村を襲おう(準備編)
「村を襲おうと思うんだ」
「マジ?」
「早くねーか?」
「とりあえず今どんな状況か確認するね
ダンジョンは第一階層が出来て第二階層を形成中
第一階層ができるまでのスピードを考えて1週間は最低でもかかると思う
ダンジョンの中の戦力はコボルトの群れと栄養価たっぷり、おまけもあるよ――――空気の中の魔力を吸って分裂します のスライムのみ
コボルトはすぐに大量発生すると思う
ダンジョン以外の戦力はインプ25匹にオース
これじゃあ村を襲うには全然たりない」
「だろ?まだまだ早いって、もっと準備をしてからだな、失敗したら元も子もないし。焦るのはわかるけどおちつけよガイスト」
「アモルの言うとうりだぜ、十分な戦力が出来てからが本番だろう」
「アモルはともかくオースは働きたくないだけだろう
別に、今すぐやるって訳じゃないよ
やるのはきちんと準備を整えてからだよ」
「準備ってなにするんだ?」
「なんかいやな予感・・・」
「新しく100体くらいインプ呼ぶからオースにはそれを配下に入れてもらう。まあ、前回の4倍だから20日あれば十分だろう。あ、オース、完全に調教しとけよ。いざというときに使いもんにならなかったら意味ないから」
「うげぇ」
「僕とアモルはコボルトが増えてきたら生命力を吸い取って保存。必要な分集まったら精霊の召喚をするよ。」
「生命力を吸い取る?精霊の召喚?そんなもんどうするんだ?」
「生命力を吸い取るのは僕達は吸血種じゃないから難しいけど、回復魔法の逆の手順をとろうと思う」
「逆の手順って事は・・・回復魔法は魔力を生命力の代わりとして使うから、生命力を魔力として受け取る?いやいや無理だろ」
「とりあえず文献を記憶させてあるスライムはいるから大丈夫。なんとかなると思う。それでも吸血種には全然及ばない効率だけど・・・」
「な、なぁ・・・そのスライムって」
「・・・輝く一瞬を永遠に!奇跡の記憶媒体スライム!――――火と水には気をつけて」
「「・・・」」
「コホン、とりあえずそうゆうわけだから、村を襲うための準備を始めるよ。オースは出て来れなくなると思うけど一応言っておくね。インプの部屋にできるだけ居る事。あそこの瘴気の濃度をできるだけ上げて、それを使って精霊の召喚するから」
「お、おう」
「僕とアモルは生命力吸収と保存の魔法を作るよ」
「わかった」
「じゃあアモルはちょっと待ってって。先にオースの準備を整えてからこっち来るから」
【サモン】
「うおおおぉぉぉ」
「オース・・・生き残れるかなぁ」
「ただいま」
「おう、で、スライムはどこにあんだ?」
「それはそっちの稀少鉱石で出来たくぼみの中にある。ちょっと待ってって、取ってくるから」
『みぎゃぁぁぁぁぁ!』
「「・・・」」
「・・・ガイスト」
「うん、ちょっとだけ反省してる」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「えっと・・・ここが、こうだから?」
「これが、これとつながって?アモル、この古代語なんて意味だっけ?」
「それは転換だな・・・これ難しすぎだろ・・・」
「一緒に頑張ろう」
「ああ!」
『うぎゃぎゃぎゃぎゃ―――!?』
「・・・一緒に頑張ろう」
「・・・ああ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「大体の解読は終わったな」
「そうだね、アモルがいると古代語の翻訳が速く進むよ。あとは僕達が使えるように術式をいじってコボルトから生命力を取り出すだけだね」
「フェアリーは古代語必須だからな、術式いじるのは苦手だからそこはガイストに頼むぜ」
「あ『グロォォォォォ』・・・ああ」
「なあ、オース、言葉わすれるんじゃねぇ?」
「それはないと・・・信じたい」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「これからコボルトから生命力取り出して保存する」
「おう!」
「吸収のための儀式陣には綻びとかない?」
「大丈夫だ」
「じゃあ始めるよ!」
「・・・最近オースの声聞こえてこないな」
「・・・・・・そうだね」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「一応精霊の召喚に必要な分くらいは作れたと思うけど・・・これは使う機会も多くなるだろうし、他にも何個か作っておこうか」
「本音は?」
「インプの部屋に入りたくない」
『Grrrrrrrrrrrrroooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooooo』
「・・・同感だ」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「もう、これ以上先延ばしにするのも無理だし、逝こうか」
「大丈夫か?足震えてるぞ」
「魔術師は自分の死を受け入れるところからが一流の証だ」
「(ぜんぜん受け入れてないきがする・・・)」
「それに封印してるのに溢れる瘴気。こんぐにゃいあればちゅうぶんだよ」
「(めっちゃかんでる!)」
「・・・」ガクガク
「私が開けようか?」
「ぼっ僕があけゆよ」
封印を解くと共に中から溢れ出てくる瘴気
それは封印をする前とは比べものにならない濃度で・・・
中には怯えきったインプ達と
角馬種(シカとか、造語)のように枝分かれした角を持ち
竜種のように巨大な翼と尻尾を持ち
口から大きな牙を出し
手から刃物のような爪を生やしてる
5メートルくらいの魔物がいた
「「ええええ!?」」
『GRRR』
「何、あれ・・・」
膝から力が抜ける
ペタンと床に座る
アモルも隣で同じ状態になっている
『GAAAaaaaa』
その魔物がこっちを向いて、アモルを狙ってる!?
僕はインプ達を維持するので魔力を常に使ってるからそんなに魔力が溜まってない
アモルの方が魔力を持ってるからねらってるのか!?
ガパッと口が開いてその恐ろしげな牙が見える
そしてそれがアモルを食べようと近づいて
「やめろおぉ!」
ピタッと停止した。
「「は?」」
よく見るとプルプルと震えている
明らかに自分の意思で止まってる訳じゃない
どちらかというと・・・無理やり止められた感じか?
「ん?俺はいったい?ってなんじゃこりゃあ!?か、身体が動かねえ」
この声・・・オース?
「オース?」
「ん?ガイストか?ってなんでそんなにちっこくなってんだ?まあいいやそれよりなんか身体が動かねえんだ、どうなってるんだかわかんねえが、なんとかしてくれぇ(泣)」
こっちがどうなってるかわかんないよ・・・
「オース・・・なのか?」
やっとアモルが復活した・・・声は震えてるけど
「アモル?なんでお前もちっこくなってんの?てか俺がここにいる間になにがあったんだ?訳がわからんのだが・・・は!?侵入者でもきたのか!?」
いきなり慌てだすオース
でも動けない
「うおおお!う、うごけねぇ・・・」
「オース、侵入者はいないから安心して、そんな事より身体に動けない以外で何か変化を感じる?」
「そうなのか?ふー、侵入者かと思って焦っちまったぜ。変化か?ん~・・・強いていうなら力が漲ってくる感じだな」
「そ、そう・・・とりあえず、動いていいよ」
(こんなに変化してるのにそれだけか。後でオースに使ってる魔力の量を調べよう)
「だから動けねぇんだっ・・・動ける?おっしゃぁぁ!!」
動けることにオースが感動してる間にアモルとアイコンタクトを交わす
(どうする?)
(とりあえず・・・放置で)
(わかった)
「オース、インプ達は完全に従う?」
「あー・・・どうだろ?途中から記憶がねえんだよな~」
「とりあえず命令してみれば?天井に貼り付けとか」
ちなみに今インプ達は壁際で集まって震えている
「おう、そうするか。インプども、天井に貼り付け!」
『ギギィ』
インプ達はわれ先にと天井に上りだした近くにいるものを蹴落としてまで・・・
そうとう怖かったんだろうなぁ・・・
というかオース一人だけで村を襲うことなんて簡単な気がするのは多分気のせいじゃないだろう
「うん、上手くできたみたいだね、それじゃあ、精霊の召喚をするから離れてて」
「おうよ」
オースを下がらせて床に陣を書いていく
アモルはだめだ、まだ震えているから陣が歪むし。
とりあえずアモルを胸元に入れて陣を書き続ける
アモルの震えと体温が伝わってくる
僕と違って食べられそうになったんだから怖かったんだろうなぁ
今回の精霊の召喚ってのは名ばかりで、実際は精霊の改変と言ったほうがいいかもしれない
精霊ってのは基本的にどこにでもいるけど
精霊の召喚で呼び出されるのは精霊たちが寄り集まって一つの現象として知性を持った存在だ
知性を持った精霊はとても強力で生命力と引き換えにいう事を聞いてくれる
だけど、精霊は天にも魔にも属していない自然の力の結晶だから、一か所に留まってはくれないし、ダンジョンみたいに魔の気配がするところなんて破壊対象だ
だから僕達にとって都合のいいように改変する
精霊のエサとなる生命力・・・生物ならどんな存在でも持っているし、発している。を使う
まず瘴気によって穢れてない生命力で小精霊(精霊なり立て、知性も低く、力も弱い)を召喚し
いきなり魔術で縛る
そのあとこの部屋に満ちている瘴気とともに生命力を回復魔術の要領で無理やり与える
そうすれば十中八九精霊は狂う
あとは誰かが倒してくれるまで精霊は狂ったままだ
瘴気に穢れてない生命力を吸収して成長していってもそのまま
多分召喚にも答えなくなるだろうし、
それに狂った事を知った精霊使い達がパーティーをくんで精霊を癒しにダンジョンに来るだろう
僕のダンジョンをまず探し出せるかが問題だけど・・・
今回呼び出すのは火の精霊
他の精霊はフェアリーにも関係があったりするのもいるから、確実に関係のない火の精霊を選んだ
アモルの表情を見て、震えが収まったのを確認して
スペルを唱える
精霊の召喚は初めてだから緊張する
【闇をてらし、温もりをあたえる、情熱と再生の象徴よ、我が命を喰らい、我が前に顕現せよ】
僕の生命力の代わりにコボルトからとった生命力を使う
僕の隣でアモルも詠唱している
そして召喚陣が光輝き中心にたき火くらいの炎が燃え上がる
【何、用?、!?】
そして発動するアモルの捕縛結界
どうやら精霊にも有効なようだ
本当にアモルの補助魔術は優秀だ・・・
【!??】
精霊が抜け出せないうちに懐からコボルトの生命力を込めた結晶をとりだし、砕く
するとあたりに生命力が満ちはずだ、僕には感じられないけど
あとはアモルの回復魔術で終わりだ
「アモル、お願い」
「・・・気は進まねーんだけどな。風よ、彼の者を癒したまへ」
アモルの回復魔術が発動し、大気中に満ちている生命力が、瘴気とともに精霊に注ぎこまれる
こんどは瘴気が一気に減っていくのが感じられた
これでこの部屋はもう破棄しても大丈夫だな
【!!?!!?!?!?!??!!!?】
精霊が声にならない声を上げている
そして精霊の色もどんどん変化していき、赤い炎だったのが黒色の炎になった
さて、仕上げだ、狂ったとしても精霊が狂わせた者を放っておくとは思えない
この場合は呼び出した僕とアモルだ、時間がたっていけば記憶とかも失って人間と羽根のないフェアリー
・・・小人だと認識してるだろうな。人間と小人への憎しみしか残らないだろう
アモルの捕縛結界が軋むと同時に僕はアモルを抱き上げて後ろのダンジョンスライムに向かって走る
後ろで捕縛結界が壊れ、黒い炎が僕達を追ってくる僕の背中に熱が伝わってくる
ダンジョンに入ると同時に、熱は消え、僕とアモルは拠点に立っていた
「便利だな、ダンジョンって・・・」
「普通のダンジョンじゃ無理だけどね」
いまごろ精霊はダンジョンに突っ込んで僕達を探しているはずだ
僕達の気配は最深部(拠点)にあるから奥に進もうとするだろうけど、大量のコボルトのせいで道順がわからないはずだ
異常に増えすぎてインプの部屋に何十体か行ったし、第2階層ができるまでは拠点にもかなりの量が来たからな・・・まあ、僕達は死ななかったからダンジョンスライムもまだ生きてるし、そのコボルトから生命力吸収して使ったんだけどね
あと・・・ダンジョンスライムの中で生まれた魔物はどうやら、僕達に逆らわないみたいだ
普通にその陣の中入ってって言ったら入っていったし
ありがたいことだ
本日のダンジョン
ダンジョンスライムLV0 ダンジョン
魔力吸収 5/日(単位は万)
瘴気 10 コボルトが大量発生し、それらが共食いなどの行為をしていたため
第三階層形成中
ダンジョン内で生まれた魔物はガイスト、アモルに逆らわないという事がわかった
新しい戦力
オース ガーゴイル?
戦闘力 10
魔力消費量 15
スキル 不明
備考
インプの部屋に125体のインプをよろしくされて放置された結果である
異常な数の戦闘とその経験値、どんどんたまる瘴気、そしてガイストから送られてくる魔力
および生命力。ガイストは気づいていなかったが、他の種族の生命力をなにも加工せずに体内
にいれると危険なため、無意識のうちに儀式で保存できなく、吸収してしまった生命力をオース
に供給していた。その結果、変化していったのがオースである
ちなみに「最近オースの声聞こえてこないな」のあたりではまだ純粋なガーゴイルだった
現在は悪魔と魔物の中間のような存在
火の精霊 小精霊
戦闘力 9
スキル 炎弾掃射
炎でできた弾を打ち出す技。狂化により使用不可
備考
狂わされた火の精霊。成長が進むほど危険で厄介な存在になっていく
情熱と再生の象徴だったが、この状態では憎しみと破壊の象徴といったところか
精霊が狂うとそれを戻すために精霊使いがやってくる
ただ、ダンジョンを見つけるまでいつまでかかるか・・・
また、通常の火の精霊は生命力や有機物を燃やして光と熱を発するが
狂った精霊は瘴気によるものなら光と瘴気を神気によるものなら光と神気を発する
通常瘴気は高さが低い所に集まるが、火の精霊によって作られた瘴気は高い所で集まる性質がある
輝く一瞬を永遠に!奇跡の記憶媒体スライム!――――火と水には気をつけて
スライム
戦闘力 0
備考
まんま写真。ただ、水や火で溶けてしまうという性質があったりする
ガイストの妹が作った・・・なんの目的かは、察するべし
作「俺は今!モーレツにか・ん・ど・うしているっ!」
ガ「なんだよ?暑苦しいなぁ」
作「か・ん・ど・うしている!」
ア「ガイスト~とりあえず作者はほっとこうよ」
オ「そうだな、こんなの相手にしてても時間の無駄だし」(ゴスっ)
作「ゴパッ!?(今考えると殴られるときに効果音話せるって結構余裕なんじゃないだろうか)」
オ「てか今回のみて思ったんだが、生命力を結晶にこめるとかそんな簡単にできるもんなのか?」
ガ「うーん・・・とりあえずあの方法が載ってたのは禁書だったなぁ・・・だけどそこまで難しくなかったし・・・なんでなんだろ?」
ア「コボルトは再生力は強いけど生命力はそんなになかったからな・・・一個つくんのに何十匹つかったかわかんねえよ」
作(弱い生き物は生命力が少ないからね・・・ドラゴンとかだとすごく簡単に何個も作れるけど)
ガ「せいぜいたくさんの人が知ったら生き物が減るとか、そんな理由じゃない?あんなにたくさんのコボルト使ったのに3個しかできなかったし」
ア「そのくせ魔力は結構食うからなー
ところでなんでオースってそんなかっこになったんだ?」
作(それが禁書になってる理由だってば!他の奴の生命力すってそのままで済むわけないだろ!一歩間違えたらガイストがそうなってたぞ!)
オ「それがわかんねえんだよな~気がついたらお前らがちっちゃくなってたし」
ガ「(悪魔だって成長するけどこっちに来てるのはあくまで魔力で編んだ分霊のはずだ・・・成長するなんてありえない!それにいまのオースからは魔物っぽさも感じる・・・もしかして)」
ア「不思議なもんもあるもんだな~」
オ「どうしたんだ?ガイスト?さっきっから黙って」
ガ「生命力の吸収はもうしないようにしよう・・・」
ア「あ~、めんどくさいもんな」
オ「ん?・・・そろそろ時間みたいだぞ?」
ア「そうだな、まあ次回は村を襲うわけだが・・・あんまり期待すんなよ?」
オ「俺様無双とかねーの?」
ガ「いやいやそれ僕が攻撃系のできない時点で無理なのが決まってるよね?」
オ「せっかくこんなに準備したのに・・・」
ア「そもそもコボルトとインプだけで村を落とすとか完全に無謀だからな」
オ「数の脅威ってもんがあるから大丈夫じゃね?」
ガ「はいはい、そこらへんにして、次回のタイトルコールするよ」
ガ・ア・オ「「「次回!村襲撃←実はちょびっとだけ!・・・です!」」」
ガ「最後の・・・ってなんなんだよ」
作「泣」
ア「おい作者!なにマジ泣きしてんだよ!」
作「次回予告・・・俺もしたかった・・・」
オ「なんか・・・すまん」
作「あと妹の名前はまだ募集してます」
ア「復活はや!」
作「テクニックの無さは回数で補えばいいのですよーふはははっ」
ガ「(あ~、こりゃショックでハイになってるだけだな・・・ほっとこう)」