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怪盗黒薔薇  作者: 杠葉 湖
第3話 ニーナの登校
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第3話 ニーナの登校-4

 小テストが終わり、授業も進んで昼休み。

 学食で焼きそばパンを買ってきたニーナは一人、屋上のベンチに腰掛けメモ帳にペンを走らせていた。

「四阿百合。本作の主人公。県立妹尾高校2年B組生徒。黒髪のロングヘアーがトレードマーク。読書が好きな物静かな少女。眼鏡をかけている。メガネっ娘」

「怪盗黒薔薇。百合が怪盗に変身した(変身させられた)姿。メガネではなくコンタクトに変えている。手には腕まで覆う黒の長手袋。足には太ももまである長い黒のソックスと、膝下の高さの黒いブーツ。上半身には胸元が割れ、やたらと胸元を強調した黒いローレグのレオタード。下半身には膝上の長さの黒いミニスカート。敵と戦う時は、手にした黒薔薇を武器に変化させて戦う」

「星音ニーナ。四阿家に居候している幽霊の少女。どらやきやたいやきといった、甘い物が好き。とても明るい性格をしている。百合ちゃんの大親友」

「怪盗ホーリースター。ニーナの生前の怪盗姿。ニーナがいた世界では伝説の怪盗だったらしい。セクシーなマジシャンのような服装」

 ここでいったんペンを止め、ページをめくる。

「三笠通。県立妹尾高校2年B組生徒。気が優しい優等生」

「赤羽三森。県立妹尾高校2年B組生徒。気が優しい優等生」

「猪狩高志。県立妹尾高校2年B組生徒。気が優しい優等生」

「鴻上夕奈。県立妹尾高校2年B組生徒。気が優しい優等生」

「三笠沙絢。市立妹尾中学2年C組生徒。気が優しい優等生」

 そこまで書くと、ペンとメモ帳をベンチの脇に置き、パンを食べる。

「うーん、久々の焼きそばパン!このおいしさは学生の特権よねー」

 ニーナは表情を緩めて、とても幸せそうに食べる。

 そこへ、百合を探していた三森がやってきた。

 三森は鉄製のドアを開けて屋上へと姿を現し、ニーナが変身した百合の姿を見つけるや、近寄ってくる。

「ちょっと百合。どうしたのよ突然どこかに行っちゃって。今日は学食でAランチじゃなかったの?」

「み、三森ちゃん!?」

 突然の来客に、ニーナは目を白黒させ慌てふためく。

「ん?」

 ニーナに近寄ってきた三森は、彼女の隣に置かれていたメモの存在に気がついた。

「何これ?」

 気になった三森は、それを拾い上げる。

「あっ!そ、それは!?」

 ニーナは止めようとするが、時既に遅し。三森はメモを隅から隅まで目を通すと、ニーナを見た。

「……何これ?」

「え、えっとね、それはその……そ、そう!今度、推理小説を書こうと思って!そのモデルっていうか、原型って言うかを、ね!!」

 ニーナは身振り手振りを交え、必死で弁解する。

 三森は不審げな目でメモとニーナを見比べていたが、ハァっとため息をついた。

「あのね百合。この登場人物は何?みんな『気が優しい優等生』って。これじゃあ設定にも何にもなってないわよ」

 そしてメモをニーナに返すと、隣に腰掛ける。

「そ、そうだね……」

 ニーナは乾いた笑いをする。

(あ、危なかったー!)

 そして心の中で、大きくため息をつく。

 ページをめくられていたら今頃どうなっていたか。

 そう考えると、ニーナは生きた心地がしなかった。

「ところで百合、今日の古文どうだった?」

 三森は学食で買ってきたサンドイッチを食べながら、ニーナに話しかける。

「うん、まぁまぁ、かな?」

 ニーナは謙遜しながら答えた。

「あら?いつもと違ってあまり自信ないみたいじゃない」

「ちょっとね。三森ちゃんと同じくらいの点じゃないかなぁ?」

「それなら、負けた方が学食おごるって言うのはどう?」

「え?いいの?なんだか三森ちゃんに悪いなぁ」

「あら?言うじゃない。私だって負けないわよ?」

 ニーナと三森は互いに顔を見合わせ、クスクスと笑う。

 そして昼休みは過ぎていった。

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