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第四章:過去との対峙、未来との選択



『祈音』のステージ以降、莉子への視線は変わった。

ファンからも、メディアからも、そして†Re:VIAのメンバーたちからも。


だが、光が強くなるほど、影も濃くなる。


ある日、収録現場で若手タレントに言われた。


「すごいよね、朝比奈家って。“名前”だけで武器になるって感じ?」


一瞬、言葉に詰まった。けれど、笑顔で返した。


「武器にできるかどうかは、自分次第だと思うよ」


帰宅した夜、莉子は昔の記憶を思い出していた。


中学生のころ。クラスメイトに言われた。


――「莉子ってさ、お姉ちゃんたちと違って、何もしてないのに注目されるのズルくない?」


笑ってごまかしたあの頃の自分。だけど、心の奥では悔しかった。

何もしなくても名前だけで騒がれる自分。何かをしても、それが“誰かの妹”でしかなかった日々。


「もうやだ……そんなの、私じゃない」


鏡の前でつぶやいたその言葉が、莉子にとっての“境界線”だった。


翌日、莉子は事務所に自ら提案を持ち込む。


「次のライブ、私がMCや構成の一部を担当させてください」


責任者の眉が上がる。


「理由は?」


「私の言葉で、私の想いを届けたいんです。“朝比奈莉子”じゃなく、“莉子”として」


許可が下りた。そこからは怒涛の日々。演出会議、台本の調整、ステージプランの再構成。

†Re:VIAの仲間たちも驚きながらも手を貸してくれた。


そして迎えた、新宿アリーナ公演。


莉子がステージ中央で語り始めた。


「私は――ずっと“誰かの妹”って見られるのが怖かった。けど、今は違う。私には、仲間がいて、支えてくれるファンがいて、何より……“歌いたい私”がいます」


拍手と共に、曲が始まる。選んだのは、新曲『Unchain Voice』


解き放たれたその歌声に、誰もが心を震わせた。


パフォーマンス後、ステージ袖でミアが言った。


「自分の“痛み”を歌にできる人は、強いよ。莉子、あなたは……†Re:VIAの誇りだわ」


莉子は小さく頷いた。


「私、やっと“選べた”気がする。誰かの道じゃなくて、自分の道を」


――過去に縛られた鎖を、ようやく断ち切った日だった。


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