第三話
設定上、第七話までは前作の流用となります。
御了承下さい。m(__)m
第八話はほぼイベントと考えています。
翌日、またも皇居で一泊した将宏は朝食を食べてから陛下と共に帝国ホテルの一室に向かった。
「陛下御早うございます」
林大臣が頭を下げる。一室には昨日と同じメンバーがいた。
「それでは日本の今後の方針を考えましょう」
将宏の言葉に林大臣達は頷いた。
普通なら「何も知らない青年の分際で……」となるが、日本が滅亡しないためなら協力すると林大臣達は将宏に言っている。
「まず、工業面ですがドイツやアメリカから大量に工作精密機械を買い取ります」
「ドイツやアメリカからかね?」
「はい、まぁアメリカはいらなくなった中古の工作機械を売っている傾向がありますので主にドイツからでしょう。まぁアメリカやイギリスからも出来るだけ新品の工作機械を買い取ればいいですが……」
史実のドイツは優秀な兵器を生産していた。代表的なのはアハトアハトやティーガー、パンター、パンツァーファウスト、メッサーシュミット、ジェット機だろう。
「それと陸海軍で徴兵している技術者、熟練工員、研究者等は直ちに除隊させて現場復帰させます。また、ドイツから技術者を召喚させてもらうとかです」
「成る程。熟練工員達ならばより良い兵器を作れるからな」
中島航空機の首領である中島社長が頷いた。
「はい。兵器も大量生産出来るようにしなければ勝てませんから。特にアメリカには……」
言うまでもないが、あれはチート過ぎる国である。
「だが、資金は何処から出すのかね?」
伏見宮が聞いた。
「朝鮮の開発費用から取ります」
「……朝鮮は切り捨てるのかね?」
林大臣はそう聞いた。
「まぁソウルと平壌くらいなら開発は構いませんが、後は朝鮮に任せるのがいいでしょう。むしろ独立させた方がいいかと。史実で朝鮮が日本の敗戦後に何をしたのかは分かるはずですよね? 竹島を不法占拠したり慰安婦問題は延々と言ってますからね」
「……確かに」
林大臣はしかめ面をして頷く。
「ただ、満州はいります。大地の下には一応ながら油田もありますし」
「ほぅ、油田があるのかね?」
「はい。確か約二千まで掘らないと出てこないはずです。後は新潟県の沖合いにも油田があるらしいです」
逆行する前にニュースでやってたなぁと将宏は心の中でそう思った。
「ですが満州の油田は航空機を満腹出来るか分かりません」
「それは追々考えるしかないな」
将宏の言葉に伏見宮はそう呟いた。
「それと、日本の工業地帯も各地へ分散した方がいいかと。アメリカからの空襲をされたら全て灰塵となります」
「むぅ、それは分散した方がいいな」
中島社長が頷いた。
「後は日本の開発ですね。高速道路を作って物資の移送をしやすくしたりとか」
「うむ。各地も発展しそうだな」
陛下が頷いた。
「次に軍事面ですが、まず陸軍から行きましょう」
「どうすべきだ?」
「大量生産しやすく兵器の部品の統一化ですね。ネジとか。これは海軍も関係します」
「うむ、確かに統一化すれば生産も捗る」
「陸軍は野砲は全て機動化した機動九〇式野砲を生産して、小銃も新型か三八式を半自動にすべきです」
「九〇式野砲の性能がいいのは知っているが、機動九〇式野砲とは何かね?」
「機動九〇式野砲は車輪をタイヤに替えた物です。これにより機動力も向上しています」
「成る程」
林大臣が頷く。
「戦車もなんですが、これは後にします。次に海軍です」
「もう陸軍は終わりかね?」
「いえ、またじっくりとやる必要はありますので。特に戦車とかは……」
将宏は苦笑する。
「海軍は、輸送船団を護衛する護衛艦隊の設立と、空母建造にパイロットの大量育成です」
「輸送船団を護衛する護衛艦隊か……」
「はい。日本は島国ですから物資を満載する輸送船団は守らなければなりません。後は輸送船やタンカーの建造等々」
「……多いな」
「アメリカとの戦いは海軍が主役ですからねぇ。勿論大和型戦艦は必要です」
将宏はドや顔をした。
「まぁ此処までは大雑把に話しましたが、次からは個別で行きますから」
「より詳しく説明すると?」
「はい」
林大臣の言葉に将樹は頷いた。
「ならば我々は別室で待機しておこう」
「すみません」
陛下達は部屋を出て、部屋には将宏と林大臣が残った。
「さて、まず来年の二・二六事件は何としても回避しなければなりません」
「……いきなりだな」
「回りくどいのは苦手ですからね。二・二六事件後に陸軍が政治方面にも出てきたりしますからね。それに永田鉄山の暗殺も防がなくてはなりません」
「永田が暗殺されると?」
「はい、相沢少佐が真崎教育総監を更迭させられたのを理由に永田少将が暗殺されます」
「……それは防がなくてはならんな」
「……はい、その暗殺を切っ掛けに二・二六事件が起こります」
「よし、此方でも捜査しよう」
「ありがとうございます。それで、これによって事件と支那事変の衝突は無くなるわけですが、今から四年後の満州とモンゴルの国境に近いノモンハンで日本はソ連と衝突します」
「……負け戦かね?」
「損害はソ連が大きいですが、実質は日本の負けかと思います」
「原因は何かね?」
「色々とありますが、機械化が出来てなかったのと戦車の性能面で負けた……のかと自分は思います」
「開発中の戦車と生産している八九式中戦車は役に立たないと?」
「戦車が無い中国相手なら役に立ちますが、アメリカやソ連には必ず負けます」
「案はあるかね?」
「先程言ってました九〇式野砲を戦車砲に改造した戦車を開発すべきです。装甲も七五ミリ程度がいいかと思います」
「……装甲が七五ミリ……出来ると思うかね?」
「だからドイツから技術者を召喚して技術を向上して開発すべきです」
「……成る程」
林大臣は腕を組んだ。
「後、戦車の製造ですがリベットは止めて製造は、鋳造製で被弾経始を考慮した傾斜装甲にするべきですね」
「……忙しくなるな」
「日本を守るためですよ。後は戦車隊の司令官等を育成しませんと」
「うむ」
それから林大臣との話し合いは二時間にも及んだ。
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