シーラ4
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
ゲストのイラストも無断転載はお断り致します。
投稿時間
本編 水、日の朝7時投稿です。
大図書館 不定期更新中
鉄塊の国を支えるAI先生〜鉄塊の国実験スピンオフ〜 不定期更新中
鉄塊シリーズに新たな試みが出来ました。
よろしければ、お暇つぶしにどうぞ。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
『鉄塊の国』時間軸ガイド
一本の鉄塊が国を興した――ヴァルグランの歴史を紐解く!
約132年前:神々の旅開始
「名を忘れられた漢」(神)が祈りの聖女、鉄塊の王、大賢者、メカムスメ、名も無い暗殺者と建国の旅を開始。信玄の戦訓で希望を灯す!
約129年前:ヴァルグラン建国
一本の鉄塊からヴァルグランが誕生。魔導鎧と絆で繁栄へ。
現在:龍獣統一軍との戦い
龍鬼神シュタルクの侵略に立ち向かう!
リヴァール砦防衛戦(ep.1〜6):ルヴェリーとマリーの絆、ヘルガの暗殺で防衛成功。
シャルセア防衛戦(ep.7〜11、17):グライシアの「乾坤一擲」、ルーの神速、シャルフの「射抜かれた道」で民間人被害ゼロの奇跡。
ラウンドベルク攻防戦(ep.12〜26):シーラの「リヒトヴァルグラン」起動、ヘルガの「隷属」、ゼーエンの諜報で4万の敵に立ち向かう。
ラウンドベルクでの5対4万の戦いはヴァルグランの完全勝利に終わる。
このエピソードの位置:シャルセアとラウンドベルクの戦いの7日後
運命の日!鋼ヴァルグランに帰還
昼過ぎの謁見の間!
謁見の間にて考えを巡らせる。あの戦いから1週間経ち、ショーちゃんとロンちゃんは後遺症もなく元気になった。
大賢者マリアも帰路についており、もうすぐ到着すると昨日ヘルガから寝る間際に報告を受けた。
少しずつ日常に戻るヴァルグラン。ただ、ヘルガの後遺症が心配だ。平常を装っているが身体能力が著しく低下しており、私の見立てでは通常時の10分の1も動けていない。恐らく内臓等重要な箇所の損傷が激しいのだろう。ただ体の損傷はマリアが戻れば、ある程度は何とかしてくれるはず。
問題は魂の損傷。こればかりはわからない。
魔力を扱うものが体に著しい損傷を受ける現象は、魂の輝きと言う名で、国興しの神が説明をしてくれている。要約すると魔術行使の際、魔力が足りなさすぎると魂を攻撃される。その際、魂が反撃で、大きな力を発し体の損傷をもたらすとともに、足りない分の魔力を補充する。
人は魂が強く、少しぐらいなら傷つかない。反面、一般的に他種族や魔物は魂が弱く傷つきやすく本能的に魂の輝きを使わないと言われている。
ヘルガは、実は魔物である。故に本来は魂の輝きを使わないはずなのだ。だが、彼女は、使ってしまう。本能を凌駕するヴァルグランへの愛。国興しの神『ハガネ』様への愛がそうさせる。
次、奴らが来る時。それは、リヒトヴァルグランを攻略できる力を持った時。その時、ヘルガという大きな存在に頼れない我々はどうするのか?
きっとヘルガは、動いてしまう。我々は、ヘルガを見殺しにするのか?
恐ろしいことばかり考えてしまう。
手元に持った国興しの神ハガネ様と魔王討伐の仲間たちの写真に目をやる。
真ん中のハガネ様を無邪気な笑顔で左右から取り合うヘルガとマリア。その後ろで呆れ顔の鍛冶師ヴァンと初代国王ヴァル。ヘルガとマリアそれぞれの脇で物欲しそうに見ている、メカ娘グレンカイザーと祈りの聖女エクセ。
この素晴らしい先人たちが築き上げたヴァルグランをどうしたら守ることができるのか?たくさんのシミュレーションを繰り返すが最善が見つからない。思考の行き止まりを何度も繰り返す。
突然、バターンと扉が開く。
息を弾ませて謁見の間の絨毯を走ってくる青年。私は写真と青年を交互に見て大きな声を出す。
「ハガネ様?」
思わず指をさしてしまう。
「おうよ。影技隊は知らなかったその名を知っているということは、王だな?」
指摘され、名乗りをあげるべくひざまずくと、手をひらひらさせて、そういうのいいからと言われたので4代目国王シーラということだけを伝える。
「そうか、これから皆が来る。ヴァルグランを救う作戦を伝えるから具体的な編成とかシーラ姉ちゃんにお願いしていいか?」
国興しの神が力を貸してくださる。無条件に首を縦に振る。ヘルガたちから聞いていた通り、動くこと雷霆の如!ヴァルグラン戦訓を体現するお方だ。
扉が開き、筋肉質な老人。鍛冶師ヴァンが入ってきて大きな声で笑うとハガネ様の肩をバンバンと叩き、一言挨拶を交わし私に一礼。左隅のいつもの場所に控える。
続いて、ヘルガが黒師の装いで謁見の作法通り、私に礼をするとハガネ様の右横に控える。
ハガネ様は自然にヘルガの腰に手をやり近くに引き寄せる。あまりに自然な2人の距離感。本当に良かった、ハガネ様ならヘルガもヴァルグランも救っていただける。
次に、影技隊のアインとエルフ。エルフは、影技隊の11番目、奇しくも彼女はダークエルフで褐色の肌に長い耳を持つ種族だ。ヴァルグランでは、他種族も受け入れており、彼女は昼間ウェイトレスをしているそうだ。
2人もヘルガ同様作法通り礼をするとヘルガの後ろに控える。
イーリス、ヴェルガー、ショーちゃん、ロンちゃんが端を通りいつもの場所に待機する。
その後、ツヴァイが案内をして、緑の髪に大きな眼鏡が特徴的な女性が、幼い子どもと優雅に近づいてくる。
「始めましてシーラ陛下。私は鋼の妻みどりと申します。」
流れるような口調と仕草。思わず見とれてしまう。すると、下の方から幼子が私に挨拶をしてくれた。
「こいとダヨ。ママはみどりママとヘルガおくがたさまダヨ」
謁見の間がざわつく。ハガネ様を見るとコクコクと頷き、横のヘルガは顔を赤らめている。みどりさんは、満面の笑み。何か事情があるのだろう。スルーしとく。
みどりさんとこいとちゃんは、ハガネ様の後ろに控える。ヘルガはそのままハガネ様の横。
後で、事情を聞こう。
そして、マリアが謁見の間に現れる。スカートの裾を直しハガネ様に
「ハガネ〜おかえ〜り〜」
とだけ言い、私のそばでただい〜ま〜と、いつもの口調で囁く。私も小声でお帰りと告げる。
少し、違和感。ヘルガやヴァンに聞いていた感じならハガネ様に飛びつくと思ったが、さすがに公の場では控えたか。さすが、王国を支える大賢者。まぁ、今回の単独行動を反省してるのでしょう。
ハガネ様が、声をあげる。
「これより、ヘルガの魂修復、真リヒトヴァルグランへの改修、超量産型魔導鎧の制作。3本同時作戦の説明を行う。全員傾聴!」
全員の声が揃う。
「ヤー!」
元祖ヴァルグランの長が戻った瞬間だった。




