第八十八話
色々とネタを考えたらこうなった。
それから数日後の十一月二八日、ドイツ軍はウラル山脈要塞まで後五キロまで迫っていた。
そしてその時にクーデターが発生した。スターリンがいた部屋には一個小隊の兵士とフルシチョフにベリヤがいた。
「一体何故私を捕まえるのだベリヤッ!! フルシチョフッ!! 事によっては貴様らをシベリア送りにするぞッ!!」
縄に縛られたスターリンが二人に激怒をする。
「御覧の通りですよ同志スターリン。クーデターです」
フルシチョフはスターリンに言う。
「同志スターリン。貴方はソ連人民を殺し過ぎた。それを償う時ですよ」
「気でも狂ったのかフルシチョフッ!!」
「気なんぞ狂ってませんよ。むしろ狂っているのは貴方です同志スターリン」
「………ま、今の貴方には何を言っても無断でしょう。投獄させてもらいます。なに、今まで貴方がしてきた仕打ちを自分がするだけです」
「連れていけ」
「何故だッ!! 何故だァァァーーーッ!!」
兵士によって牢屋に連れて行かれるスターリンの叫び声が廊下に響いた。
「「До свидания(ダスヴィダーニァ)同志スターリン」」
連れて行かれるスターリンにフルシチョフとベリヤはそう呟いた。
「……取りあえずは此処までの課題は取り除いた。次は……」
「ちょび髭とですな。外交のところは私とモロトフで行います」
「うむ、頼んだ」
そして、フルシチョフとベリヤはドイツ軍に降伏する決意をした。
―――1944年十二月一日―――
ソ連はドイツ及び枢軸国に対して降伏の電報を発した。
戦闘していたドイツ行います枢軸国はその電報を受けて攻撃を停止して現在地での停戦となった。
ソ連はスターリン書記長をクーデターにて更迭した事を発表した。
そして新たにフルシチョフが書記長となり講和交渉となる。
なお、投獄されたスターリンは隠し持っていた青酸カリを飲み込んで牢屋内で服毒自殺を図った。
この報告にヒトラーは狂喜乱舞し、将宏達は安堵の息を吐いた。
講和交渉は先にドイツとソ連が交渉を開始した。
一週間にも及んだ講和交渉は一先ず十二月八日にモスクワで合意されて、モスクワ講和条約と言われた。
講和内容は、簡単に言えばソ連は大幅に枢軸国側に領土を割譲した。
ソ連はドイツにウラル山脈以降西をドイツに譲渡してウラル山脈を国境線と設定された。それに伴いソ連の首都はオムスクとなった。
これにより、ソ連の工業力は疎開している工場を除いてほぼ失われた。フルシチョフはソ連の建て直しを優先するために軍の大幅な軍縮をする事になり多数の兵器が第三国に流れるのであった。
なお、枢軸国側賠償金は請求しないとなった。
これによってドイツは黒海はもとよりカスピ海北部沿岸も獲得してイランにいるイギリス軍を攻撃しやすくなったのである。
総統官邸内では「再びアシカ作戦を発令するのでは?」と憶測が流れたが、それは杞憂であった。
「アシカ作戦は最後だ。ドイツ軍は新たなる編成をして中東へ侵攻する」
ヒトラーはそう決断した。ドイツはレーダーと防空戦闘機による迎撃でイギリス空軍の空襲を防いでおり、ヒトラーは中東を優先したのである。
ただ、今はウラルから西の治安維持を優先させて兵力の回復に務めた。
なお、ソ連人民最大の敵であるルーデルは独ソ戦が終わった事にコメントを残していた。
「イワンの戦車を叩けなくなったのは残念だがこれからはライミーとヤンキーの戦車を叩く事にするしかない。ところで君も牛乳を飲まないかね?」
というコメントだった。
――ホワイトハウス――
「……スターリンが死んだか。まぁ奴の自業自得だな」
「はぁ、ですが顧客が減るかどうかですな」
「うむ、フルシチョフ書記長には引き続きウラジオストクの航空基地租借を打診するしかあるまい」
ルーズベルトとハリーはそう言っていた。スターリンが死んだ事にはルーズベルトも予想していなかったが、顧客であれば別に問題は無かった。
「問題はチャーチルだな。ヨーロッパは風前の灯火だ、直ぐにでも救援をしなくてはならん」
「ですが北アフリカは陥落してます」
「今度は我々が人員も送る。数は約十五万だ」
この時、陸軍は北アフリカの他にも北フランスのノルマンディーにも兵力を上陸させる計画があった。
しかも戦車はM4中戦車だけではない。アメリカが威信をかけて開発したM26パーシングを送る予定であった。
既に生産ラインに乗り、三百両近くが陸軍に引き渡されておりハワイの陸軍部隊にも三個中隊が配備されていた。
「海は海中を警戒しておけば良いだろう。ドイツの水上艦艇は少ない。警戒するのはUボートくらいなものだ」
「はぁ……」
ルーズベルトはハリーにそう言った。だが、アメリカもそこまで本気を出してない。
アメリカは太平洋と大西洋を挟んで戦っているため太平洋側にも戦力を出さなければならない。
「問題はジャップだ。ウラジオストクから攻撃しているのにも関わらず、激しく抵抗している」
「いっそ、ジャップと一時的に休戦してヒトラーを先に倒しますか?」
「それは出来ん。ジャップなんぞに休戦するくらいならヒトラーと手を握った方がマシだッ!!」
ルーズベルトはそう叫んだ。
「プレジデント。別に休戦ではなくても宜しいのでは?」
「どういう事だ?」
「太平洋戦線は一時的に攻撃を停止して欧州戦線に集中しては如何ですか? ソ連が片付けられたので日本は北から南方に戦力を集中するかもしれません」
「ふむ……確かにな。よし、相談してみよう」
ルーズベルトはそう判断したのであった。これにより太平洋戦線は一時的に攻撃が無い状態になった。
アメリカは欧州戦線のためにノルマンディーと北アフリカの上陸を真剣に検討するのであった。
――日本、前田家――
「入るぞ」
将宏と霞はタルノフ大尉の部屋に入った。対するタルノフ大尉は将宏と霞に視線を向けたが直ぐに外に向けた。
「……ソ連に問い合わせたが、やはり君の家族は……」
「シベリアで亡くなっていた……ですね」
「………」
タルノフ大尉の言葉に将宏は無言で頷いた。
「……私がしてきたのは……無駄だったのか……」
タルノフ大尉は閉じた目から涙を流していた。ソ連大使に撃たれたタルノフ大尉であったが何とか一命をとりとめていた。そして海軍病院に移されたタルノフ大尉は将宏に家族の安否を尋ねた。
スターリン亡き後のソ連に日本は安否を尋ねたが、ソ連からの回答はシベリアにて亡くなった事であった。
「父……母……妹は……もうこの世には……」
「……まだ君がいる。亡くなった家族のためにも、君は生き続けなければならない」
「もう私に生きる意味は無いッ!! 私が軍にいたのも家族を助けるためだッ!! それなのに……家族がいなければ私がこの世に存在する理由は無いッ!!」
「ッ!!」
パチィンッ!!
その時、今まで黙っていた霞がタルノフ大尉を叩いた。
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