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5.正しい森の作り方

異世界からこの世界に拉致された巫女様と従者たちの中に、元の世界に戻れないと気付く方がいました。

その方は、他国に逃げる時にこの世界で得られた能力と引換えにミソシール国からの追手から逃れるため、森をお作りになりました。

その森は、ミソシール国人のみが通れません。

元の世界に戻れないと知った歴代の異世界の者たちによってミソシール国から守るように森が作られて行きました。

グロンテの神さえ、この森を通り抜けることができません。

こうして、ポタージュ国、スープ国、ビシソワー国は恐ろしい者たちから守られることとなったのです。



ーーー ビシソワー国 オイーモ神殿 保存「大切な世界の守り方」よりーーー



ビシソワー国のオイーモ神殿に着くと神殿の扉前で、神官長が待っていましたわ。

神官長は、神官たちに命じて馬鹿ビクトリアスたちミソシール国の者を有無を言わさず、宿まで連れて行きましたわ。

そして、わたくしたちはビシソワー国の王城の王の玉座がある広間まで転移魔方陣を使って行きます。


「異世界の者たちよ。今から森がどうしてできたか神官長から説明がある。神官長、話せ」と言われて、神官長が話しました。話し終えるのを待って王様は「ポタージュ国から手紙を預かっているであろう」と言われたので、わたくしはポタージュ国のビスク神殿神官長からの親書をオイーモ神殿神官長に渡しましたわ。それを見て神官長は王様に親書を手渡しました。

「神官長、奴らは?」

「宿に閉じ込めておきました」

「御苦労。モロヘイーヤ様から預かったものをその娘に渡せ」

「わかりました。どうぞ、コレを」

と言われたので、わたくしは長い竹串数本を受取りハリセンの間に挟みましたわ。

これで、ハリセンを少し強化できそうです。あとでこれを使いハリセンを強化しましょう。

「それでは、奴らのいる宿に行くがよい。神官長、帰り道のついでに頼む」

「了解しました」


宿に行くまでの道中、神官長に尋ねましたわ。

「どうやって、あの者たちを宿に閉じ込めましたのですか?」

「数日前から来るのが分かっていたので、美女に接待させて調子に乗らせてあげてるんですよ」

「簡単にできないと思うのですが...そうですわね。馬鹿ビクトリアスさんがいれば、可能ですね」

「はい。王族にしては馬鹿すぎると有名ですし。それに、顔しか取り柄がないですしね。騙すくらい簡単です」

「美女というと町娘や城仕えの方では無理なのではないですか? ミソシール国は嫌われているようですし。ひょっとして、娼館の女性ですか? いえ、彼女たちでも無理なような...」

「やはり、先ほどの話でミソシール国を嫌っているのがお分かりになりましたか。ええ、娼館の女性にミソシール国の接待を頼むのを躊躇したのですが、彼女たちに王様共々土下座して協力願いました。それだけでは足りないので、城で勤めているメイドもしております。皆、このビシソワー国に逃げてきた巫女様のお陰でこの国が守られていることに感謝しているからです。それに、あの巫女様の悲願をかなえるお力になりたいと」

「巫女様の悲願とは?」

「ミソシール国の王族と高官、神殿関係者そしてグロンテの神に怒りの鉄槌を」

「そこまで怨んじゃっているんですね」

「はい。今回はモロヘイーヤ様が数日前にお現れになって、今回の拉致された者が彼らに制裁を加えることができるだろうと静かにお怒りになって言われました。こちらが宿泊する宿になります。酒飲ましの天才がいるので、奴らと顔を合わせる必要はございません。ゆっくりお休みになって下さい。明日、スープ国に行く転移魔方陣を使うのにお迎えにあがります。では」

と言って、神官長は神殿に帰っていきました。


そして、私たちは用意された部屋に入りました。

「ずいぶん、とある人に毒を吐いてたわね」

「本音を隠さなくてよかったので、つい」

「うん、確かに分るよ。どう見てもとある人は顔しか取り柄がないし」

「言いすぎと言いたいけど言えないね。ところで、なんで『魔の空気』の浄化を彼らに見せてはいけなかったの? 手で触れるだけだし」

「いざという時にミソシール国を脅すためですわ。伝承に残っていても、自分の目で見ないと信じられないと思いますし、何より相手に都合のいい存在だとわたくしが思われていますもの」

「じゃあ、なんで彼らの言うことを何でも肯定していることを言ってるのよ」

「騙すために決まってるじゃないですか。 おかげで、この中で私が彼らの警戒心が一番低いですわよ」

「そんなにうまくいくかな? 里桜ちゃんの性格を知っているとそこが一番警戒するんだけど」

「なぜ、この旅が異様にショートカットになっていると思っているんですの? そのためですわ」

「でも、これで早く元の世界に戻れるんだよね?」

「ポタージュ国とビシソワー国の対応を見る限り、私たちと彼らの距離感を埋めずにしたいようですものね」

「これって、ラッキーよ」

「そうだな。しかし、最後までこの調子でできるかな?」

「うまくいくようこの国は協力していますわよ。なんのために、酒飲まし名人がいるんですか。きっと、彼らは明日いい感じに二日酔いになって正常な判断ができないようになっていますわ。それが狙いです」

宿の女将さんが部屋のドアをノックし、食堂に案内をしてくれましたわ。そこで食事をとり、部屋に戻って寝ました。


翌朝、朝食を取りに食堂に行くと彼らは二日酔いになっておとなしく食事をしていましたわ。それを見た神官長はほくそ笑んで、大声で「おはようございます。これより、転移魔方陣でスープ国に行ってもらいます。これから、この国が大変になるのでお逃げください。それと、この手紙をスープ国コンソーメ神殿の神官長にお渡しください」わたくしも大声で、「わかりましたわ。お願いします。よろしいですわね?」と彼らに向かっていいました。馬鹿ビクトリアスは「うるさい。黙ってついて行くから静かにしろ」と小さな声で怒って言いました。


そして、転移魔方陣を使いこの国を後にするのでした。

神官長が「この国が大変になるのでお逃げください」と言っていますが、ミソシール国の者たちを追い出すための大嘘です。

主人公たちと宿にいるミソシール国人以外は、それが分かっています。

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