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第十九話

正直、日米開戦の発端のが思い付かなかったので流用しました。


旅客機が零戦に撃墜されるとか考えましたが、信憑性が低いので却下になりましたし。







「面舵二十ッ!!」


 対空戦闘をしている赤城は面舵をするが、九六式艦上爆撃機は高度五百で引き起こして離脱していく。


「……今の当たっていたかな?」


「いや、至近弾でしょう」


 二人はそう言い合う。


「他の空母も上手くやっているようです」


 古村参謀長が双眼鏡で外を見る。赤城の周りでも艦艇が対空戦闘演習をしていた。


 第一航空艦隊は史実より早い40年の七月に設立された。初代司令長官と参謀長は小沢中将と古村少将である。


 空母は改装が終了した第一航空戦隊赤城、加賀、第二航空戦隊蒼龍、飛龍、第三航空戦隊扶桑、山城、第四航空戦隊龍驤、飛鷹、隼鷹、第五航空戦隊翔鶴、瑞鶴、第六航空戦隊祥鳳、瑞鳳、龍鳳、千歳、千代田の空母群である。


 ただし、第四航空戦隊の飛鷹と隼鷹、第五航空戦隊の翔鶴と瑞鶴はまだ建造中で竣工は七月下旬の見通しである。


 戦艦は金剛型四隻で、対空砲にはライセンス生産されたボフォース四十ミリ機関砲が装備されている。重巡は利根型二隻と最上型の鈴谷と熊野の四隻である。


 軽巡は阿賀野型の阿賀野と矢矧、それと防空巡洋艦に改装された長良と五十鈴である。


 駆逐艦は四個駆逐隊の十六隻である。


 また、長門型を主力にした主力艦隊は土佐湾沖合いにて水雷戦隊と艦隊運動の演習をしている。


「……若人が散るのは阻止したいな……」


「………」


 小沢長官の言葉に古村参謀長は何も言わなかった。





――ホワイトハウス――


「……日本は挑発には乗らないか……」


 大統領室で大統領のルーズベルトが呟いた。


「ジャップにはまだテンノウがいます。彼が抑えているのでしょう」


 大統領顧問官のハリー・ホプキンスがそう答えた。


「……チャーチルから催促が頻繁に来ている。ビスマルクを沈められなかったのが原因だ」


「それにまだドイツは小型空母を保有しています。通商破壊も激しさを増すでしょう」


 ルーズベルトは溜め息を吐いた。


「ジャップが早く爆発すれば問題はないがな……」


「仕方ありません。それかもう少し日本に圧力してはどうですか?」


 ホプキンスがルーズベルトに言う。


「……圧力か……」


「はい。圧力をかけて溢れそうな怒りを溢れさせるんです」


「むぅ……」


 ルーズベルトは腕を組んで唸る。


「……だが圧力をかけるにしても何か理由が無ければならない」


「それならば理由を作るのです」


「ほぅ……理由を作るのか」


 ホプキンスの言葉にルーズベルトはニヤリと笑った。


「そうです。世界地図を見て下さい」


 ホプキンスは世界地図を拡げる。


「ハワイは易々と理由は作れません。なら……」


「……フィリピンか……」


「イエス」


 ホプキンスの指がフィリピンの場所をトントンと叩く。


「フィリピンのアジア海軍に工作させましょう」


「……ホプキンス、君の作戦は何かね?」


「……日本軍の特殊部隊がアジア海軍の駆逐艦を爆破しようとするのを失敗した……という事です」


 ホプキンスはニヤリと笑う。


「……ハッハッハッ!! ……面白い作戦だな」


 ルーズベルトは愉快そうに笑う。


「フィリピンには多数の中国人がいます。彼等に金を渡して擬装すれば……」


「確かにな……ジャップは中国人の女性と猿の交尾で生まれた人種だからな。多少違うくても問題はない」


 ルーズベルトが笑う。


「ホプキンス、失敗する確率は?」


「ゼロですよプレジデント。失敗するような事は起こりませんよ」


「……ならば構わない。早速作戦を練ってくれ」


「分かりました」


 ホプキンスは大統領室を出た。


「……全く……世界は我々の物だというのにつけ狙ってくるのは困る」


 ルーズベルトは一人になった大統領室でそう呟いたのだった。




――九月十五日フィリピン、マニラ港2330――


「ん? おい、あれは何だ?」


「どうしたマックス?」


 アメリカ海軍アジア艦隊の重巡ヒューストンの艦上で一人の水兵が何かを見つけた。


「……あれは人間じゃないか?」


 ヒューストンの近くに停泊している駆逐艦スチュワートの艦尾付近の海面に人間の頭を見つけた。


「確かに人間だな。ヘイ、そこのヒューマンッ!!」


 水兵が叫ぶと、海面にあった人間の頭は此方に気づいて慌てて潜った。


「敵じゃないのか?」


「何ッ!! ならジャップか?」


 水兵達は慌てて十二.七ミリ機銃にしがみついて、銃口をスチュワートの艦尾に向けた。


「もし違っていたらどうする?」


「サメと間違えたと言ってやるさッ!!」


ダダダダダダダダダダッ!!


 十二.七ミリ機銃が唸り、スチュワートの艦尾に水柱が立ち上る。


「……やったか?」


 水兵達は艦に搭載されているライトを付けた。


「ヒュゥッ!! 見ろよマックス。奴が浮いてるぜ」


 十二.七ミリ機銃弾が命中したのか人間の四肢が浮いてきた。


「……ジャップの特殊部隊か?」


 引き揚げられる死体を見ながら水兵達はそう思った。




――翌朝、前田家――


「……今日もまた暑くなりそうだな」


 霞は太陽を見ながらそう言って家の前の道に打ち水をする。その時、一台の車が停まった。


「河内中尉はいるかね?」


 車から出てきたのは山本五十六だった。


「や、山本聯合艦隊司令長官ッ!?」


 霞はいきなりの大物に唖然とした。


「騒がしくして済まない。河内中尉はいるかね?」


「は、はい。今呼んできます」


 霞は慌てて家に戻った。そして将宏は慌てて家から出てきた。よく見ると慌てて着たのか服はボタンが階段になっていたりしている。


「どうしたんですか長官?」


「大変な事になった。急いで海軍省に向かうぞ」


 そして車は慌ただしく発進した。


「……台風が過ぎたみたいだ……」


 それを見送った霞はそう呟いた。



――海軍省、大臣室――


「えぇッ!? 日本軍の特殊部隊がフィリピンのアジア艦隊の駆逐艦を爆破しようとしたァッ!!」


 大臣室で将宏は叫んでいた。


「ど、どういう事ですかッ!?」


 将宏は吉田大臣に訊ねた。


「……それが分からんのだよ。私も今朝知ったばかりなんだ」


 吉田大臣は肩をすくめた。


 将宏は山本長官に視線を向けるが山本長官も同様の事をしていた。


「経緯は分かりますか?」


「あぁ」


 それは昨日の事であり、夜中に怪しい人物がアジア艦隊の駆逐艦の艦尾の海面付近にいて、それを不審に思った水兵達が機銃を撃ったら逃亡した人物は死亡。所持品には日本語で書かれた作戦指令書があった。作戦指令は『アジア艦隊の艦艇を撃破せよ』だったらしく、アジア艦隊からの報告を聞いたルーズベルトは激怒して犯行の動機解明と日本帝国の謝罪を要求した。


 当然日本はそんなの知らなかった。


「杉山さんや東條さんも首を振った。今、アメリカと喧嘩してどうするつもりだとな」


 吉田大臣はそう言った。


「日本の特殊部隊は中野学校だが二人ともそんな命令は出してないし、今の状況でしようとしない」


「……まさかなんですけど……」


「ん? 何だね河内?」


 口を開いた将宏に伏見宮が訊ねた。


「これはもしかして……アメリカの策略じゃないんですか?」


『なッ!?』


 将宏の言葉に三人は驚いた。







御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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