第四十話
WBCのせいか、最近は所有しているパワプロ2010に再びハマりだしました(笑)
マリンボールぇ……チカちゃん可愛いよね。
「目標、ポートモレスビー飛行場。撃ちぃ方始めェッ!!」
「撃ェッ!!」
その瞬間、戦艦金剛と榛名の三十五.六サンチ連装砲四基が砲弾を発射した。
それに続き、第四艦隊旗艦八雲と第四艦隊に配属された第六戦隊の重巡である出雲、磐手、春日が一斉に砲撃を開始した。
この第六戦隊は日露戦争で活躍した装甲巡洋艦であり、長きに渡って改装されていたが新しく生まれ変わっていた。
性能は八雲とほぼ同様であり五十口径二十.三サンチ連装砲四基、十サンチ連装高角砲四基、四十ミリ連装機銃四基、二五ミリ三連装機銃十二基、四連装魚雷発射管二基を搭載している。
他にも常磐や吾妻がいたが二隻は海護の対潜巡洋艦(水偵六機、爆雷三百個搭載)として生まれ変わっている。
一時的にドイツへ輸出したらどうかと話が出ていたが、流石に旧式過ぎたので此方で色々と魔改造した方がいいという事になって代わりに青葉型が輸出された経緯がある。
戦艦に比べたら威力は劣るが、陸上にいる人間にしたら大威力である。
ポートモレスビーには米軍の航空隊がいたが、MO作戦前からラバウルとラエから飛来してくる陸海の合同攻撃隊の幾度にも渡る攻撃でほぼ壊滅していた。
実際、井上中将の第四艦隊と合流した第二機動艦隊がポートモレスビーに接近すると、送ってきた攻撃隊はP-40十七機のみであり、十七機とも上空迎撃にいた零戦二七機と交戦して二機は自力でポートモレスビーに戻ったが、それ以外は撃ち落とされていた。
ポートモレスビー基地の抵抗らしい抵抗はそれぐらいしかなく、MO攻略部隊の第四艦隊と第二機動艦隊はそのままポートモレスビーへなだれ込んで、艦砲射撃を開始したのだ。
「………どうやら上手くいっているようだな」
八雲艦橋にいた井上中将はポートモレスビーの陸地を双眼鏡で見ながら呟いた。
ポートモレスビーの上空には、六十キロ爆弾を二発搭載し、爆装した零戦と九九式艦爆がおり、防御陣地を見つけては爆撃する予定である。
「よし、砲撃は後十分で終了する。その後は零戦などに任せよう」
「分かりました」
井上中将の言葉に矢野参謀長が頷いた。そして十分後に艦砲射撃は終了して、上空にいた零戦隊が防御陣地に対して爆撃や機銃掃射を敢行した。
その隙に、陸兵を乗せた輸送船がポートモレスビーに接近して陸兵を降ろしていく。
陸兵が乗った大発がポートモレスビーの海岸に到着して、扉が開いて陸兵を吐き出した。大発は次々と海岸に到着して陸兵をポートモレスビーの地を踏ませていく。
四隻の戦車揚陸艦から九七式中戦車と八九式中戦車乙改が吐き出されていく。
九七式中戦車と八九式中戦車乙改はそれぞれ一個中隊の十六両がMO作戦に参加している。
「ジャップが戦車を出したぞッ!! M4を出してこいッ!!」
防御陣地で奮戦している小隊長が叫ぶ。ポートモレスビーには二個中隊のM4戦車部隊がいたのである。
「ジャップめ、M4で奴等の装甲に穴を開けてやるぜッ!!」
戦車隊の中隊長がそう意気込む。九七式や八九式が勝てたのは旧式のM3中戦車だったからだと中隊長はそう認識していたのだ。
「右二時の方向にジャップのタンクだッ!! ジャップを殺せッ!!」
M4戦車部隊は海岸に到着すると、上陸していた九七式中戦車に砲撃する。しかし、九七式中戦車はM4戦車の砲弾を弾き飛ばした。
「ファックッ!! ジャップの装甲は硬いぞッ!!」
フィリピンからの報告に九七式中戦車の装甲は厚いと分かっていたが、M4戦車に乗る戦車兵はそう簡単に信じなかった。
「やりやがったなアメ公めッ!!」
砲弾を弾いた九七式中戦車は接近してくるM4戦車部隊に照準して、五十口径七五ミリ戦車砲が火を噴いた。
狙われたM4戦車は前部装甲が貫通してその場で停止した。
「撃てッ!! ヤンキーにチハの恐ろしさを見せてやれッ!!」
九七式中戦車部隊の中隊長が吠える。
戦況は米軍に不利となりつつあった。八九式中戦車乙改は正面からではなく側面に回り込んで砲撃していた。八九式の長砲身五七ミリ戦車砲ではM4中戦車の正面装甲は貫けなかったからだ。
――第二機動艦隊旗艦瑞鶴――
「上陸作戦は順調のようだな」
「そのようです」
山口長官の言葉に伊崎参謀長はそう呟いた。
「長官、この際オーストラリアのタウンズヴィルやケアンズへの爆撃を敢行してはどうですか? 偵察で二都市には多数の航空部隊が確認してあります」
将宏はそう具申した。第二機動艦隊は、オーストラリアのタウンズヴィルとケアンズにある航空基地を偵察した結果、かなりの爆撃機が駐留しているのが分かった。
将宏はそこを叩いてポートモレスビーの負担を軽減しようとしたのだ。
「いや……止めておこう。暫くポートモレスビーに停泊して様子を伺おう」
「どう動くか見極めるためですか?」
「その通りだ」
山口長官はそう頷いた。
「まぁポートモレスビー方面は第四艦隊の管轄だから仕方ない。第二機動艦隊はポートモレスビーの基地機能がある程度回復するまでいればいい」
山口長官はそう言って、黒煙が吹き荒れているポートモレスビーを見た。
ポートモレスビーが陥落し、司令部に日章旗が上がったのはそれから二日後の事であった。
ポートモレスビーの飛行場を手に入れた日本軍は直ぐ様、揚陸させたブルドーザー四台を滑走路の補修作業に当たらせた。
また、無傷で捕獲した米軍の工作機械も投入した。滑走路の修復には上陸した兵士達も動員させた。
この作業は五日で終了して、ラエから陸海の零戦隊とラバウルから九七式重爆、一式陸攻が進出した。
数は零戦約八十機、爆撃機約百機である。更にトラック経由で一式局地戦闘機『鍾馗』五四機が進出した。
滑走路の補修作業が終了した工作隊は次にブナと繋ぐ道路の工事を開始した。
これはもし、ポートモレスビーが敵に奪回されてもブナに撤退出来るようにしたもので、前世の飢餓を教訓にしたのだ。
この工事にはブナからもブルドーザー二台が作業中である。
滑走路の補修作業を見届けた第四艦隊と第二機動艦隊はトラック諸島へと帰還した。
ポートモレスビーは完全に日本軍に占領されたのであった。
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