ヘルガ９
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
ゲストのイラストも無断転載はお断り致します。
投稿時間
本編 水、日の朝７時投稿です。
大図書館 不定期更新中
鉄塊の国を支えるAI先生〜鉄塊の国実験スピンオフ〜 不定期更新中
鉄塊シリーズに新たな試みが出来ました。
よろしければ、お暇つぶしにどうぞ。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
『鉄塊の国』時間軸ガイド
一本の鉄塊が国を興した――ヴァルグランの歴史を紐解く！
約132年前：神々の旅開始
「名を忘れられた漢」（神）が祈りの聖女、鉄塊の王、大賢者、メカムスメ、名も無い暗殺者と建国の旅を開始。信玄の戦訓で希望を灯す！
約129年前：ヴァルグラン建国
一本の鉄塊からヴァルグランが誕生。魔導鎧と絆で繁栄へ。
現在：龍獣統一軍との戦い
龍鬼神シュタルクの侵略に立ち向かう！
リヴァール砦防衛戦（ep.1〜6）：ルヴェリーとマリーの絆、ヘルガの暗殺で防衛成功。
シャルセア防衛戦（ep.7〜11、17）：グライシアの「乾坤一擲」、ルーの神速、シャルフの「射抜かれた道」で民間人被害ゼロの奇跡。
ラウンドベルク攻防戦（ep.12〜26）：シーラの「リヒトヴァルグラン」起動、ヘルガの「隷属」、ゼーエンの諜報で4万の敵に立ち向かう。
ラウンドベルクでの5対4万の戦いはヴァルグランの完全勝利に終わる。
国興しの神ハガネの再度の降臨
ヴァルグランを救う3作戦が発動
このエピソードの位置：魂の旅。鮮明に蘇る記憶。この旅路の果ては？
辺りに動くものは無し。餌をつまみながら屋敷に戻る。
一人の男が待っておった。
「すげーな。つえーよお前。魔王を打ち倒す、俺達の仲間になってくれよ」
誰じゃ？先ほどの生き残りかのう。とりあえず右手を振り首を落とす。
「おっ、早いし硬いな。魔王や貴族どもになびかないお前の力を貸してくれ」
男は右手を振り、拳で妾の糸を弾く。１００数年一度たりとも外したことの無い妾の糸が防がれた。背中の脚１６本、指先１０本同時連斬。
『糸遊戯』
２６方向の同時攻撃。必滅の刃が男に迫る。
身をかがめ、糸を弾きながらダッシュし男が一気に妾に近づき足元をすくい上げる。
バランスを崩してしまい、糸を一旦手放し新たに糸を出して転倒を回避。
その隙を突かれ顔に一発もらうが、ギリギリ糸の盾で防ぎこちらも体重と勢いをつけミドルキックを繰り出す。
男は左手で防ぐと、その勢いで回転。
妾の顎に裏拳が掠める。
ガクッと膝が曲がり力が入らない。致命的な隙に男の右拳が妾に迫る。背中の脚を全て使いガードする。
ミシッ！バキョ！脚にひびがはいり受けきれない。腹に衝撃。
「グハッ」
吹き飛んで天井に打ち付けられる。
負けた。妾が負けた。
ズルっと体がズレて落ちる。不味い、体が動かん。受け身が取れん。落ちる。
トスっと受け止められる妾の体。
「すまね、やりすぎた。大丈夫か？」
男がニカッと笑う。妾に初めての敗北を教えた者の笑顔。トクンと何かが妾の中で生まれた。
「主殿よ大丈夫じゃ。妾は主殿のものじゃ何でも申し付けておくれ」
主殿は少し首を傾げたが、うんと頷き妾を立たせると握手を求めてきた。
「俺は名を忘れられた漢。笑顔の国を起こす者。お前は？」
握手に応じる。温かい手。
「主殿に良き名を戴きたい」
主殿は、しばし悩み口を開く。
「ヘルガだ！お前は俺の好敵手ヘルガだ！」
そうだ。この時に妾がヘルガになったのだ。
カシーンっと何か妾の中ではまった感覚。
妾の大事な記憶が鮮やかに蘇り、魂を補強していく。次々と通りゆく記憶。
ヴァルと毎夜飲み歩いた街並み。エクセと食べたケーキの味。ヴァン殿と組み上げた魔導鎧。
楽しい思い出。
主殿にそそのかされて、民と触れ合うための
毒舌連続１００連発から生まれた新しいアチシという人格。手合わせ中に加減を間違えてグレンカイザーを岩にめり込ませてしまった事。
恥ずかしい思い出。
思い出が次々と浮かび上がり、もう一度妾が形作られていく。
ある日、主殿が妹だとマリアを連れ帰り妾の家族が増えた。マリア？妾はいつからマリアを姉と慕い始めたのじゃ？
この記憶は………
決戦の日
五大魔導鎧が旗印となり各地の貴族を抑える。レジスタンスが王都で魔王の息がかかった者を検挙し、市民を避難させる。
その気に乗じて妾たちは、死の魔王レヴァーテ・ウイラノウスと対峙している。
妾の後方では、エクセが玉の汗を垂らしながら強大な魔王の死の力を願いの力で封印し続けている。
その隣でヴァルが、魔力を『鉄塊ヴァルアード』に流し込んでいる。死を自在に操る魔王を滅する為に鍛えられた剣の力を最大限まで引き出していく。
その二人を守る為、ヴァン殿とグレンカイザーが大盾を持ち魔王の放つ無数の魔力弾を弾いている。
妾の隣で主殿はこの日の為に、妾と共に作り上げた権能『糸操り』を使い、魔王を牽制しつつ、糸を絡め魔王の動きを鈍らせていく。
妾も間合いを取りながら、魔王の隙を作るべく全力で糸を繰り出す。
妾たちの前では、魔王と全力で殴り合うマリア。強靭なマリアの防御を持ってしても無傷とは行かず、血を流しながら先陣を切って闘っている。
一進一退の攻防に突然終わりが来る。糸が絡み、魔王のバランスが崩れた。一瞬の隙に、マリアが全力で魔王を羽交い締めにする。
そこにヴァルが、渾身の力でヴァルアードを魔王の脳天に振り下ろす。まるでバターを切るかのように真っ二つになりあっさりと塵とかす。
皆が倒れ込む。グレンカイザーはエクセを庇い、魔力弾の直撃を受け機能停止中。ヴァンも傷だらけ、マリアとヴァルは魔力欠乏でほぼ動けない。
その時、思いもよらないことが起こる。主殿の姿が薄れていく。皆、唖然とし何も出来ない。
「俺の役目が終わったってことだな。国興しはなった。エクセの願いは叶えられたんだ。」
なにを言っておるのじゃ？
「楽しかったぜ。時間ね〜みたいだから詳しくはマリアに聞いてくれ。お前たちにも名前預けるぜ。ハガネだ。俺達は仲間だぜ」
主殿が、妾に近づきそっと妾の唇を主殿の唇でふさぎ、抱きしめてくれる。
「ヘルガ愛してるぞ。皆を頼む」
そう言い残して主殿が完全に消えた。
予想もしていなかった突然の別れ。
魔王を制し、やっと掴み取れた民とともに、生きることができる国。
その建国が目の前なのに、何で主殿がいなくなるのじゃ？
ボロボロと涙が流れ、身体中の力が抜け膝から崩れ落ちる。泣き叫ぶ。心から慟哭し激しく身体の中から全てが放出されていく。
妾の前ではエクセが、自分の首を掻きむし、切りさかんとする妾の手を止めようと、血まみれになって腕にしがみついている。背中にはヴァルが妾を止めようと羽交い締めにするがそんなもので止まる妾では無い。
魔王との戦闘で力を使い果たしたはずのマリアとヴァンも弾き飛ばされながら妾の手を止めようとしている。
無駄じゃ無駄じゃ、主殿のいない世になにがある？いいのじゃ妾はなくなりたいのじゃ。
止めるでない。
皆の声は妾には届かない。
邪魔立てするなら、お主らとて容赦なし。
腕に力を込めた時。
「止めるっス」
幻聴？
「アチシ達にはダーリンからもらったもの
が、たくさんあるじゃないっスか」
また聞こえる
「アチシも悲しい。だっていないんっスから
でもダーリンに頼まれたっス
皆を頼むって
アチシには貴女を守る義務があるっス。
しっかりするっス」
「アチシよりダーリンの事を知っている貴女
がいなくなったら、約束守らなかったら悲し
むっス、ダーリン」
皆が妾を見下ろしている。いつの間にか妾は横になっていた。エクセの声が聞こえる。
「ヘルガ良かった。目を覚ました。傷は痛まない？」
「エクセのほうが傷だらけっス。ズタボロで他人の心配すんじゃねーっス」
皆が唖然とする中、立ち上がり皆に頭を下げる。
「心配かけたっス」
ヴァンが口を開く。
「その口調なんだ？」
「ダーリンが国興しの後は、親しみやすい昼間の顔になれって、毒舌のキャラ付けをしたっス。今思い出しても、100の毒舌吐くまで終われないとか、恥ずかしい訓練だったけどダーリンのお陰で踏みとどまれたっス。アチシを守る為だったんっスかね？」
首を傾げ尋ねる。
「ないない、趣味だろ」
皆の声が揃う。そういうヤツっスよね。ダーリンは。
でも、ダーリン。ダーリンのお陰で皆を守る役目につけるよ。アチシ頑張るっス。
と誓い、昼間は毒舌まき散らしながら民達に励ましと立ち上がる勇気を届け、夜は残党狩りの日々。
久しぶりでアジトに帰ることができた。自室のベットに座り、ぼんやりと角に置いた緑色の椅子を眺めている。主殿がいつものように入ってきて椅子にあぐらで座り、妾に語りかける姿を思い描く。
何故おらぬ。主殿何でおらんのじゃ？涙がホロホロととめどなく流れる。
コンコン
不意に扉をノックする音がする。
涙を拭い取り繕う。扉が開きマリアがヒョコっと顔を出す。
「ヘルガ、さみしいね」
マリアはあまりにも早い思考速度の為、主殿の超翻訳の権能がない今は伝えたいことを端的にしか伝えられない。
ベットの横に座るマリア。
「かぞくだよ、ないていいよ」
手を広げ妾を抱きしめるマリア。途端に我慢していた感情が流れ出す。会いたい。抱きしめられたい。側にいて欲しい。
主殿への感情が溢れる。泣いて泣いて、マリアに抱きつきつき鼻をすする妾。
「ヘルガ、かぞく。ね〜ちゃんにあ～まえな」
甘える。そうか、妾は甘えたかったんだ。主殿に甘えてた。甘える相手がおらず孤独を感じたんだ。辛い時は姉御に甘えて良いのか？
「良いのか？」
姉御に問う。
「ま〜かせて」
姉御に抱きついた感覚が現在に戻って来る。
目を開け、始まりの苗木の前で姉御の温かさを感じる。
「ただいま姉御。皆にも感謝じゃ」
全てのピースが揃い魂が再構築され妾はまた歩み始めることが出来る。
どうでした？
４０話まで続いています。そして、ヘルガが主役。これで一段落。
レジスタンス時代の街入れられなかったのが心残り。
次回ちゃんと描きます。
いつも見てくれる読者様、本当ありがとうございます。私、性格診断で面白い結果でした。自分的には納得です。
これからもこんな変人の物語、読んでくれたら嬉しいです。
https://x.com/obqQWbt7ty41243/status/1948284370827231354?t=FnREh1IsYjyP9x_EfuSoow&s=19
私の創作スタイルまんまでしたｗ
