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第七十六話






 時系列は少し戻る。スプルーアンスの第五艦隊から第二機動艦隊への攻撃隊が発艦中、今まで米軍から接触されていない小沢中将の第一機動艦隊から発艦した彩雲が第五艦隊に接触した。

「直ちに攻撃隊を出すべきですッ!! 山口中将の第二機動艦隊にスプルーアンスが向けているなら千載一遇ですッ!!」

 第一機動艦隊旗艦大鳳の艦橋で内藤航空参謀がそう主張していた。

「自分も内藤航空参謀の主張に同感です長官」

 古村参謀長も賛同している。

「……良し。制空隊を発艦させろ。全戦闘機吐き出せッ!!」

 小沢長官はそう決断をした。予め飛行甲板に待機していた制空隊の烈風と零戦はプロペラを回し始めて発艦していった。

 第一機動艦隊はミッドウェー海戦で赤城以下三空母を喪失し、一時期は解散をしていた。

 しかし、昨年に大鳳と天鳳、雲龍型三空母が就役しており初期の第一航空艦隊より遥かに多かった。

 そして第五艦隊の攻撃として第一次攻撃隊は彩雲三機と烈風五八機、零戦一七四機が発艦した。

 零戦は逆ガル型の六四型が多かったが、ヤップ島の第一航空艦隊からの援護機の五三型も少数ながらいた。

 第一機動艦隊から制空隊が発艦してから十数分後、ヤップ島方面から百機以上の編隊を対空レーダーが捉えた。

「長官、ヤップ島からの攻撃隊です」

「……塚原さんは早すぎる……」

 内藤航空参謀の言葉に小沢長官は苦笑した。ヤップ島から発進してきたのは塚原中将の第一航空艦隊の攻撃隊であった。

 塚原中将は小沢中将が制空隊を発艦させていると予定して攻撃隊を出したのだ。

 そもそもヤップ島から飛来した攻撃隊のうち、零戦隊は燃料補給のために給油するのが第一機動艦隊の役目であった。

 第一航空艦隊の攻撃隊は零戦二七〇機、一式陸攻百八十機、銀河百五十機、飛龍百二十機、彩雲十八機であるが、零戦隊が早めに発艦して第一機動艦隊に飛来したのだ。

「零戦隊を収容して給油させろ。給油出来た零戦から発艦させるのだ」

 小沢長官はそう指示を出す。基地航空隊のパイロットは着艦するのにかなりの技量はいるが、昨年は第一航空艦隊が出撃する機会は無かったので、第一航空艦隊の零戦隊のパイロットは内地にいる時に第一機動艦隊に着艦していた経験があったのだ。

 母艦隊よりかは少しフラフラしているがそれでも零戦隊は各空母の飛行甲板に降り立った。

「ふぅ、久しぶりの着艦は緊張したな」

 大鳳の飛行甲板で台南空から第一航空艦隊に移動した坂井三郎飛曹長はそう呟いた。

「ほぅ、坂井でも緊張するものはあるんだな」

「それは酷いですよ笹井中隊長」

 坂井は笹井醇一大尉にそう反論した。

「そろそろ休憩は終わりだ。旅路はまだまだ長いぞ」

「我々が行く頃には敵戦闘機はいないかもしれませんね」

 二人は笑いながら零戦に乗り込んで発艦していくのであった。

 第一航空艦隊の攻撃隊が近づいていたからである。二七〇機の零戦隊は攻撃隊の護衛に入るのであった。

 その頃、スプルーアンスの第五艦隊に第一機動艦隊から発艦した制空隊が近づいていた。

「レーダーに反応ッ!! ジャップの攻撃隊かと思われますッ!!」

「直ちに戦闘機を上げろッ!!」

 各空母から残っていたヘルキャットが発艦していく。それでもヘルキャットの数は三百機はいた。

「……恐らくはヤマグチの機動部隊だろう。側面から我々を叩くつもりだが……レーダーがあれば直ぐに見破れる」

 スプルーアンスはニヤリと笑う。

「それに我々にはVT信管という合衆国の技術をかき集めた物がある。こいつがあればジャップの攻撃隊なぞ怖くはない」

 スプルーアンス達が見守る中、空戦が開始された。

「全機に告ぐッ!! 無茶な戦いはするな、出来るだけ小隊を組んで戦闘をしろッ!!」

 制空隊隊長の白根斐夫少佐がそう指示を出している。

 制空隊は二機一個小隊を組んで一機、また一機とヘルキャットを落としていく。

 しかし、制空隊も万能ではなく不意打ちで海面に墜落していく零戦も少数ながらいた。

 空戦は三十分にも及び、制空隊は烈風三機、零戦十七機を撃墜されたが米側はヘルキャット百三機を落とされた。

「何て事だ。やはりジャップのパイロットは精強揃いだ……」

「ですが司令官、戦闘機隊の半分近くは脱出して駆逐艦などに救助されています」

 悲観的になりそうだったスプルーアンスにデービース参謀長はそう報告をした。更に艦隊近くで脱出した日本軍のパイロットも救助していた。

 日米では捕虜の扱いに対しては両者とも寛大であった。日本は先のガダルカナル島の戦いで輸送船ごと捕虜をアメリカに送還しており、アメリカ軍の中では「捕虜だけは丁重に扱う」というルールが出来ていた。

 まぁそれも「猿のジャップがするなら白人様である此方もしなければならない」と各国の反応を気にした結果でもある。

 それはさておき、制空隊の空戦が一段落がついて三十分後、再び第五艦隊の対空レーダーが反応した。

「先程より多い反応ですッ!!」

「……真打ちの登場か。戦闘機隊の発艦を急がせろ」

 各空母からヘルキャットが発艦していく。先程の空戦で数は減っているがそれでもまだ二百機近くはいたのだ。それに必要となれば護衛空母からワイルドキャットの応援も呼べた。

「ッ!? 大変です司令官ッ!!」

「どうしたデービース?」

「レーダー員からの報告ですが……敵機は六百機近くにもなるそうですッ!!」

「な……何だとォッ!?」

 デービース参謀長からの報告にスプルーアンスは驚愕した。



「今頃は敵さんも驚いている事だろうな」

 一式陸攻の中で攻撃隊隊長の野中少佐はニヤリと笑う。一式陸攻隊は新型兵器を搭載した二個中隊十八機以外は魚雷を搭載している。それは飛龍も同じであり、銀河は急降下爆撃として五百キロ爆弾を搭載していた。

「ですが親分、あの新型兵器は役に立つんでしょうか?」

 機銃手がそう野中に聞いてきた。

「役に立つから此処まで持ってきたんだろうよ。ドイツも既に開発して実践配備しているらしい」

 野中は機銃手にそう伝えた。

「隊長ッ!! 前方からヘルキャットですッ!!」

「よし、零戦隊頼むぞ」

『任された。全機突入せよッ!!』

 零戦隊隊長の中島正少佐が命令をして零戦隊がヘルキャットに突入する。

「全機トツレだ。いっちょ派手にやるぞッ!!」

 攻撃隊は攻撃態勢に移行するのであった。








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