第八話
今回は焼酎を飲みながら書いたのでほぼ見境ありません(笑)
友人に見せたら「某小説と被らね?」と言われましたが、それは自分も思った……。
そう指摘された修正しますので。
将宏が過去の世界に来てから三ヶ月が経った。陸軍は三八式野砲を徐々に退役させつつ九〇式野砲の生産と配備を急がせていた。
また、九一式十サンチ榴弾砲の生産も急がれている。陸海軍は兵器量産のために熟練工員や作業員、研究員等の技術職に就いている者は全て除隊若しくは徴兵しない事を決定して国会に徴兵制の改正案を提出した。
これには軍内部や議員達から「精神で補えばいい」とか噴出をして審議が進みそうになかった。
そこへ陛下が改正案に賛成を表明。反対していた者達も陛下には何も言えず、漸く改正案が通過して制定されたのであった。
この徴兵制の改正後、陸海軍で兵役の任に当たっていた技術者達は除隊され、元の仕事場に復帰する事が出来たのであった。
これにより兵器の生産も少しだけ弾みがついた。この功績で将宏の評価は少し上がったりする。
更に陸軍は一時的に兵士を除隊させてその分のカネを兵器増産に当てた。海軍もそれに賛同するように水兵を一時的に除隊させてカネを兵器増産に当てた。(航空隊や整備員は対象外)
また、伏見宮を通して将宏は岡田啓介首相と面会して朝鮮のインフラ費用の大半を打ち切って国内のインフラに回す事を提案した。
岡田首相も了承して、内閣でも閣議決定された。これにより朝鮮のインフラ費用は主にソウルと平壌の二都市に宛がわれるだけとなった。
これで費用は国内の開発に回されるが、この出来事で日本の道路整備は格段と早くなった。
そしてそれらに手を回していた将宏はというと……。
「ぁ〜漫画に飢えてきたぁ〜〜〜」
海軍省の宛がわれた一室で将宏は唸っていた。この部屋は伏見宮が将宏のためにわざわざ用意した部屋である。
部屋にはパソコンや携帯が使えるように特注のコンセントまで用意してある。
「漫画ぁ? それならお前が今読んでいるじゃないか」
部屋には連絡員の前田少尉がいる。
「流石に何回も何回も読むのは飽きてきたわ」
将宏はそう言ってぐでぇっと机に身体を倒れ込ませる。机の回りには『初○連合艦隊』やあく○ず、東○projectの同人誌があったりする。
「一応弾幕や大帝○は出来るから問題はないけどさぁ。流石に飽きるから」
「俺に言われてもなぁ……」
「……そうか」
不意に将宏が呟いた。何かを企んでいそうである。
「そうやったな……漫画が無いなら……作ればいい」
「……はぁ?」
「そうやったな。何故、そこに行き着かなかったんやろな。前田少尉、絵が上手い奴を見つけて漫画を書かせて読む」
「……ひでぇ」
「というのは俺の本心だが……実際は違う。子どもの娯楽を増やす目的だ」
「子どもの娯楽?」
「未来の日本は子どもの娯楽はかなり多い。外で遊ぶ奴もいれば本を読む奴もいる」
「ふむふむ。遊ぶのは自分が決める事だからな。遊ぶ選択肢を増やす意味もあるわけか」
「そういう事や」
「本音は?」
「のらくろばかり飽きたッ!! のらくろが悪いわけじゃないけどッ!!」
「ぶっちゃけすぎるな」
将宏の叫びに溜め息を吐いた前田少尉であった。そして将宏の具申は将宏の強い意思によって伏見宮達にも認められた。
将宏は早速陸海軍から絵が上手い兵士が集められて漫画を書かせる事にした。
陸海軍も当初は漫画に渋ったが、兵士の娯楽も考えると妥当であると判断した。
「最初は子ども受けとして野球の漫画を書いてみたらどう?」
「それはいいですね。難しい物を書くより簡単ですね」
将宏の意見に伍長が頷いた。結局は野球漫画にする事が決定された。
内容はというと、土佐の貧しい漁師の家に生まれた青年が野球に出会って漁で鍛えた身体で中学野球に出場した時に株式会社大日本東京野球倶楽部にスカウトされてアメリカ遠征に向かい、強打者揃いの大リーガー相手に投げまくるスポ魂系の野球漫画であった。
漫画は当時の少年倶楽部で連載され、たちまちのらくろと並ぶ人気漫画となった。
後に実在の選手や球団を入れたりして日本野球の原動力となったりする。なお、この野球漫画ではライバル対策としてジャンプして投げる投法やボールを分身して投げる投法、自らがマウンド上で回転して投げる投法などが出現して原っぱでそれを真似る子ども達が続出したという。
「フハハハ、見ろッ!! 連載半年でこんなに人気漫画になるとは……」
「やりましたね少尉」
将宏の言葉に伍長が笑う。ちなみに将宏は漫画の製作には参加しておらず、自分が見た漫画やアニメを彼等に語って彼等が独自に作っていた。
「軍も漫画を称賛してるし軍人の中でも読んでいる者もいますよ」
「だろうな(スポ魂が受けてよかった……)。ところで、もう二作品作らないか?」
「二作品ですか?」
「おぅ、一つは少女向けの作品でもう一つは軍用の作品や」
「少女向けは分かりますが軍用のは何ですか?」
「まぁ単刀直入に言えば……エロだよ」
「……ぁ〜、分かりました。自分も男ですから後は分かります」
周りを見れば頷いている兵士達がいる。
「軍用のは薄い本にしようと思う」
「家族にバレたら厄介ですからねぇ」
てなわけで二作品の製作が始まった。少女向けのは五人の少女が妖怪と戦う作品であり、女性からの人気が出た。
軍の作品は言わば同人誌の系列になり、最初は際どくしようと言う事であ○しずのをモチーフされた。これも兵士達からは受けた。
軍隊という集団生活の中で中々娯楽が無いので受けた事もある。頭が固い士官もいたが実はこっそり買っていたりする。
なお、儲けたカネは半分が製作した作者達に渡されてもう半分は軍に渡している。
漫画のスポンサーは軍であるので当然の事である。軍はこのカネも機械の購入などに宛てたりしている。
「ふむ……河内君が提案した漫画は絶大な人気のようだな」
「は、漫画が受けて良かったです。今はホッとしています」
将宏は伏見宮と話していた。
「確かに……この野球漫画は面白いな」
伏見宮はパラパラと野球漫画を読む。将宏も同意するように頷いた。
「兵士にも士気向上として本を売っています」
「まぁ、軍隊生活だからな……エロもいいが普通のも頼むよ」
「普通のも考えておきます。今のところ考えてるのは歴史物ですね」
「うむ、出来たら儂にも読ましてくれ」
「み、宮様……」
「ハッハッハ」
将宏の苦笑に伏見宮は笑いで答えるのであった。
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