第四十二話
別段変わる事はなかったので多少流用修正してます。
――真珠湾、太平洋艦隊司令部――
「スプルーアンス、どうやらジャップの次の攻撃目標はミッドウェーのようだ」
巡洋艦部隊の司令官をしていたスプルーアンス少将はいきなり太平洋艦隊司令部に出頭するように言われ、ニミッツ長官と面会したらニミッツ長官が開口一番にそう言った。
「は、では巡洋艦部隊も出撃ですか」
「確かにそうだが……君には巡洋艦から降りてもらう」
ニミッツ長官はスプルーアンスにそう言った。ニミッツ長官の言葉にスプルーアンスは嫌な予感がした。
「……私は何かミスをしましたか?」
「いや別にミスをしたわけではない。実は空母部隊の司令官をしてほしいのだ」
「……長官。私は空母の指揮をしたことなどありませんぞ」
あっけらかんというニミッツ長官にスプルーアンスはそう言う。
「それは分かっている。だがハルゼーが入院してしまったのだ。代役をハルゼーに訊ねたらスプルーアンスがいいと言うんでな」
空母部隊を指揮していたハルゼー中将は謎の皮膚病に掛かり、再び海軍病院にて入院していた。
「……フレッチャーは駄目なのですか?」
「フレッチャーは君を補佐する役目だ。なにせ、レディ・レックスを沈めてしまったたせいでキング作戦部長が何かと五月蝿いのでな」
「……それでは仕方ありませんね」
スプルーアンスは深い溜め息を吐いた。
「やってくれるかね?」
「yes」
スプルーアンスはそう言った。
「分かった。幕僚等はハルゼーの幕僚を継承させている。心配になれば彼等に訊ねればいい」
ニミッツ長官はそう言った。
「空母の方はどうなっていますか?」
「空母は大西洋から回航したワスプ、ホーネット、更に修理中のヨークタウン、護衛空母部隊も出させる」
空母レキシントンの二番艦であるサラトガは史実通りに伊号潜水艦からの雷撃を受けて大破しており、サンディエゴで修理をしていたが到底間に合う事はなかった。
その代わり、サラトガの飛行隊は壊滅したヨークタウンとレキシントンの生き残りと合流して飛行隊の向上を務めていた。
「ヨークタウンは果たして間に合いますか?」
「真珠湾の全工員を総動員させて不眠不休で修理を急がさせている。レッド信号の解読ではジャップがミッドウェーに来るのは六月上旬なのでな」
ニミッツ長官はそう言った。
そしてヨークタウンは史実と同じに三日で修理を完成させて戦線に復帰するのであった。これによりスプルーアンスは合計七隻の空母を任されるのであった。
更にミッドウェー島では海兵隊三千人、航空機約百五十機に増強につぐ増強をしていた。
アメリカは万全の態勢で日本を迎えようとしていた。
その頃、日本海軍はというと……。
――聯合艦隊旗艦敷島――
「それでは戦艦部隊も出すのか?」
旗艦敷島の作戦室で将官達が作戦会議をしており、堀長官が将宏に聞いた。
「使える物は何でも使いましょう。史実のような空母四隻沈没は是非とも避けたいので」
「確かにな……」
宇垣参謀長が頷いた。
「しかし、第一機動艦隊との距離はどうする? 史実のような三百海里も離れているのは……」
「……八十海里程が妥当ではないですか? それくらいなら戦艦部隊も全速で第一機動艦隊に向かい、第一機動艦隊も戦艦部隊と合流するために一時反転して戦力を整えるのが良くないですか?」
「……私は一向に構わないが……」
第一機動艦隊司令長官の小沢中将が口を開いた。
「ふむ、小沢が構わないならそれでいこう」
「それと旗艦ですが……」
「敷島は改装しなければならんからな。私も大和に乗って直接指揮をする」
船体にも色々とガタが来ている敷島はドックで改装をする予定であったので堀長官はそう言った。
「……自分としては内地にいてもらいたいのですが……」
将宏は申し訳なさそうに言う。
「河内君の気持ちも分かる……が、指揮官が戦わないのであれば乗組員の士気も低下するからな」
堀長官はそう言った。
「第二機動艦隊はトラックからの出撃だな?」
「はい、流石に内地に戻る時間はありませんから」
第二機動艦隊は損傷した翔鶴をトラックで修理に当たらせて四隻で出撃する事になる。旗艦も瑞鶴に変更している。
「それと二航戦の飛龍に新型機を配備させた」
新型機とは九九式艦爆の後継機である彗星と、九七式艦攻の後継機である天山である。
彗星はほぼ史実の彗星三三型を踏襲し、違いがあるとすれば機首機銃と旋回機銃は全て十二.七ミリ機銃で統一されている事であろう。
速度もほぼ史実に近い五百七十キロをマークしている。
天山もほぼ史実同様の天山一二型を踏襲している。機銃も全て十二.七ミリ機銃で統一されている。
また、第一機動艦隊の零戦は全て二一型から新型の三二型に更新されている。
零戦三二型は史実の零戦五四型が搭載していた千五百六十馬力の金星エンジンを搭載している。
最大速度も推力式排気管を採用しているので五百九十はマークしていた。
「……取りあえずは万全の準備は出来てますね」
「空母四隻を沈めるわけにはいかんからな」
将宏の呟きに堀長官はそう答えた。
「淵田中佐はどうしますか?」
「大事をとって入院させたよ。本人は納得してないがな」
「それなら安心です。怪我を抱えたまま飛ぶのは危険ですからね」
将宏はそう言った。淵田中佐の途中退場は痛いが戦死しないだけマシである。
そして作戦会議は終わり、将官達は各旗艦へと帰った。
それから二日後、柱島泊地から小沢中将の第一機動艦隊と堀大将直率の第一戦隊と高須中将の第一艦隊が出撃した。
それと交互するように陸奥湾で待機していた細萱中将の第五艦隊と吉良少将の第四機動艦隊がアッツ島とキスカ島の上陸部隊を載せた輸送船団と共に出撃した。
更に近藤中将の第二艦隊とミッドウェー攻略のためサイパンにいた一木支隊二千名と太田大佐率いる海軍陸戦隊二千名、八九式中戦車乙改一個中隊を載せた輸送船団が一日遅れで内地から出撃した。
目指す場所はミッドウェー島である。
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