないこのエアツェールングでは、宿の利用者は 主に旅人や行商人達。ですが、姉弟の両親が行方不明になり、宿屋を閉めてからは、エアツェールングには老夫婦が経営する小さな宿屋が一軒あるばかり。その宿すらもまもなく、老夫婦の引退で無くなってしまいました。一般家庭や空き家を有志で宿として貸し出したりもしましたが、元々少ない観光客の姿はなくなり、旅人や行商人の足は、エアツェールングから遠のいてしまいます。街の人々は、それに心を痛めていました。


 しかし、初夏も近い、ある春の日。姉弟の宿屋がついにオープンを決めました。姉が暖かく迎え送り出してくれる宿屋は、旅人や行商人にとっての憩いの場となりました。 弟が仕切る食堂は街の人達も利用し、美味しい評判の店となりました。また、数日の宿泊客だけでは広すぎる宿屋の部屋数を生かすため、長期契約で部屋を貸すという試みを始めることに。


 街をぐるりと囲う外門をくぐり抜ければ、盗賊や狂暴な獣も出没します。どこか遠い地では、武器を使った戦もありました。またどこか遠い地では、も しかしたら勇者がドラゴンと戦っていたりもするのかも……。


 ただし、そんな冒険物語は、余所の主役に任せておきましょう。全てはこのエアツェールングの街では無縁の出来事。小さな仲違いこそあるけれど、とても平和な街。そんな街で、双子の姉弟が、個性的な宿の利用者に時に振り回され、時に励まされ。出会いと別れを繰り返していく。そんな人達のお話を、これから沢山お披露目致しましょう。あなたを、エアツェールングの街『春風の導き亭』へご案内致します。


~エアツェールングの宿泊帳~

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