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第三章:レイの決意
初の合同ライブ出演が決まった夜。
レイは、事務所の屋上で一人、空を見上げていた。
風が吹く。
遠くで誰かが、ステージの音をチェックしている音が聴こえる。
「未来翔さん……俺、いつか、自分の名前で音楽を残したいです。誰かの心に残るような……“本物”になりたい」
翔は隣に立ち、そっと言葉を返す。
「だったら、最初に“約束”をしよう。夢を語ったなら、最後まで信じ抜く。俺が最初に覚えた、プロデューサーのルールだ」
星が瞬いていた。
音楽は、また新しい物語を紡ぎ始めていた。




