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第四章:舞台で叫んだ名
ついに迎えたSIRIUSの最新ツアー、東京公演の最終日。
その夜、美咲はセンターとして初めてのソロ曲『ミライリズム』を披露することになっていた。
ステージの幕が上がると、会場は一瞬にして静まり返った。
ペンライトが一斉に彼女のイメージカラー、蒼い光に染まる。
イントロの響きとともに、美咲の歌声が会場いっぱいに響き渡った。
彼女の声は透明感と力強さを併せ持ち、観客の心を揺さぶる。
サビに差しかかると、美咲は涙を浮かべながら大きく叫んだ。
「ありがとう、ママ! でも私は……私の歌を歌う!」
その言葉に、会場は一瞬、息を呑む。
彼女はもはや“紗奈の娘”ではなく、“朝比奈美咲”としてここに立っていた。
ステージ裏では、母・紗奈がそっと涙を拭った。
「あなたは……もう、私を超えてるわ」
美咲の姿は、確かな自信に満ちていた。
それは長い孤独と葛藤を乗り越えた証だった。
この夜、彼女は自分の名を叫び、自分の歌を鳴らし、まっすぐに未来へと歩み出した。
観客のペンライトは、その光をさらに強く輝かせていた。




