第五章:家族と、ステージと
†Re:VIAの全国ツアー、最終公演・東京ドーム。
その舞台に、莉子は特別な覚悟で立っていた。
ツアーファイナルに用意されたスペシャルステージ――
それは、「朝比奈家׆Re:VIA」による夢の共演だった。
演出はすべて非公開。ファンの間ではさまざまな噂が飛び交っていたが、莉子だけは知っていた。
この日のステージこそが、“自分のすべて”を歌にする場所になると。
開演のベルが鳴る。
†Re:VIAの力強いパフォーマンスが会場を包む中、いよいよその時は訪れた。
ステージが静まり、暗転したあと、スポットライトが一筋――照らしたのは莉子だった。
「今日は、特別な人たちと、一緒に歌わせてください」
背後の幕が上がる。そこには、兄・未来翔、姉・美咲、末弟・大翔、そして――
母・紗奈と父・翔太の姿があった。
観客がどよめく。歓声が、割れんばかりに響く。
莉子は深く息を吸い、言った。
「この歌は、私が“朝比奈莉子”として生きてきたすべて。私だけじゃなくて、私たち家族の――物語です」
歌い出された曲は、『光の在処』
作詞:朝比奈莉子、作曲:朝比奈大翔。
編曲は未来翔が手がけ、美咲がダンス演出を担い、母・紗奈が最後にアドバイスを添えた。
歌詞には、家族それぞれの歩み、痛み、喜びが込められていた。
《いつも誰かの後ろで 迷ってたけど
見つけたの 私の声が響く場所》
莉子のソロに、ミアがコーラスを添え、リオンがハーモニーで支えた。
セイとユエが光のように舞い踊る。
そして、ステージ中央。
朝比奈家六人のハーモニーが、ドームを満たす。
「――これが、私の“家族”です」
曲が終わった瞬間、ドームがまばゆい拍手と涙に包まれた。
MCで莉子は、まっすぐに語った。
「†Re:VIAに入って、たくさん悩んで、戸惑って、それでも今こうして歌っていられるのは……“自分の言葉”をくれた仲間たちと、家族のおかげです」
涙ぐみながらも、笑って締めくくった。
「私はこれからも、“わたしの歌”を歌います。朝比奈莉子として、そして†Re:VIAの一員として」
――この瞬間、莉子の物語は“始まり”となった。
ステージを降りたあと、母・紗奈が小さく囁いた。
「あなたが、私たち家族をここに連れてきたのよ」
莉子はそっと笑い、言った。
「歌ってよかった。心から、そう思える」
まばゆいライトの下、“家族と自分”をつなぐ一曲が、永遠の記憶となった。




