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第十五話

墓参りのため岡山県へ向かってます。

冬戦争です。






 年が明けた一月十日、将宏達は会合で集まっていた。


「フィンランドの支援はどうなっているのかね?」


「武器支援として三八式歩兵銃を筆頭に三八式野砲、九二式歩兵砲等を輸出しています」


 フィンランドへの支援はノモンハン事件が終了してからである。冬戦争の事は将宏が既に伏見宮達には報告済みで陸軍の在庫一掃を予てフィンランドに輸出を開始したのである。


 そしてソ連とフィンランドの関係が怪しくなると義勇軍の編成をした。兵力は約一個師団であり実験部隊も予ていた。


 部隊の中に試作の小銃を持っていかしたのだ。それが後の九九式小銃(史実の九九式長小銃)とそれの半自動小銃型、三八式歩兵銃の半自動小銃型であった。(両方ともM1ガーランドをモチーフにしている)それにイギリス軍のリー・エンフィールド小銃のような脱着可能な十発入りの複列弾倉を備えた試作小銃も多数あった。


 更に試作機関短銃(後の百式機関短銃。弾丸はドイツのベ式機関短銃を真似て九ミリで弾倉は左横ではなく現代の小銃のように下に装着)も投入していた。


「戦果の方はどうかね?」


「上々です。航空部隊と戦車部隊も派遣しましたので。報告によればソ連軍の侵攻を押さえているようです」


 日本は義勇軍を派遣しながら航空機や戦車の輸出もフィンランドに対して行っていた。航空機は海軍の九六式艦上戦闘機や陸軍の九七式戦闘機が中心である。


 戦車は流石に九七式中戦車ではなく八九式中戦車乙である。既に八九式は五十両を輸出している。


「ドイツ軍が妨害しなかったのも少し気になりますが……」


 将宏はそう呟いた。派遣する義勇軍がドイツの近海を通過するのだから妨害の一つや二つでもあると将宏は思っていたが実際には無かった。


 そもそもドイツ海軍に対して艦艇を輸出していたのでレーダーもヒトラーも妨害する気は無かった。寧ろ日本の戦闘に興味を持っていた程である。


「護衛には重巡と軽巡が二隻ずつと駆逐艦十二隻、空母龍驤だが上手く古賀中将もやっているみたいだ」


「兎も角、ソ連の動向を見守りましょう。それに第二次陣の到着もありますし」


 将宏はそう言った。




『ウラァァァーーーッ!!』


 ソ連第七軍がカレリア地峡軍が防衛するヴィープリに総攻撃をかけた。


「露助がまた来たぞッ!!」


「砲撃開始ィッ!!」


 防御陣地で九〇式野砲が一斉に砲撃を開始してソ連軍兵士を吹き飛ばす。しかし、ソ連第七軍は数で押してくる。


 上空では日ソの戦闘機が激しい空戦を展開していたが、ベテラン揃いである日本戦闘機に軍配が上がっていた。日本戦闘機は無線を使って二機編隊で行動していたのだ。


「前方二百メートルにT-26軽戦車ッ!! 撃ェッ!!」


 追加装甲を施した八九式中戦車乙の五七ミリ戦車砲が火を噴いてT-26軽戦車の装甲を貫いた。


「一両撃破ッ!!」


「第一中隊だけに任せるなッ!! 八九式の底力を見せてやれェッ!!」


 砲搭が回転して新たに狙い(T-26軽戦車)を定めて発射した。


 五七ミリ戦車砲から発射された徹甲弾は逃げようとしていたT-26軽戦車の側面に命中してこれを撃破した。


 ソ連第七軍は日本義勇軍の思わぬ反撃に手を焼いて進撃が出来ない状態であった。それにフィンランド軍も火炎瓶で抵抗してきたりして進撃出来ない要因の一つでもある。


 前線からの報告が届く度にクレムリンにいるスターリンの表情が毎回変わっていく。


「……フィンランドを占領出来ないのはヤポンスキーが義勇軍を派遣しているからかね?」


「そ、それもありますが、フィンランド軍の抵抗も予想より激しいようです」


「更なる援軍を送り込め。ヤポンスキーにノモンハンの出来事は夢物語にしてやるのだッ!!」


「ダーッ!!」


 スターリンはそう命令した。しかし十日後、日本は再び約一個師団と戦車一個連隊、航空隊を派遣してそれらを載せた輸送船団がフィンランドに到着したのである。


「おのれヤポンスキーめッ!! 予め手は打っていたのかッ!!」


 報告を聞いたスターリンは怒り狂っていた。


「ヴィープリに戦力を集中させよッ!! 思い上がるヤポンスキーとフィンランドに鉄槌を下すのだッ!!」


 こうしてソ連第七軍に十五万の兵力が増強された。しかし日本とフィンランド側も兵力が増強される事は予測済みで到着した増援部隊はヴィープリに配備された。


 そして一月三十一日、ソ連第七軍は総攻撃を開始した。


 ヴィープリ上空では日ソフィの戦闘機群が激しい空戦を展開するが、二機編隊で襲い掛かる日本戦闘機隊に苦戦をして次第に押され始めた。


 地上では雄叫びを上げて突撃してくるソ連軍兵士達に対して日本の九〇式野砲や輸出された三八式野砲等が砲撃を開始する。


 その砲撃を突破したソ連軍兵士達には日本義勇軍の九二式歩兵砲や四一式山砲が榴弾を発射してソ連軍兵士を吹き飛ばす。


 それでも前進してくる時は戦車部隊が突撃する。ちなみに戦車部隊の指揮官はノモンハンで第二戦車師団を率いた牟田口少将である。


「カクカク、弾種徹甲弾ッ!! 敵戦車を狙えッ!! 機関銃で敵歩兵を駆逐しろッ!!」


 牟田口少将は無線で指示を出す。防御陣地では九二式重機関銃や九九式軽機関銃が射撃を開始して降り積もった雪にソ連軍兵士の血が染み渡る。


 結局、この日の攻撃は失敗となりソ連第七軍は六万人の死傷者を出した。対する日本義勇軍は約二千人の死傷者を出して戦闘機隊も十一機撃墜されたがパイロットは大半が脱出していた。


「レニングラードを爆撃しましょう」


 フィンランド派遣航空隊参謀の小園少佐は司令官の松永少将に迫った。


「幸いにもソ連軍の総攻撃は凌ぎました。ソ連の侵略を遅くするためにレニングラードの兵器工場を是非とも破壊する必要があります」


「……良かろう。フィンランド側にもそう伝えよう」


 松永司令官はそう決断してフィンランド側に伝えた。フィンランド側もこれを了承して二月五日に九七式戦闘機四二機、九六式艦上戦闘機三六機、九六式陸攻二七機九七式重爆撃機二七機がレニングラードの兵器工場を爆撃した。


 ソ連空軍は先の戦闘で損耗はしていたが、レニングラードにいた航空隊は無傷だったので戦闘機隊は全力で迎撃に上がったが、このレニングラードの航空隊は実践経験はなく日本の戦闘機隊に翻弄されて爆撃隊の爆撃を阻止出来なかった。


 レニングラードの兵器工場は見事に破壊された。この報告にスターリンは一時的にフィンランドと停戦するほかなかったのであった。










御意見や御感想等お待ちしていますm(__)m

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