第九十五話
ネタ多め。
二月一日に効力が始められた停戦に各国の国民は一時の平和を堪能する事になった。
「南太平洋の防衛ラインはラバウルまで後退ですか。それはやむを得ませんね」
「賠償金も取る事は無いのだ。一応は良しとしなければならんな」
何時もの料亭に集まった将裕達はそう話していた。
「ですが……アメリカがどう出るか不明ですね。彼等は負けてばかりで彼等は勝つ事に執念を抱いています」
「うむ、油断は禁物だな」
将裕の言葉に宮様は頷く。
「それに……ドイツの方も少しキナ臭い」
「キナ臭いというと……?」
「ヒトラーより領土の拡大は目指していない。どうも味方を増やす動きだな」
ロンメルは領土を欲するより友好をとって連合国から守勢に転じようとしていた。
ヒムラー達は反対したが、ナチス……特に親衛隊の横暴はロンメルの耳に届いており親衛隊の力を削減しようとしていたのだ。
「国防軍と親衛隊の争いが起こるかもしれんな」
「まぁそれは向こうの事ですから我々が介入する意味はありません」
あまり他国に介入しては史実の二の舞になると将裕は警戒した。
「それと軍縮ですが……陸軍は賛成です。既に四個師団を解散して兵員の除隊をしています」
一応の平和がなったので各国の軍は軍縮をする……筈である。
陸軍は機甲師団の再編成を目指しており、戦車部隊も二個旅団から三個旅団に増やし戦車一個中隊も十六両に増強する事になっている。
「海軍も旧式艦艇を他国に売却するか、新たに創設する海上保安庁に籍を移すか思案している最中です」
海軍も旧式艦艇を売却するか、創設する海上保安庁に籍を移すか思案をしていたが艦艇を売却すれば技術性能が知られる危険性があるので海上保安庁に籍を移す意見が大半となっている。
この海上保安庁は表向きは密入国者の取り締まり等を目的だが、裏向きは海軍関係者の天下り先となっている。それと保安庁の艦艇建造を先伸ばしさせる意味もある。
保安庁の艦艇はまだ海軍に在籍している旧式の神風型や睦月型が兵装を降ろして編入する予定である。
「ふむ……まぁ、それは追々とやるしかないだろう。それとだ楠木君、君に休暇をやろう」
「休暇……ですか?」
将裕の言葉に宮様は頷いた。
「ここ最近、徹夜を何日もしていたと聞いている。停戦という思わぬ事態が起きたのだから仕方あるまい。身体を休めんと身体が言うことを聞かぬぞ?」
「はぁ、すみません」
「箱根に海軍御用達の旅館が先日開店したので湯治に行ってこい。たまには休め」
「すみません宮様。では御言葉に甘えて」
宮様の言葉に将裕は頷き、会合はそこで終了となった。皆は部屋をゾロゾロと退出したが、十分後には将裕を除いた全員が集まっていた。
「取りあえずこれで準備完了だ」
「はい、布石は打ちました」
「前田少佐、三人には言ってあるな?」
「無論であります。明日の朝に箱根の温泉に向かいます」
一同が話していたのは四人の関係修復だった。
「この作戦は陛下も承諾している。失敗は許されんぞ」
「真珠湾以上の作戦ですな」
「菊水作戦発動だッ!!」
『オォォッ!!』
男達は拳を高々とあげたのであった。
「……はぁ……ええ湯だな」
将裕は温泉に浸かっていた。将裕は列車で箱根の温泉に来ていた。
宮様が根回しをした旅館に将裕は泊まり、温泉で浸っているのだ。
「ぁ〜」
将裕は潜水して直ぐに顔を出す。
「油断してると寝そうだな」
将裕はそう言って笑った。
「楠木は温泉を満喫しています」
「うむ、三人はどうしている?」
「今は部屋で寛いでいます」
「宜しい。では第一作戦を始める」
とある部屋には前田少佐、宮様、東條の三人がいた。
「しかし……御二人は仕事があるはずじゃあ……」
「「全て堀(杉山)に押し付けた」」
何気に酷い二人である。
「第一作戦と言っても三人を温泉に行かせるだけですがね」
「それでも重要だ」
前田少佐は部屋を出て、寛いでいた霞達に温泉に行くよう言った。
「この温泉は肌によく効くらしいぞ」
「ふむ、行くか」
「そうだな」
前田少佐の言葉に釣られて三人は将裕がいる温泉に向かう。前田少佐は三人が温泉の暖簾を潜ったのを確認すると、手前に掃除中の立て看板を置く工作をした。
ちなみに、この旅館側も全面的に協力をしている。
『此方甲賀一、三人が温泉に入ります』
「甲賀一、覗いたら銃殺刑だぞ」
『視認しないといけないのにどうしろと?』
「心の目で見ろ」
『無茶言わないで下さい。ちなみに私は小さい鬼が好きなので問題はありません』
「……なら問題無いな」
「……それで良いんですか?」
それは兎も角、三人は将裕がまだ入っている温泉に入った。
「む?」
「どうした霞?」
「どうやら先客がいるようだ」
「まさか混浴だったのか?」
三人は恐る恐る湯に浸かる。
「ふぅ〜タップリと浸かったしメシでも食うかなっと……」
『………』
そこで時が止まったのは確実だった。四人の思考は『何故此処にいる?』であった。
「……将……宏……?」
「ッ……」
霞の言葉に将裕は我に返り、その場を去ろうとした。
しかし、ヒルダが咄嗟に一本背負いをして将裕を温泉の中に叩き込んだ。
「ブハッ!! な、何を……」
「将宏……だよな?」
ヒルダの眼光に将裕は怯んで口をつぐんだ。
『将宏だよな?』
「……はい、そうです」
将裕は三人の視線に耐えられずにそう認めた。そして三人はというと……。
『………』
「……あの、三人さん?」
三人は俯いていたが、やがて顔をあげると三人は泣いていた。
『将宏ォッ!!』
「ちょ……」
三人が将裕に抱きつき、四人は温泉の中に飛び込んだのであった。
『此方甲賀一、三人が楠木少佐に抱きつきました。その拍子で温泉の中に飛びこびましたが』
「……まさか第一作戦で成功するとはな」
「ちなみに作戦はどれくらいありますか?」
「二つ程あった。最終は四人を睡眠薬で眠らせて四人を同じ布団に寝かせる事だ」
「なにそれこわい」
前田少佐達はそう話し合うのであった。なお、四人は裸だった事に気付いて三人が将裕を殴って気絶させたのは予定範囲内だった。
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