マリー1
DaysAIで作成したイラストに妄想ストーリーをつけ、物語になりました。
小説を書くのは初めてですので、見苦しい表現もあるかと思いますがご容赦ください。
残酷な描写は、なるべく避けますが、戦闘や戦争を扱っていますので、苦手な方はご遠慮ください。
文中の挿絵の著作はjettsにありますので無断転載はご遠慮ください。
鉄塊の国
一本の鉄塊が国を興した。
歴史は綴られる。
「けがしたひと〜」
自分で言っといてなんだけど、この場に似合わない口調だよね。じゃあ直せよと言われそうだけど、こればっかりはしょうがないのよね。
色々試したけど、この口調が一番気持ちを伝えられるのよ。
どうも私は人とペースが異なるらしく、私のペースで話すと他人には聞き取れないのだ。色々試したが、とにかく速いと言われるのだ。
仕方なく最低限伝えたいことを、最大限ゆっくり言う事でなんとか意思疎通が出来るのだ。
なので普段は人とは関わらないで暮らしているのだが、まぁ今はそうも言ってられない。
大規模な魔獣の襲来が起き、近隣の村が次々と襲われている。
現在、生き残った村人が避難しているリヴァール砦での救助活動に勤しんでるというわけなのだ。
ここは、砦内の診療所。医師や治癒術師、薬師が忙しなくケガ人の治療を行っている。私もそこに混ざってケガ人を治している。
避難民はもちろん、砦の守備兵も次々と運ばれてくる。
砦の外では、大量のウォルグと守備隊が戦闘を行っている。とんでもない数のウォルグであるが、魔導鎧3番隊が駐屯しているリヴァール砦はそう簡単には墜ちる事は無い。
なんせ、元気っ娘のルヴェリーがいる。あの子の持ってる、ギガンティックツァッシュβは私がしっかり魔力回路を魔改造してあるから、ウォルグ位なら問題ないっしょ。
と考えていた所、こんな叫びが耳に届いた。
「エルフォングが現れた! 遠距離戦が出来るやつは上に上がってくれ」
毛が逆立つような感覚が全身を走る。
不味い、ウォルグの数を考えると1頭だけって事は無いだろう。魔導鎧2体で1頭行けるぐらいの戦力だ。
最悪切り札を切ってでも、ここで止めないとこの先の街が壊滅する。
ケガ人を隣の医師に任せると、走り出す。
「いってきま~す」
緊迫感の欠片もない。自分でも分かってますよ。
外壁に向かう、砦内はハチの巣をつついたような騒ぎだ。
魔力を解放。階段なんか使っていられない。外壁の上に一足飛びに降り立つ。
周りの兵士はギョッとするが、私のローブを見て、魔導士と認識してくれたらしく、エルフォングの現れた方面に案内してくれる。
砦に近づいているのが2体。他は隊長機が足止めしてるとのこと。正確な数は分からないが、最低でも10頭はいたらしい。
数が多い。あの子でも長くは持たない。
焦りが私の中に広がる。今すぐにでも助けに行きたい。だがこの混乱の中ここがもつとも思えない。
まずは、戦力の底上げ。近くにいる魔導士、弓兵、バリスタ、投石兵、兵種問わず片っ端から支援の魔力を授けていく。50以上の支援で久々の倦怠感を感じるが、これで終わりじゃない。
周りと息を合わせて、混乱している前線のウォルグを片付けていく。正直、私の遠距離魔法は並以下だ。支援込みでも周りの攻撃には敵わない。もどかしいが、出来ることをするしか無い。
前線の混乱は収まらない。私には指揮をする能力がない。まぁあったとしても権限がない。焦りから切り札を切ろうか、頭にちらつく。
正直、知らないコイツらより、顔馴染みのあの子を助けたい。
駄目だ!
そんな事したら、あの子の帰る場所が失われる。それに、あいつに会う前の私になってしまう。動く屍の私に。
いくつもの魔力弾をウォルグ達に叩き込みながら、自分の弱さに唇を噛む。
その時、友軍の魔力通信回線に凛とした声が響く。
「第三隊は、エルフォングを牽制し、ウォルグの数を削る事を第一とする。一般兵の諸君は砦まで後退の後、遠距離装備にてエルフォングを集中して攻撃を開始せよ。」
「ヤー!」
前線から地響きのような掛け声が轟く。
「諸君らの働きは王国民を護る大きな力となる。奮闘を期待する。」
「ヤー!」
再びの轟き。
「副長!」
「ヤー」
「支給品のプリン、ちゃんと取っておいてね!」
震える声。 恐怖? 自らの死と護るべき者たちの死を天秤にかけて出た結論を誤魔化している。
「ヤー! 最近太ってきたので私の分も差しあげますよ。」
泣いている。さすが副長だ。ルヴェリーの事を理解しているな。止めるわけには行かないものな。
通信は一方的に切断。すぐに副長の指示が飛び、各分隊がキビキビと動き出す。もう大丈夫だ。あの子の指示が実行される。
凄い。強いのだ。この王国の人間は強いのだ。涙が溢れる。
この国に関わることが出来たことに感謝が止まらない。
こうしてはいられない。皆を信じて、私の出来ることをしなくては。
あの通信から推測するに、あの子はエルフォングをなんとかするつもりだ。単騎で、10頭以上のエルフォングと渡り合うことは通常の方法では無理だ。
あれをやるつもりだろう。成功率は高いがあの子の命が賭け札だ。少しでも早くあの子のもとに行かなくてはならない。
先程の通信を解析し発信源を探る。場所を特定。
マントを外し床に置く。マントの裏地に仕掛けた魔力回路に魔力を注ぎ込む。魔方陣が形成され力を発揮する。周りの皆が唖然とする中魔方陣に飛び込む。
一瞬の目眩の後、景色が変わる。
森の中に甲高い轟音が響く。
轟音の鳴る方へ駆ける。とすぐに開けた場所に出る。
そこには、殺戮が広がる。
あまりに高速で振り回される、巨大な双頭の斧槍。さまざまな場所からものすごい勢いで魔力が噴き出し、まるで竜巻のごとく振り回される。
仔犬が何か得体のしれないものに虐殺されている現場である。
しかし、唐突に終演する。
魔導鎧の背中に内蔵された魔力炉が爆発を起こす。斧槍は手から離れ、地面に突き刺さる。
ほぼ焼き切れた耐熱服のルヴェリーが空中に投げ出される。
とほぼ同時に、地面に刺さった巨大な斧槍が爆発を起こす。生き残っていた2頭のエルフォングはたちまち蒸発していく。
私は、ルヴェリーに向け飛翔。吹き飛ぶルヴェリーを空中で受け止めると同時に奥歯を思いっきり噛みしめる。虎の子の魔法回路に魔力を流し魔法陣を形成。そこに飛び込む。
目眩を感じながら、抱きかかえたルヴェリーに向けて声をかける。
「よ〜く、がんばりました〜〜。」
我ながら緊迫感無いわ〜
2日連続投稿できました。
まずは勢いをつけて行きたいです。
マリーの切り札はこの時間軸では使用することはないと思います。書くことができれば過去には使用すると思います。
daysAIではネタバレしてます。気になるようでしたらご覧いただければと思います。
こちらの説明欄ではあえて削除しています。
魔道士『マリー』
冒険者ギルドにふらっと現れて幾つかの仕事をこなすと、また見かけなくなるという都市伝説の様な魔道士。
パーティーメンバーになった冒険者たちは、見た目と裏腹に確かな知識と臨機応変に使い分ける豊富な魔術に感嘆するが、その他はびっくりするくらいダメダメだと称している。特に調理だけはやらせてはいけないと語る冒険者達は、体の何処かにキノコを生やしている。