第五十一話
松島基地のF-2が修理六機から更に+七機が修理されるそうですね。
いやはや是非とも復活してほしいですね。
第二師団と第三八師団、戦車二個連隊の輸送は二回に分けられての輸送であった。輸送船団には戦車揚陸艦六隻も追加された。
戦車揚陸艦は全部で十六両を搭載出来た。既に陸軍はこの戦車揚陸艦を二五隻建造中である。
戦車部隊の指揮官にはノモンハンで戦車部隊を指揮した牟田口少将が選ばれた。
牟田口少将は歩兵第二八連隊や川口支隊と共に上陸してジャングルの事を調べていた。
戦車部隊は全て九七式中戦車で構成されて一個連隊で三個中隊(四八両)を形成して計九六両であった。
「輸送船団の護衛には防空空母の祥鳳型二隻がいるから問題は無いが……敵機動部隊の出方だな。幸いにも角田中将の第三機動艦隊は到着している」
トラック島には第一戦隊も進出して作戦会議をしていた。
「輸送船団は敵機動部隊を撃破してから師団を上陸させて、戦艦部隊が飛行場を艦砲射撃後に突撃するべきでしょう」
将宏はそう主張する。艦砲射撃後に日本軍の銃剣突撃である。相当海兵隊は堪えると踏んでいたのだ。
「うむ……兎も角は敵機動部隊を撃破しなければ話にはならんな。ところで潜水艦隊の戦果はどうかね?」
堀長官は出席していた第六艦隊司令長官の清水中将に聞いた。
「は、ニューカレドニア方面で約一ヶ月間の通商破壊を敢行したところ、敵輸送船十三隻を撃沈、八隻を撃破しました」
『オォォ』
清水中将の報告に出席していた将官達は喜びの声をあげた。
潜水艦隊による通商破壊作戦は効果抜群であったのだ。
「奴等にはジワジワと効いてくるようにしておかないとな」
将宏はそう呟いた。そして輸送作戦は発動され、艦隊は出撃した。
ニューカレドニアに停泊していた旧式艦アーゴーンに南太平洋部隊司令部を構えたゴームレー中将は顔をしかめていた。
「……またしても輸送船団がやられたか……」
「yes、ガダルカナル島増援に送っていた海兵第七連隊の輸送船四隻が撃沈され、第七連隊の生き残りは僅かに二百人程度です。それにタンカーも撃沈されています」
「ノースカロライナとオブライエンもだ」
部下の報告にゴームレー中将はそう付け足した。つい先日、ガダルカナル島に増援で向かおうとしていた戦艦ノースカロライナと駆逐艦オブライエンが雷撃されてノースカロライナは左舷に三発を受けて大破しオブライエンは一発を左舷のど真ん中に受けて轟沈していたのだ。
この雷撃でノースカロライナはハワイで修理を受けているが戦線復帰には時間が掛かり、南太平洋にはガダルカナル島にいる戦艦ワシントンとサウスダコタしかなかったのだ。
「それにトラックから機動部隊が出撃しているようだ。フレッチャーの機動部隊が支えきれるか……」
ゴームレー中将はそう呟いた。フレッチャー機動部隊には空母サラトガ、レンジャーの二隻で構成されており護衛空母は輸送船団の護衛をしていた。
「……何とか奮戦してもらうしかないな」
「いたぞッ!! 米機動部隊だッ!!」
第二機動艦隊から発艦した彩雲四号機が雲の隙間から見えた航跡を発見して電文を放った。
「見ろッ!! 空母は三隻もいるぞッ!!」
「後方からグラマンッ!!」
機長がそう言った時、機銃手がそう告げた。
「速度を上げろッ!! 奴等を引き離して敵機動部隊の状況を知らせろッ!!」
機銃手は機銃を撃たずに電文を放った。その電文は旗艦翔鶴に届いた。
「彩雲四号機が発見したそうだ」
「直ちに出しましょうッ!!」
奥宮航空参謀はそう主張する。山口長官も頷いて攻撃隊の発艦が始められた。
攻撃隊は零戦四八機、彗星七二機と艦攻隊は無しの戦爆連合である。
山口長官は第一次攻撃隊で敵空母の飛行甲板を破壊して攻撃隊を飛べなくさせようとしたのだ。
彗星は腹の爆弾倉に五百キロ爆弾を搭載し、攻撃隊総隊長は元蒼龍飛行隊長の江草少佐である。
翔鶴飛行隊長だった高橋少佐は内地の飛行学校の教官として移動していた。その代わりに江草少佐が翔鶴飛行隊長に就任したのだ。
また、艦攻隊には村田重治少佐がいた。
「第一次攻撃隊発艦後は直ちに第二次攻撃隊の発艦をさせろ」
「分かりました」
奥宮航空参謀はそう言って艦橋を降りて飛行隊に指示を出した。
一方、角田中将の第三機動艦隊はソロモン諸島寄りで航行し、ガダルカナル島へ攻撃隊を発艦させていた。
編成は零戦五四機、彗星五四機、九七式艦攻五四機である。攻撃隊の爆弾はミッドウェー島を占領した時に捕獲した爆弾が多かった。
アメリカ製の航空爆弾の威力を知っている将宏はミッドウェー島から第三機動艦隊へ移送させて使用していたのだ。
「河内少佐は何故アメリカの爆弾を使わせたのですかねぇ」
第三機動艦隊旗艦龍驤の艦橋で先任参謀の小田切中佐はそう呟いた。
「いいじゃないか。河内少佐が何かあると踏んでいるんだ。大いにやらせてみよう」
角田中将は小田切中佐にそう告げたが実は将宏からある程度の事を聞いていた。
「(日本の爆弾よりアメリカの爆弾が優れていると聞いたら中佐達も仰天するだろうな)」
角田中将は中佐達にバレないように苦笑した。
そしてフレッチャー機動部隊であるがガトー級潜水艦が第二機動艦隊を発見していた。
「直ぐに攻撃隊を発艦させろッ!!」
サラトガの艦橋でフレッチャーはそう叫んでいた。此処で空母二隻を失えばガダルカナルは日本に奪還されると分かっており、フレッチャー中将は何としてでもガダルカナルを守る気であった。
攻撃隊は戦闘機三八機、艦爆五四機、艦攻四七機が発艦して第二機動艦隊へ向かうが発艦してから一時間後にサラトガの対空レーダーが接近してくる編隊を捉えた。
「戦闘機とドーントレスは全部出せッ!! 対空戦闘用意ッ!!」
三空母からワイルドキャットとドーントレス合わせて五二機が発艦していく。
各艦艇の対空火器も仰角をとって砲身や銃身を上空へと向けた。
「制空隊は敵戦闘機を駆逐せよッ!!」
『了解ッ!!』
制空隊隊長の志賀大尉機がバンクして列機を率いて敵戦闘機へ向かう。江草少佐は高度三千で爆撃態勢に入った。
「オープンファイヤーッ!!」
フレッチャー機動部隊から対空砲火が撃ち上げられ、上空は黒煙に包まれる。
「『ト連送』を打てッ!! 編隊爆撃を始めるぞッ!!」
江草少佐は操縦桿を倒し、逆V字飛行をしていた編隊は一斉に空母サラトガへと襲い掛かったのである。
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