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第8話 拉致された姫君たち

 凄まじい爆発音と共に館の壁が粉砕される。アルフレッドと呼ばれた男がわけもなく魔術で館に大穴をあけて、外に脱出をしていく。それに続くようにオレを抱える部下のヴァルデンブルク解放戦線の兵士達が続く。


 外へ出ると空は昼間なのにまるで夜のように暗闇であった。どうも、魔術で結界内を闇で覆っているようだ。これはヴァルデンブルク解放戦線に高位の魔術を使える者がいることの証明だろう。


 館の扉の前を固めていたジークの部下達の怒声が鳴り響く。テロリスト共があそこに現れたぞとか。早く駆けつけろよ。


 外に出た為だろうか。暗闇の中でもある程度の顔が認識できるようになってきた。セリアは大丈夫だろうか。彼女の安否が気になり、セリアを見ると…


 ずっとアルフレッドの顔を呆けたように見てやがる。アルフレッドの顔は確かに整っている。美形と言っても申し分ないだろう。


 それを乙女の視線から見るとイケメンとお近づきになりたいのかも知れない。だが、状況を考える必要があるだろ。セリアよ、今はおまえの命が危ない時だぞ。その乙女モードをやめなさい。そうじゃないとお父さん泣いちゃうよ。


 オレがいろいろな意味で窮地きゅうちに立たされているときにヴァルデンブルク解放戦線の兵士たちはこちらに向かってくるジークの兵士共の対処方法を話し合っていた。


「ザコに構っている暇はありません。君たちは王女を連れて飛び立ちなさい」


「アルフレッド様、あなたを置いていけません」


 部下達からも慕われているのか。アルフレッド君はモテモテでさぞご満悦だろう。オレの可愛い娘の視線を独り占めにするだけでは飽き足らずに部下から身を案じられるとは…


 う、羨ましくなんかないんだからな。娘が元気で幸せならばそれでいいのだ。彼女を守ることがオレの2度目の人生で与えられた使命の1つだからだ。オレは勝手にそう決めて使命感に燃えることにした。


 そんなことを思っていても、オレは荷物のように抱きかかえられて運ばれている最中だからな。さすがのオレも何も出来ない。なんだよ。このシュールな状況は…

 

「私はしばらく時間を稼ぎます」


 アルフレッドはそう言った後に懐から赤銅色をした短剣を取り出す。


「再現せよ。地獄の業火ごうかよ。すべてを燃やしたまえ!」


 そう言ったアルフレッドは大地を蹴り、赤銅色をした短剣を掲げる。


 アルフレッドが持つ短剣から放たれた灼熱の火炎が辺り一面が焦土とかす。炎はセリアを取り戻そうとした多くの兵士を巻き込む。兵士達は一瞬で炭となり崩れ落ちていく。


 エグい魔術を使いやがる。それにしても、詠唱が余りにも早く、魔術が大規模で威力が大きいな。アルフレッドは並の魔術師ではないようだ。


 それに奴が持つ魔導具も並みではなさそうだ。今度は腰にある鞘から長剣を引き抜くと剣に火炎をまとわせて、館を守る兵士達に斬り掛かる。切られた兵士どもは、次々と生きたまま燃えて、消し炭になっていく。ジークの兵士共がその光景に怖じ気づき後ずさっていくのが見ていてわかる。

 

「早く、魔術を起動しなさい。そして、先に行きなさい。私は他の者を逃がしてから行きます」


「アルフレッド様、先に行っております」


 アルフレッドの部下が飛翔の魔術を使い、跳躍する。オレとセリアを連れて軽々と飛んでいく。オレ達はいったいどこに連れて行かれるのだろうか。

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