ヘルガ7
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
ゲストのイラストも無断転載はお断り致します。
投稿時間
本編 水、日の朝7時投稿です。
大図書館 不定期更新中
鉄塊の国を支えるAI先生〜鉄塊の国実験スピンオフ〜 不定期更新中
鉄塊シリーズに新たな試みが出来ました。
よろしければ、お暇つぶしにどうぞ。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
『鉄塊の国』時間軸ガイド
一本の鉄塊が国を興した――ヴァルグランの歴史を紐解く!
約132年前:神々の旅開始
「名を忘れられた漢」(神)が祈りの聖女、鉄塊の王、大賢者、メカムスメ、名も無い暗殺者と建国の旅を開始。信玄の戦訓で希望を灯す!
約129年前:ヴァルグラン建国
一本の鉄塊からヴァルグランが誕生。魔導鎧と絆で繁栄へ。
現在:龍獣統一軍との戦い
龍鬼神シュタルクの侵略に立ち向かう!
リヴァール砦防衛戦(ep.1〜6):ルヴェリーとマリーの絆、ヘルガの暗殺で防衛成功。
シャルセア防衛戦(ep.7〜11、17):グライシアの「乾坤一擲」、ルーの神速、シャルフの「射抜かれた道」で民間人被害ゼロの奇跡。
ラウンドベルク攻防戦(ep.12〜26):シーラの「リヒトヴァルグラン」起動、ヘルガの「隷属」、ゼーエンの諜報で4万の敵に立ち向かう。
ラウンドベルクでの5対4万の戦いはヴァルグランの完全勝利に終わる。
祝勝会が盛大に行われ盛り上がる国民。
しかし、シーラの顔に陰りが。
このエピソードの位置:3章開幕。
この戦いの代償を抱えたヘルガに解放と癒しの時が訪れる。
「主殿。なぜおらぬのじゃ。もう5万回はこの苦しみから、痛みから、逃げたいとおもっておるができぬのじゃ〜」
嗚咽をあげ、また今日も枕を濡らす。
「ヘルガ愛してるぞ。皆を頼む」
主殿の信頼の証。
妾は守り続けておるぞ。
「だがのう、主殿。妾は約束を破りそうで怖いのじゃ。妾の力足らず、御前様の愛したヴァルグランが破壊される未来が見えるのじゃ」
慟哭する
「助けておくれ!」
妾の真の願い。エクセよ。我が友よ。祈りの聖女よ。この祈り主殿に!
光なき希望!無垢なる願いは世界に響く。
どんなに長い夜も朝が来る。
いつもの朝っス。やっぱり疲れが全然取れてないっス。心当たりがありすぎて迷子になるっス。
あの戦いから1週間っス。一昨日ようやく少しは楽になり始めゼーエンちゃんに褒美をあげたっスけど。
グワンぐわんくる頭の痛みも受けながら、いつものように軽快な足取りで騎士団詰め所に急ぐっス。
「今日は、どんなふうにあの隊長に毒舌かますっスかね。うふふ」
と、足が止まり何気なく見た風景に違和感?
違和感?既視感?何かがおかしいのじゃ。
見たことのない緑髪の女性がいるっス。腕には2歳くらいの女のお子を抱いておる。
お子の顔に面影を感じるのじゃ。絶対に見間違えないあの人の顔っス。
本能が、妾が、アチシが告げている。
緑髪の女性の傍らの男性を見る。
「ダーリンなんでいるのじゃ?」
「よっ、久しぶり!」
あっさりにもほどがあるのじゃ。ナメクジの塩炒めでももう少し何か残ってるっス。
「本物?」
っスも、じゃも付けられないほどのただの言葉。
「俺の偽物なんざ、この世にゃあねえよ」
あの130年前そのままの軽口。
と、隣りにいる緑髪の女性が頭を下げてから真剣な面持ちで言葉を紡ぐ。
「ヘルガさん始めまして。私、みどりって言います。鋼くんのパートナーで師匠です。鋼くんのことを全て知っている自信があります。でも、ヴァルグランでは、貴女が鋼くんの永遠の好敵手で相棒なんですって。正直嫉妬しちゃいます。鋼くんを支えてくれてありがとう。奥方様」
「ヘルガオクガタサマ、パパノアイボウ」
お子がとんでもない発言をしているのじゃっス。
理解が追いつかない。ただただ事実は一つ
「お〜まえさま〜!」
絶叫!
その後の記憶はあいまいだが、一つはっきり覚えているのは。
「ヘルガのしたいことが俺のしたいことだ、縛られるな。ヘルガは俺の永遠の憧れだ」
御前様から頂いた、新たな祝福。
解放だった。
目が覚めると、いつもの倦怠感が軽くなっている。頭の痛さも和らいでいる。
ここはアジトの妾の部屋。130年間レイアウトを変えず頑なに守り続けた部屋。
130年間座る者がいない部屋の隅の緑色の椅子。そこに目をやる。
「おっ起きたか?」
独特な椅子の上であぐらを組む座り方。椅子を持ち上げてベッドのそばに来て、いつものようにベットに肘を突き左斜めに顔を傾げる。
「おっはよ~ヘルガ。すまなかったな。気づけてやれなくて」
物凄く反省している時の主殿の顔。涙が溢れ出す。感情に歯止めが利かない。抱きつく。主殿は黙って頭を撫でてくれる。
優しい時間が流れ、主殿への抱擁を解き定位置である主殿の脇に座り直す。
「懐かしいな。いつもお前と話す時はこんな感じだったよな」
微笑みが温かい。胸がじんわりと熱くなり魂が温められていく。
「主殿が来てうれしいのじゃが。何故ゆえ130年も来れなかったここにこれた?」
直球ストレートでちょっと浮く感じの必殺を繰り出す。
「俺は3年間毎日ここに来ようとしてたんだが、どうにもうまくいかない。例えると物凄い速さの乗り物に飛び込む感じ。速すぎて乗れないんだ。だが、朝方急に遅くなりこちらとタイミングがあったんだ。少なくとも1週間はこの速度になったから仕事の有給1週間取って遊びに来たんだ」
妾の必殺を凌駕する恐ろしく軽い動機と目的。めまいしか起こらないが、一つ引っかかる。朝方?
思い当たる節がある。妾は願った。助けてくれと。
そう、盟友エクセの名のもとに。
「妾は願った。93年前に亡くなったエクセを通して主殿に助けてくれと願った。」
主殿に今朝の慟哭を伝える。再びの抱擁。
「ごめんな、ヘルガ。そんなになるまで待たしちまって。だが俺は来た。お前を助けに……………動機は物見遊山だが結果助けになりそうだからいいよな」
途中、目がバタフライで泳いでいたが、通常運転の主殿。
「よいよい。だがのう、エクセの介入だとしたら何処かに転生して記憶も保持してるって事なのか?」
この世界には明確に魂があり、普通に転生という現象がある。しかし、通常は記憶など個人の物は体とともに地に帰り、魂のみが漂い次の受肉を待つ。
稀に記憶の欠片がという話もあるので可能性がないわけではない。
「あの寂しがりのエクセの事だ、ヘルガのそばにいるはずだ。長くいればヘルガなら魂の共鳴で気づくはず。最近生まれた赤ん坊とかいないか?」
赤ん坊はいないが、一つ気がかりなことを思い出す。
「人間の赤子はおらぬのじゃが、一体ごく最近、目をかけている部下を守る為に特殊個体のファルス シュピーネを産んだ。」
ぜーエンの護衛として、意思をもち自律行動できる個体を産み出した。
「そいつだ、思念繋げられるか?」
すぐさま思念を繋げ、主殿とも共有する。
「えへへ、ばれんの早くね。あぁアイツが気づいたな。」
間違えなくエクセの癖のある物言い。
「そうだよ。エクセこれは何事なんだ」
主殿が問い詰める。
「なんだじゃないよ。毎夜毎夜、自暴自棄になってる親友を助けちゃいけないのかよ。身体も魂も擦り切らせた親友の危機だぞ。お前じゃなきゃ助けれないんだ。ちと無理したけど、結果、ヘルガの無垢なる願いが、あんたを呼んだ。それだけだ。」
エクセに、ただ感謝だ。
「わかった。呼ばれたからには成し遂げる。動くこと雷霆の如!早速、魂の修復についてだ。やることが多いぞ」
部屋を飛び出す主殿。
「アイツらしいけど。どこ向かったんだろうね」
エクセの呟き。
「ありがとうエクセ」
感謝しか無い。
「どーいたましてー」
軽いいつものノリ。そういえばアチシの時の口調どことなくエクセっぽいのじゃ




