第三十話
後半ネタです(笑)
三月下旬、日本は遂に東南アジア一帯を占領する事が出来た。
しかし、フィリピンはまだバターン半島とコレヒドール島要塞を残しているが、これも史実より早い四月下旬に降伏するのであった。
ビルマの攻略も進んでおり、ビルマとインドの国境線では九七式中戦車や八九式中戦車隊を出して守備していた。
また、アハトアハトやジェットエンジン等を搭載した伊号潜二隻は無事に内地に到着した。
既にアハトアハトは技研の方で調査が行われており、新型戦車も車体は史実の四式中戦車や五式中戦車を元に設計が行われている。
また砲戦車も開発中である。この砲戦車は九一式十サンチ榴弾砲を搭載する予定である。車体は九七式中戦車を流用してエンジンも高出力のを開発中である。
また戦車のエンジンも開発が進められており、新型戦車は約五十キロを出す事が目標とされている。
一方、ジェットエンジンも調査が行われジェット戦闘機の開発も行われていた。
機体はドイツのMe262Aジェット戦闘機の図面を流用して開発中だった。これが後の噴式戦闘機「橘花」になるのである。
新型戦闘機の機関砲は制式採用されたばかりの九九式二十ミリ二号機銃四型発射速度増大型と九九式三十ミリ固定機銃(史実の五式三十ミリ固定機銃)が大型爆撃機用として搭載される。
今のところ試作機で完成しているのは雷電、紫電改、陣風と烈風、震電、の五種類だけだ。四月上旬には金星エンジン(史実の零戦五四型に搭載していた千五百六十馬力)を搭載した零戦三二型が横須賀基地を筆頭に配備されていく予定だ。
陣風は紫電改と同じ誉二一型を搭載しているが、速度は六百三十キロとまずまずだった。
陣風は後に史実の誉四二型と換装したら六百六十キロ近くまで更新する事が出来た。
烈風や雷電もほぼ史実のエンジンを搭載している。また震電は烈風と同じハ四三四二型を搭載している。(推進系にして強制冷却ファン付き)
また、三十ミリ機銃のベルト給弾化等で三十ミリ機銃は四門から三門に減らしている。
震電の問題はまだエンジンが一基しかない事だ。また二千二百馬力にした四二型改も開発中である。
「まずまずやな。後はこれらを大量生産出来たらええけど……」
視察に来た将宏は横須賀基地の格納庫で翼を休めている試作機達を見ていた。
「写真は撮り放題やな」
将宏は顔をニヤニヤしつつライカで写真を撮っていく。端から見たら怪しい人物である。
「……今頃、第一機動艦隊と第二機動艦隊はマラッカ海峡やろか……」
将宏は写真を撮りつつそう呟いた。
小沢中将の第一航空艦隊は三月に解散して新たに第一機動艦隊と第二機動艦隊が編成されていた。
第一機動艦隊は第一航空戦隊の赤城、加賀、第二航空戦隊飛龍、蒼龍で編成されている。
第二機動艦隊は第三航空戦隊の扶桑、山城、第五航空戦隊の翔鶴と瑞鶴で編成されている。
護衛艦艇もそれぞれ金剛型二隻、重巡二隻、軽巡一隻、駆逐艦八隻としていた。
本当なら駆逐艦は四個駆逐隊の十六隻にしたいのだが、夕雲型駆逐艦や秋月型駆逐艦はまだ完成していないし、艦隊決戦用としての水雷戦隊必要であったので八隻ずつしか配備されていない。
今の日本海軍の優先建造は駆逐艦、空母、輸送船、タンカー、潜水艦だった。
今回のセイロン島占領作戦に、陸軍からは三個師団が出されて三個師団を乗せた輸送船団が南雲中将の南遣艦隊の護衛の元、セイロン島へ向かう。
南遣艦隊での角田機動部隊はベンガル湾で通商破壊作戦とカルカッタ等を攻撃する予定である。
「何とかお願いしますよ小沢長官、山口長官」
将宏はそう呟いたのである。
「河内少佐ッ!!」
「ん?」
その時、将宏は呼び掛けられて振り返ると数十人のパイロットや整備兵がいた。
「どうした?」
「は、今月の新刊はまだなのかと思いまして……」
大尉の階級を付けたパイロットがそう将宏に聞いてきて将宏はあぁと分かった表情をした。
「新刊なら俺が乗ってきたくろがね四起に載せてあるぞ」
『オォォッ!!』
将宏の言葉に歓声を上げるパイロットと整備兵達である。ちなみに将宏は車の免許を持っている。(早く免許取りたいな)
「分かった分かった。今から取ってくるわ」
将宏はそう言って二、三人の整備兵と共に正門付近まで行って、駐車していたくろがね四起から百冊程の漫画本を持ってきて販売を始めた。
「一冊十銭な」
「一冊下さいッ!!」
「俺も一冊ッ!!」
百冊の漫画本に長蛇の列になる。漫画本は開戦してからでも連載や単行本の販売をしていた。
最初は新聞社等が「戦争中に漫画を描くな」と喚いていたが、問答無用で黙らせた。問答無用で、大事な事なので二回言いました。
実際、兵達にはとてもウケていたので中止にする必要はなかった。
今回、将宏が持ってきた漫画本は日本の何処かに存在するとされ、妖怪や妖精、神が住むと言われる幻想郷の物語である。
なお、題名は流石に変えてある。「幻想郷物語」とされ、主人公は腋を見せつけるような巫女服を着る神社の巫女と普通の魔法使いである。
連載当初は妖怪が女だと言う事に大きな反響を呼んだが直ぐに馴れてきて今では苦情の手紙や電話は一日に数件しかない。
「ちなみに少佐は誰が好きですか?」
不意に兵曹長が聞いてきた。
「俺か? 俺は魅○、美○、幽○子、ルー○ア、勇○、元祖マ○パ、スキマ、四○、○町くらいだな」
「……見事に大きいのばかりですね。ところで幽々○と○儀、○季、小○とは誰ですか?」
「あ、しまった。後々の新キャラだ」
将宏はしまったという表情をする。ちなみに物語は旧作から入ってたりして今は紅魔異変である。
「それに少佐の好きなの熟成しているの多くないですか?」
「……気にするな。気にしてたらスキマに送られるぞ」
「……食われそうなので止めときます」
兵曹長は苦笑しながらそう言った。なお、漫画は毎月二五日で発行されている。
将宏が持ってきた漫画本はあっという間に完売した。兵達はそれほど楽しみにしていたのである。
戦争中であるために何か士気向上のためであったが、意外な人気であった。
後に米軍がたまたま落としていったのを拾ったのが切っ掛けで米軍の中でも日本の漫画が拡がるのであった。
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