表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/112

第七話






「……知らない……天井や……」


 翌朝、目を覚ました将宏がまずしたのは某少年ネタを呟いた。


 そして布団に寝かされているのを知ると海軍服に着替えて台所で朝食を作っていた霞にジャンピング土下座を敢行した。


「すいません前田さんッ!! 前田少尉の言葉通りに行ったらああなって……」


「あぁ昨日か、気にするな。私も貴方を気絶させたからな」


 味噌を小さい鍋に入れてかき混ぜている霞が苦笑しながら言う。


「まぁ全てはこの馬鹿兄上が悪い」


 霞はそう言っていつの間にか床にす巻き状態だった前田少尉の頭を蹴る。


「はぶしゅッ!!」


 蹴られた前田少尉は若干嬉しそうな表情をして気絶した。


「……Mか?」


「気にするな、何時もの事だ」


 霞はそう言って味噌汁を味見する。


「(……何時もの事で片付けるのかよ……)」


「よしこれで良いだろう。済まないが茶碗を取ってくれないか」


「はいはい」


 将宏はそう言って茶碗を取って霞に渡した。


 受け取った霞は茶碗にご飯を入れていく。


「済まないが卓袱台に並べてくれ」


「はいはい」


 将宏はそれらを並べていくが二つ分しかない。


「二つだけ?」


「馬鹿兄上はまだ寝てるからな。味噌汁を持ってくれ」


「あいよ」


 将宏が味噌汁を受け取ろうとした時、黒い何かがカサカサと霞の下に現れた。


「あ、ゴキブリ」


 そう、それは全国の皆さんが恐れるほぼ太古から形を変えない生物――ゴキブリだった。


「い、イヤアアァァァァァァッ!!」


「アッチャアァァァァァァァッ!!」


 霞はゴキブリを見て叫んで味噌汁が入った茶碗を落とした。


 しかも茶碗が落とした場所がす巻きにされた前田少尉の顔に直撃するという珍事も起きた。


「うわァッ!!」


 霞は咄嗟に将宏に抱きついた。


「熱いッ!! 熱いッ!! 熱いッ!!」


 前田少尉は器用にす巻きのまま転がる。というか無残……。


 ちなみに霞の足下に現れたゴキブリは当の昔に逃走している。


「油虫……怖い……」


「だ、大丈夫ですか? 油虫はもういませんから」


 将宏は怯える霞を落ち着かせる。


「ほ、本当か?」


「はい。なのでそろそろ離れていただきたいかと……(貴女の大きいのが当たってるんですッ!! 理性が切れて襲うでほんまに)」


 霞のが当たっていることはあえて言わない。え? 何が当たっているか?


 ……胸の大きな脂肪と言えば分かるだろう。


「……済まない。少々取り乱した……」


 霞は漸くその状態に気付いてススッと将宏から離れる。霞の顔は恥ずかしかったのか赤くなっている。


「それで……この馬鹿兄上は何をしている?」


 前田少尉は未だに床で転がっていたりする。


「ま、あんなのはほっといて朝食を食べようじゃないか将宏」


「……まぁええか」


 将宏も前田少尉はほっとく事にしたのであった。




「すいません、朝食までいただいて……」


「なに気にする事はない」


 玄関まで見送りに来た霞に将宏はそう言う。


「それでは日本のために頑張って下さい。あ、弁当を作っておいた。よから昼飯にでも食べてくれ」


「はい。何からなにまですいません」


 将宏は前田家を出た。そして漸くす巻きから抜け出した前田少尉が来た。


「あれ? 河内少尉はどうした?」


「兄上か、今しがた帰ったところだ」


「そうか、ところで俺のメシは?」


「ない。油虫でも食べてろ」


 霞は兄には容赦なかった。


「……グスン」


 その後、参謀本部ではいじけている前田少尉がいたとか。





「それで扶桑と山城は改装に入ったのですか?」


「あぁ、取りあえずは武装の撤去に移っている。計画では艦橋は煙突と一体化の艦橋にし、飛行甲板も格納庫上面に七五ミリの装甲を敷く予定だ」


 伏見宮が図面を見ながら将宏に説明をする。


「扶桑型、翔鶴型、そして計画中の大鳳型はアングルドデッキにするようにしている」


 なお、将宏から提案されたアングルドデッキは空母アンティータムのようなアングルドデッキにしている。


 扶桑型は戦闘機二七機、艦爆二七機、艦攻二七機が常用で補用として十二機の計画である。翔鶴型は最初から空母として建造されるため排水量三万六千トン常用百八機、補用十二機の計画である。


「航空隊指揮官用の教育はどうなっていますか?」


 将宏は伏見宮にそう聞いた。史実の南雲中将のように航空艦隊の司令長官に素人に任せるなど到底してはいけない。


 将宏は海軍の年功序列制度を廃止して将官の能力が十分に発揮出来るよう実力制度をするべきと主張しているが、海軍は難色を示している。


「ならば将官の頭を変えてやる」として航空勉強会としておきながら実質は航空畑を育てる勉強会を開かせている。(これに対しても難色を示している輩もいるが、伏見宮が暗躍して輩を退役にさせたりして脅していたりする)


 主に講師役は航空畑の人間であり、山本中将や大西大佐、市丸大佐、塚原中将等が生徒(将官達)に航空を教えている。


 特に南雲中将や山口大佐、小沢少将等を重点的に教えさせている。


「大分多くの人間も航空の事には関心を持つようになってきている」


「それならいいですけど、せめて戦艦土佐の実験前に自分が来れたらよかったです。そうなれば幾分かは楽になりますし」


「確かにな。まぁ仕方ないだろう」


 伏見宮はそう言った。


「ふむ、そろそろ昼だがメシはどうするかね?」


「あ、大丈夫です。自分には弁当がありますので」


 将宏はそう言って弁当箱を出した。


「昨日泊めてもらった前田少尉の妹さんから貰いまして」


「ハッハッハ、中々抜け目はない奴だな。もう唾でも付けたのか?」


 伏見宮が笑う。


「いやあの、別に妹さんを狙ってるわけではないんすけど……」


「ならばそう言う事にしておこう」


 伏見宮はそう言って苦笑しながら部屋を出た。


「……そりゃあ、あんな人が嫁さんに来たらええけどな。まぁ夫婦喧嘩は負けるやろな」


 夫婦喧嘩になったらまずす巻きにされるであろう、前田少尉みたいに。


 将宏はそう思いつつ弁当を食べるのであった。











御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ