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第十二話






 一方、補給基地と補給路の爆撃に向かっていた陸軍攻撃隊も爆撃に成功していた。


 補給基地では十数機のI-16が攻撃隊に襲い掛かったが、護衛に付いていた九七式戦闘機が全て蹴散らしていた。


 それにより爆撃隊は十分に爆撃に専念する事が出来た。


 九七式重爆撃機、九七式軽爆撃機は爆撃を開始して爆弾倉から次々と二百五十キロ爆弾や六十キロ爆弾が投下されていく。


 それらの爆弾はトラックや装甲車、戦車等に吸い込まれるように命中し戦車等を吹き飛ばして破壊していた。


 また九七式戦闘機が地上にいるソ連兵士に対して機銃掃射をしている。


「張り合いが無いなソ連軍は……」


 機銃掃射をしている九七式戦闘機のパイロットが呟いた。


『ぼさっとするんじゃないぞ。次はあの燃料タンク車を狙う』


「了解です」


 無線で小隊長に叱られた二番機は降下して小隊長と一緒に七.七ミリ機銃を放った。


「よしッ!!」


 機銃弾は燃料タンク車に命中して燃料タンク車は爆発、付近にいたソ連兵士を薙ぎ倒した。


『よし、獲物はあらかた爆撃隊が潰したし帰還するぞ』


「了解」


 ソ連軍の補給基地や補給路を徹底的に破壊した陸軍攻撃隊は意気揚々と帰還した。






「おぇ……」


 将宏はハイラルの航空基地に帰還すると、部下に小便と称して草むらに吐いていた。


「……暫くは夢に出そうやな……」


 将宏は胃液で汚れた口の回りを手拭いで拭いて水筒の水を飲んでうがいをする。


「ふぅ……これが戦争やねんな。テレビで見ていた……」


 将宏はそう言って、土を被せて吐いた痕跡を消す。


「……未来の日本なんかにさせへんために頑張らんとな……」


 将宏はそう決意して指揮所へ向かったのであった。






「諸君御苦労だった。諸君達の頑張りにソ連軍は補給を途絶えて飢餓の状態になるだろう」


 儀峨中将は将宏達にそう労いの言葉を言った。


「後は敵の陣地や飛行場爆撃だろうが職務を全うしてくれ」


「分かりました」


 代表で淵田少佐が儀峨中将に敬礼をした。


 航空戦は一時的に我々が制した。


 後は陸軍の番であった。






――ノモンハン――


「敵ソ連軍が突入してきますッ!!」


「……奴等め、補給を叩かれたから短期決戦を挑んできたな」


 戦車第三連隊の九七式中戦車に乗っている戦車第二師団長の牟田口はそう呟いた。


「どうしますか?」


 部下が牟田口に聞いた。


「……そんなの迎え撃つしかないだろう。砲兵隊に連絡をして援護砲撃をするよう要請しろ」


「了解ッ!!」


「全車対戦車戦闘用意ッ!!」


 牟田口は無線で指令して戦車第三連隊と戦車第四連隊が突入準備をする。


「砲兵隊が砲撃を開始しましたッ!!」


 牟田口の指令を受けた九〇式野砲を中心にした砲兵隊が一斉に砲撃を開始した。


 発射された砲弾が次々と進撃してくるソ連軍のT-26軽戦車等に命中して擱座していく。


「おいおい、俺達の分を残しておいてほしいぞ」


「そうですね」


 牟田口の言葉に操縦手達が苦笑する。


「師団長、生き残りのが来ます」


 前方を見ていた操縦手が牟田口に言う。


「カクカク、九七式中戦車隊は攻撃せよ。奴等に日本戦車の恐ろしさを思い知らせてやれェッ!!」


「装填完了ッ!!」


 砲弾を装填した砲手が言う。


「撃ェッ!!」


 牟田口が叫んだ瞬間、戦車第二師団に所属する九七式中戦車が一斉に砲撃を開始した。


 それらの砲弾はT-26軽戦車や装甲車の装甲を簡単に貫いて撃破した。


「くそッ!! ヤポンスキーの戦車は強いぞッ!!」


「固まるなッ!! ばらばらに行動しろッ!!」


 ソ連軍の戦車隊中隊長達は九七式中戦車からの砲撃にそう指示を出す。ソ連戦車は慌てて散開行動を取った。


「ソ連戦車と装甲車がばらばらに行動しますッ!!」


「カクカク、八九式中戦車乙は主に装甲車を相手にしろッ!! 九七式中戦車は戦車を狙えッ!! 奴等を一両たりとも生かして帰すなッ!!」


 牟田口は無線に怒鳴る。


 八九式中戦車乙は長砲身の五七ミリ戦車砲で確実に装甲車に損傷を与えてから撃破していく。


「くらえヤポンスキーッ!!」


 T-26軽戦車が八九式中戦車乙を砲撃するが、八九式は砲弾を跳ね返した。この八九式はたまたま現地にて十五ミリの追加装甲を施していた。


「御返しだ露助ェッ!!」


 八九式の長砲身五七ミリ戦車砲が火を噴いて、T-26軽戦車の装甲を貫いて撃破した。


「次発装填ッ!!」


 砲手は撃破したのに浮かれる事なく次弾を装填する。八九式中戦車乙は史実の戦果を見返すような思いでソ連戦車を砲撃した。


 しかし、追加装甲してない八九式や車輪を撃破された八九式が続出した。一方の九七式中戦車は正面から砲弾を跳ね返していた。


「あの戦車は強すぎるぞッ!! 航空隊はまだなのかッ!!」


 T-26軽戦車の戦車長がそう叫ぶが、直ぐに接近してきた九七式中戦車の七五ミリ戦車砲で砲撃されて四肢を吹き飛ばされるのであった。


 そしてその戦車長の願いが通じたのか、飛行機の爆音が聞こえてきた。まだ生き残っていたI-16やI-15の戦闘機が駆けつけたのだ。


「航空隊に緊急要請をしろッ!!」


 牟田口が怒鳴る。


 そうしているうちにI-16が急降下をして八九式中戦車乙に機銃掃射をしていく。


 八九式中戦車乙隊は思わぬ攻撃に乱れ、それをチャンスと見たT-26軽戦車が八九式中戦車乙に攻撃をする。


「三両やられましたッ!!」


 三両の八九式中戦車乙は前面ではなくて側面を叩かれた。


「八九式を助けろッ!!」


 九七式中戦車が威嚇砲撃でT-26軽戦車を追い払う。


 しかしそれをI-16等が機銃掃射で抵抗する。


「戦闘機隊はまだかッ!!」


 思わず牟田口が叫んだ。


 その時、ハイラル方面から九七式戦闘機隊がやってきた。


 そしてI-16やI-15を瞬く間に追い払うか撃墜をしていく。


「よし、今のうちに敵戦車を叩けッ!!」


 戦車第二師団は九七式中戦車を先頭にして突撃を開始した。


 戦車第二師団の猛攻に耐えきれなかったソ連軍は遂に撤退を開始したのであった。


 戦車戦闘は日本戦車に白星が上がった瞬間でもあったのである。











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