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第11話 ゲオルグとアルフレッドの攻防

 砕け散ったコンクリートの破片が辺りに四散している。いったい、どうやったら、家がこんなに揺れて壁に丸い穴があくんだ? どうみても魔法で一撃粉砕したようには見えない。


「セリア様、はじめまして、私はジーク閣下の部下であるゲオルグです」


 そう言って、俺の前で、ゲオルグは礼儀正しくセリアに頭を下げる。


「セリア様、どうなさいましたか? 早く帰りましょう。ジーク閣下がお待ちです」


「……そうで」


 ゲオルグがそう言ってセリアに迫る。セリアが何かを言おうと口を動かしだしたが、


「セリア王女はおまえらの所には戻りたくないと言っておられる!」


「おまえは誰だ!? 」


 話はじめたセリアの言葉を遮り、アルフレッドがそう答える。


「なるほど、おまえが誘拐の主犯だな」


「そうかもしれませんね。彼女を連れて行きたかったら力ずくで来たらどうでしょうか? あなたは私たちがセリア王女をなにもせずに渡すとお思いですか?」


 アルフレッドはゲオルグをまるで挑発するようにそう言って構えをとる。そして、彼は部下のダミアンにセリアとオレを安全な場所に連れて行けと命じて駆け出す。


 その後、命令を受けたダミアンはオレ達を移動させようとしたが、後ろからきた複数の兵士から攻撃を受けて、その場に沈む。オレとセリアはジークの部下達に囲まれながらゲオルグとアルフレッドの戦闘に魅入っていた。


「おまえのような小童がこの俺に叶うと思っているのか?」


 怒声を上げたゲオルグは、アレフレッドの前に移動をして突進。オレが見た所では、アルフレッドはゲオルグの突進を右にサイドステップをすることで辛うじて避けていた。


 だが、ゲオルグの猛攻は止まらない。サイドに避けたアルフレッドに対して体を捻りながら、追撃を仕掛けてきた。ゲオルグがその巨体からは考えられないような俊敏さで拳を振るう。


 壁際に来ていたアルフレッドは急いで駆け、ゲオルグと距離を取る。ゲオルグが振り上げた拳が家の壁を打つ。凄まじい音が大地を震わせる。ゲオルグの拳が当たった家の壁は虚しくその用途をなさなくなっていた。


 なるほど、先程の壁にあいた穴はゲオルグルの拳によってあいたのか。本当にゲオルグは人間なのだろうか!? 俺はその凄まじいパンチの破壊力に恐怖を感じた。


 さらにゲオルグは拳を降りおろした後にすぐアルフレッドとまわいを猛烈なスピードで詰める。そして、アルフレッドに向かって巨体な体から放たれる力強いパンチ。そのパンチは風圧だけで、整備された路肩の大地を抉っている。奴は本当に人間か!? 巨人族か竜人ドラゴニュートと言われても、俺は驚かないぞ。


 それを予測していたのかアルフレッドはゲオルグの拳を避けた後に魔術で防壁を作り、風の猛威を凌いだ。


 な、なんという戦いだ。ハイレベル過ぎる。子供の俺に出る幕がない。そして、ジークはこの凄まじい強さを持つゲオルグと同等クラスの部下をあと数人抱えている。


 そのことを考えるとすくなくともゲオルグを超えないとジークには復讐ができない。今のままではジークまでオレの刃は届かない。


 そんな感じでオレはジークに対して復讐する方法を考えることに夢中であったがこの二人の攻防が余りに凄まじいために思考は中断。そして、彼らの戦闘から徐々に目がはなせなくなっていった。

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