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第17話 焦燥と憤怒からの怨嗟

 焦るオレの手は思うように動かず、何度も呪符を落としそうになる。


「早くしないと。早く! 早く魔力を!!」


 ああ、気持ちばかりが先走る。呪符に中々、魔力が通らない。魔導具は魔力回路に魔力を流さないと起動しないのに…


「やった。ようやく、魔力が流れはじめた…」


 早く、詠唱を! 詠唱をしなくては!!


「…流しされすべてを! 飲み込め濁流。汝は水に生を受けた蛟なり!!」


 間に合え、間に合ってくれ!! まだまだ、フリッツおじさんから聞きたいことが山ほどあるんだ。妻のこと! そして、最愛の娘であるセリアのことを!!


 オレの呪符から放たれた巨大な水柱の如き濁流は凄まじい勢いを伴って、ルクレツィアが産み出した炎を捉えるのに成功した。


「やった!! 間一髪かんいっぱつといった所だな。何とか間に合った。さすが私だ…」


 え!? 炎? 床から突如として炎が現れたぞ!? なんだよ!! あれは!! くそ、オレの放った水の魔術が一瞬にして水蒸気となって消失したぞ。


「フフフ、私は魔力の流れから魔導具の位置すら把握できる能力を持っているの。あなたの魔術を考慮していないわけがないでしょう?」


 ちくしょう。ちくしょう! オレの行動は最初から奴に予測されていたのか! 他に方法はないか? 考えろ!! 時間がないぞ。


「もう、遅いわよ?」


 オレはルクレツィアの言葉に反応して、視線を彼女が指差す方向に動かす。


「ああ、炎がおじさんを包み込むように! 何ということだ。助けれなかった。フリッツおじさんを助けることができなかった!!」


 膝から崩れ落ちるようにオレは倒れ込んでしまった。そんなオレを見て、ルクレツィアはニヤニヤとイヤらしい笑みを浮かべやがる。


「…許さない」


「なに? なにか言ったのかしら?」


 殺してやる。殺してやるぞとそう言ってオレはルクレツィアを睨みつけた。

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