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怪盗黒薔薇  作者: 杠葉 湖
第3話 ニーナの登校
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第3話 ニーナの登校-2

「おはよー」

「おはよう」

 朝の挨拶が賑やかに飛び交う県立妹尾高校。

 朝陽を浴びて登校する生徒達の中に、百合に変身したニーナの姿もあった。

(うーん、懐かしの学舎(まなびや)!やっぱ高校生はこうでなくちゃねー)

 ニーナにとっては久方ぶりの学校。

 景色はかなり違うが、雰囲気は似ているものがある。

 思わず心が躍る。

「フンフフーン♪」

 ニーナは心の中で鼻歌を歌いながら、軽やかな気分で昇降口へと向かう。

「よっ、おはよ四阿」

 その途中、ニーナは声をかけられた。

 しかし浮かれていたニーナは、その声に反応せずに、立ち止まることなく歩を進める。

「どうしたんだ四阿?」

 今度はポンと肩をたたかれる。

 突然の出来事に、ニーナは激しく身を震わせた。

「あっ、悪い。そんなに驚くとは思わなかったからさ」

 ニーナの反応に、相手もバツが悪そうに言う。

「あ、ごめんなさい。おはようございます。猪狩君」

 ニーナは相手の顔を確認し、それが同級生の猪狩高志と理解するなり、笑顔を作り、挨拶を返した。

(いけないいけない。今はあたしが四阿百合だった)

 ニーナは心の中で自分の頭をコツンと叩き舌を出す。

「どうしたんだ?ボーッとして。ひょっとして、今日の小テストのことで頭がいっぱいとか?」

 高志の質問に、ニーナは首を横に振る。

「ちょっと、雲を見ていたから」

「雲ぉ!?」

「うん。あの雲、昨日食べたたいやきに似ているなぁ、って思って」

「たいやき……」

 高志は何とも言えない表情を作る。

「どうしたの猪狩君?早く行かないと授業始まっちゃうよ?」

 ニーナはそんなことお構いなしに、笑顔を作りながら高志に言った。

「あ、ああ……」

 高志はコクンと頷き、ニーナの横に並んで歩く。

「……なあ四阿?お前、何かあったのか?」

 高志は、何気なくニーナに問いかけてきた。

「えっ?別に何もないけど?」

 ニーナは不思議そうに聞き返す。

「それじゃあ、変なもんでも食った?」

「たいやきは変なものじゃないよ。変な猪狩君」

 クスクス笑うニーナに、高志はますます不可解な表情を浮かべるのであった。

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